第48話:食べちゃうゾ♪
「うぎゃあああぁぁッ!!」
俺の悲痛な叫びが、校内を駆け巡る。
生徒達の間を、全力で走り抜ける俺に、またかと言う顔を見せる冷たい連中を尻目に、乳酸が溜まり限界が来た足を必死に動かす。
(いかんいかんぞぉッ!動けッ俺の足ぃッ!)
しかし、俺の努力虚しく背後から凄まじい怨念がせまりくる。
「アイ○ールド21ッ!?」
あまりの奴の足の早さに、誠が叫んでいる。
・・てか、いるなら助けろよッ!
善戦虚しく、俺の前に回り込んだのは、我が幼馴染みの花音さん。
「くぅッ!・・さすが光速のランニングバック」
「何訳のわかんない事を・・」
息を全く乱さないで、花音は俺に相対すると襟を掴み
「さぁ・・イクわよ」
「なんか字がオカシイですよッ!?」
「うふふ・・・」
「キャアァーーーッ!」
叫びを上げる俺を無視し、不気味な笑い声を上げながら、俺を引きずって行く。
途中何度も逃げ出そうとしたが、叶わず連れてこられた先は、調理実習室。
「・・・うぅ。何が始まるんだ?」
「ナニかなぁ♪」
「だから字がオカシイですからぁッ!!」
「調理実習室でする事なんて決まってるじゃない」
「そ・そうか。料理?」
「薫をね」
ヒャアァーーッ!!お母さぁーんッ!!
ガクガクブルブルな俺を見ながら、舌なめずりな花音。
「薫の女体ならぬ、男体盛りとか☆」
ドンドンと思考が、月姫に似通って行く最近の彼女に、涙目で睨み付けるが
「あふん♪・・そんな子犬みたいな目で見られたら堪らないわッ!」
体をクネクネとしならす。
「落ち着けッ!ここは学校ですよッ!?」
「萌えるじゃない」
ダァーッ!燃えじゃなく、萌えですかッ!
冷や汗ダラダラな俺を、粘つく視線で見つめると
「さぁ・・食べちゃうゾ♪」
「んな可愛いらしく言ってもあかんわぁーーッ!」
全力で拒否。結婚するまで清い体でいたいのですッ!
「くくく・・・大丈夫、残さず綺麗に食すから」
「なんか邪悪な感じですけどッ!!」
いつの間にか、シャツを脱がされていた俺は、助けを求めるかのように
(月姫乙姫織姫月姫乙姫織り姫月姫乙姫織姫月姫乙姫織姫)
怪しげな呪文よろしく名前を心の中で読み上げると
「「「ダーリンッ♪!!!」」」
うわッ!本当にきやがった。
ガラッと扉を開け、三姉妹が現れるのを見て、少し・・いやかなり引いてしまった。
「ちッ」
なんか舌打ち聞こえるんですが・・
なるべく花音を見ずにいようと、月姫達に助けを求めるべく視線をやると
ジーーッと俺を見つめる三つの視線。
(しまったッ!半裸ッ!・・・このままじゃいつものごとく喧嘩かッ!)
花音と月姫達の戦闘を思い描き、恐怖するが
「「「イタダキマス」」」
声を見事に揃え、突進してくる。
「なんでじゃああぁッ!!」
必死に避ける俺の耳に
「仕方ないわねッ!皆でご馳走を頂きましょうッ!」
花音のフザケタ台詞が聞こえて来た。
「もういややぁーーッ!!」
泣き叫びながら、逃げ回る俺に容赦なく群がるケモノ達。
その様子をビデオを構えながら、誠がニヤニヤ笑っていたのは、お約束で。
連チャン投稿。頑張ったッ!!・・まぁ今まで更新しなかったけど。もうじき50話。長いよなぁ・・内容は薄いですが(^-^;




