第46話:爆裂!!お兄さん。その2
「テメェ…何人聞きの悪い事を」
いつものように、どこからかわいてきた誠を睨み付けながら言う。
「事実ではないか。いたいけな萌少女をたぶらかす悪人めがッ!!」
拳をぐっとにぎりしめ言葉を返してくる。…コイツは萌から離れれんのか?
「もうブームは過ぎたぞ?」
「なッ!?なにをぅッ!!」
俺の冷静な指摘に、ガーンと擬音を背景にたてうろたえている。
苺はと言うと誠をナゼカ睨み付けている。なんでだ?
頭を捻っていると
「ツインテールのおさげ娘は、定番だぞッ!?」
ビシィッと苺を指差し喚く。定番って萌の…?あんまり興味ないなぁ。
「誰に指差してるのよッ!?ゲス野郎ッ!!」
その一言で凍り付く俺と誠。外見からはあまりにも不釣り合いな言葉に、驚くしかない俺を置いて、言葉を続けて行く。
「まったく、あんたみたいなのがいるから世の中おかしくなるのよね。なんて言うの?クズ?家に篭って二次元妄想するしか脳の使い道のない猿は、さっさと保健所にでも送られれば良いのよ!!…ね?お兄さんッ♪」
「えッ!?いや…あ…う」
マシンガントークの後に、いきなりふられても。いくら語尾に可愛く♪つけても恐いですよ貴女?
呆然とする俺だったが、慌てて誠を見る。いくら誠でも傷ついたかもしれん。
「つ…」
「つ…?…何だ?」
誠に次の言葉を促す。
「ツンデレェェーーーーーーッ!!!?」
「やかましいわぁーーーーーッ!!!!」
誠の叫びに負けないくらいに、叫ぶ俺。何がツンデレだッ!!心配して損したじゃないかッ!
「見よッ!御子柴よッ!他の男にはツンとしてお前にはデレッと。まさにツンデレ少女!!」
「おーい誠くん?」
「気持ち悪いわねッ!…薫お兄さんダメよ?こんなのに関わっては。私だけを相手にして☆」
「か、完璧だッ!今神が舞い降りたぁッ!!」
いかん…。壊れてる。てかこんなのツンデレじゃないじゃん。ツンドラだな。凍り付くくらいキツイんだもん。
「と、とにかく。家に帰らしてくれ」
「だから今から帰るんじゃない?私達のスィートホームへ」
何を言うかッ!?プチ月姫ッ!!これ以上変なのは増えないでくれ。その時
「あれぇ?何してるの?」
どこか間延びした声に振り返ると、星野由香。
「星野?」
「お姉ちゃん!」
俺と苺の言葉が重なる。…はい?お姉ちゃん?
「苺?何してるの?」
「旦那さまを迎えに来たの」
「ちょい待ち!お前達姉妹か?」
「「うん」」
見事にハモる姉妹。なるほど謎がとけたよ。俺の事知ってるのも、どこか頭のネジが緩んでいる理由も。
「あらあら。苺ったら。だめよ独り占めは」
「じゃ半分こね」
「馬鹿言うんじゃねぇよッ!!」
ほのぼのしながら、さらっと恐ろしい事言いやがって!!
「とにかくもう帰る!!」
「「えぇーーッ!?」」
「ハモるなッ!!」
これ以上は付き合ってられん!!キッと一睨みすると俺は踵を返した。誠はと言うと…。まだ夢の国から帰ってこないみたいだった。
「ツンデレェェーーーーーッ!!!」




