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積雪の朝

新婚の二人です。



冬の寒さにぶるりと体が震え、無意識に隣にあるはずの温もりに手を伸ばしたがほんのりと温かなシーツの感触しかない。手をあちこちに伸ばしてみてもシーツ以外に触れる感触はない。

眠い目をなんとか開けると隣には誰もおらず、ベッドに一人。


「………………あれ?」


昨夜、確かに可愛い奥さんと一緒に眠ったと思ったのに。


え?違った?

もしかして、結婚したのは夢だったんだろうか。

まさかの妄想?僕、かなりヤバくない?


のそのそと起き上がって部屋の中を見ても誰もいない。

自分に妄想癖があったかもしれないと、自己嫌悪に落ちかけた時、寝室のドアがそっと開き、妄想になりかけた奥さんが静かに入ってきた。

良かった。現実だった。

胸を撫で下ろす僕に気がついたマグノリアがふわりと微笑んだ。


「おはようございます、アルフレッド様」


カーテンから漏れる朝の光に照らされたマグノリアの笑顔の破壊力に胸を押さえる。

朝からうちの奥さんが素敵すぎる。


「どうしましたの?どこかお加減でも悪いのですか?」

「朝からマグノリアが女神すぎて息が止まりそうです」


慌てて駆け寄ってくれたマグノリアの足がベッドの横でピタリと止まった。


「あ、朝から変な事言わないでくださいませ」

「え?何か変な事言った?」

「それはっ………もう、けっこうですわ」


グッと言葉を飲み込んだ後、フイっとソッポを向いた頬がほんのりと赤い。

あー、可愛い。うちの奥さん世界一じゃない?

暖かいベッドに引き込もうかと握った手が思いの外冷えてて驚いた。

思わずマグノリアの両手を取って、自分の両手で包み込む。自慢じゃないが体温は高い方だ。


「大変だ。こんなに冷えてる。ああ!よく見れば薄着じゃない。ストール、いや、コート、マフラー!」


慌ててベッドから降りてワードローブを開けるが、そこは自分の物しか置いていない。マグノリアの物は彼女の私室にあるんだった。


「アルフレッド様、落ち着いてくださいませ」


とりあえず目についたマフラーをかけてあげると、僕の手に彼女の手が重ねられた。手の甲を優しく撫でられる。

そのまま手を引かれて、寝室を出て隣の私室に連れて行かれた。窓に近づけば一段と空気が冷えている。


「凄いんですのよ。見てくださいませ」


うん。目をキラキラさせたマグノリアが可愛いね。

促されて見た窓の外は、昨夜から降っていた雪が積もり真っ白になっている。今は止んでいるが、恐らくまた今夜も降るだろう。

明日は訓練がてら雪下ろししなきゃなぁ。魔法使うとうっかり燃やしちゃう可能性があるから、雪下ろしとかは基本的に人力なんだよね。足腰鍛えられるからいい運動ではあるけど、寒いんだよねぇ。

明日の予定をたてていると、マグノリアが拗ねた顔でこちらを見ていた。


「うん?どうしたの?」


そんな顔も可愛いとか、うちの奥さんって最強じゃない?


「雪がこんなに積もってるんですのよ。驚きませんの?」


えぇぇ。だって、毎年積もるんだよ?しかもまだ序の口だよ、これ。

なんでそんな事を言うのかな。


「もしかして、王都って雪が降らないの?」

「雪は降りますが、このように積もる事はほとんどありませんわ。積もっても昼には溶けてしまいますもの」

「あぁ。じゃあ、珍しいよね」


可愛いなぁと思ってたら、急に不機嫌になって掴んでいた手を振り払われた。


「アルフレッド様には見慣れた景色でしたわね。朝から申し訳ありませんでしたわ」


背を向けて歩き出したマグノリアの後を慌てて追い、廊下に出るドアに手を付いて開けるのを阻止した。


「あの…怒って、る?」


背中から抱きしめるような体勢から、顔を覗き込もうとしたけれど、俯かれて表情が分からない。


「マグノリア?」


怒ってる?

せっかく教えてくれたのに、悪い事をした。他に言い方があったよなぁ。

反省中の僕の腕の中で、マグノリアが反転して僕の肩に頭をこつんと置いた。ふおっ!?

ヤバイ。心臓がドキドキする。


「………。怒ってませんわ。柄にも無くはしゃいだ自分が馬鹿みたいだっただけですわ」


なにそれ。可愛くない?いや、可愛いでしょう?ベストオブ可愛いでしょう!

奥さんの可愛さに耐えきれず、ギュッと抱きしめてしまった。苦しかったのか、バシッと腕を叩かれたので少しだけ弱めた。

ほんの少し顔を上げたマグノリアが照れた様に見えて、ふぐっと変な声が出た。


「はしゃいだマグノリアが壮絶に可愛かったので、僕は満足です」

「もう。またそんな事をおっしゃるのね」


だって本心だからね。

朝から可愛い姿を何度も見れたので、今日も、明日の雪下ろしも頑張れます。ありがとう。


「朝食の後に外を散歩しようか?」

「いいんですの?」

「もちろん、防寒はちゃんとしてね。寒いから」

「ええ。分かりましたわ」


嬉しそうな笑顔に釣られて僕も嬉しくなる。


「年が明けたらまだ積もるよ。沢山積もったら雪の妖精の作り方を教えてあげるね」

「雪の妖精?まあ!楽しみですわ」


キラキラと眩しい笑顔のマグノリアを見て、雪の日も悪くない気がした。

後数日で一年が終わる。

マグノリア。年が明けたら、また一年を君とどう過ごそう?

そんな事を考えるだけで楽しくて仕方がない。

こんなに幸福でいいんだろうか。


「マグノリア。僕と結婚してくれて、ありがとう」


マグノリアは目をパチリと瞬いてからふわりと笑った。


「私も同じ想いですわ」

「一緒だね」

「ええ。一緒です」


幸せな気持ちで満たされる。

来年も再来年もずっと、ずっと、ずっと、君としあわせになろう。

祈る様に柔らかな唇にキスをした。


*終わり*


何とか年が明ける前に間に合いました。

新年になる前に書き上げたかったんですよね。


突貫で仕上げたので後で書き直すかもしれません。


今年も残り2時間を切りました(現在12月31日 22:06) 皆様、良いお年を!

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― 新着の感想 ―
[一言] 今年の最後にお二人に再会できた上、幸せのお裾分け、ありがとうございます! 笑顔のまま、ほっかり温かい、優しい気持ちで年を越せます。 今年も心に残るお話の数々を、ありがとうございました! どう…
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