408.サリルハム地区
サリルハムの3つの村のちょうど中心地にやってきた。
フリードで15分程だったので、村同士はそこまで遠くないみたいだ。
「ゴーレ、どう?」
ゴーレはしゃがんで砂を触っている。
「原因はわかりません。地下の水脈が枯れているという可能性くらいしか思いつきません」
「なるほどね。ライム、地下で水を探してみてくれない?」
ポニョ!
ライムは勢いよく跳ねて、砂に潜っていった。
「地下の水脈が死んじゃってる可能性があるから、それをライムに調べてもらってる」
「ありがとう!」
「じゃあとりあえずここら辺を買えるだけ買っていい?」
「うん!」
俺はざっくり範囲を伝える。
イタロはそれを契約書に記入した。
「ワイアット硬貨だけど平気?」
「あ!問題ないよ」
俺はイタロに言われた金額を渡し、土地を購入する。
俺はすぐに秘密基地を使う。
バッフン!
芝芝芝芝 E
芝家庭芝 D
芝家庭芝 C
芝芝芝芝 B
砂砂砂砂 A
0123
「うわ!え????」
イタロは声を出して驚いていた。
「これが俺のエクストラスキル」
ってことにしてる。
「凄いね。しかも芝まで生えてる」
「地面も硬化させたから、崩れることはないよ」
イタロは興味津々で家を見ていた。
俺はこっそり『秘密の通路』を繋ぎ、ゴーレにアカ達を呼ぶように伝えた。
「とりあえず俺も砂漠で作物を作ってみるか。イタロ、なんか種かなんかある?」
「砂豆の種ならあるよ」
俺はイタロから砂豆の種を預かった。
砂漠で『畑作成』を使う。
見た目は砂のままで変わらないけど、たぶん畑になっているはずだ。
「育て方のコツとかある?」
「うーん。水をあげすぎないこと」
「なるほど」
水脈が死んでる場合は、与える水を増やせば解決するんじゃないか。
アカ・アオ・キー・ドリーがゴーレに連れられてやってきた。
「みんな、この砂漠の畑でこれを育ててくれ。水を適量与える畑と水を少しだけ与える畑の2つね」
「ワカリマシタ、マスター!」
「ガンバリマス!」
アカ・アオ・キー・ドリーは畑に向かって行った。
「とりあえずあの4人に任せればいいから」
「えーっと。あれはゴーレム?」
「そうだよ」
「ゴーレムなんて始めて見たよ」
「え?」
俺がゴーレはゴーレムだと伝えるとイタロは過去イチ驚いていた。
▽ ▽ ▽
2時間後。
水をしっかりあげた砂豆は育った。
しかし水を少しだけしかあげていない砂豆は育ったが、満足できる育ち具合ではなかった。
待っている間にライムが帰ってきた。
水脈などは見つけられなかったみたいだ。
砂だらけでずっと体を横に振っていた。
「やはり水不足か」
「水ですか…」
「あれ?解決したよね?」
水を今までよりも多めにあげればいいだけだから解決のはずだ。
「ライル、ここ砂漠だよ?」
「え?でも農業で水は使ってるんだよね?」
「近くにあるオアシスからみんな汲んできてるんだ。量を増やすってなると村民の負担が」
そう言われればそうだ。
俺も水汲みはしたことある。
大変さはよくわかる。
「ん-」
俺はものすごく悩んだ。
解決策はある。
このままイタロを抱き込んで、ライル商会に入れる。
だけど村人までライル商会に入れるとなると話は別。
指揮をとったり、まとめたりする人がいない。
ゴトフの時はゴトフに人望があった。
だけどイタロには人望というか友達がいない。
イタロの立場上、ここに付きっ切りは無理。
イタロがいない間、任せられる人もいないだろう。
ハンのエクストラスキルとか相性いいんだけどな。
雨雲とか出せるって言ってたし。
でも他国だし、重役の親族だからな。
「うーん」
俺は悩み倒した。
とりあえず一旦保留して、ヤルクに帰ることにした。
「イタロ、俺の方でも色々考えてみる」
「ありがとう!」
「明日の昼過ぎ位にシャハルードにフリードとゴーレが迎えに行くから、砂漠で育てる作物を準備しておいてくれ」
「わかった。あ!香辛料とコーヒーと茶葉は?」
「忘れてた、それもお願い!」
ゴーレとフリードにイタロを送ってもらい、俺は『秘密の通路』でヤルクへ帰宅した。
▽ ▽ ▽
ちょっと遅めの夕食を食べにレストランライルに向かう。
すると父さん率いる農業部門の人達が食事をしていた。
「おお!ライル、帰ってたのか」
「ただいま」
「なんだ?また何か考えてるのか?」
さすが父さんだ。
「考えているっていうか悩んでる」
「何をだ?」
俺はサオラル共和国でのことを話した。
「うーん。なるほど。砂漠で育てる作物は気になる」
「父さん。俺の悩みよりそっちに興味出てない?」
「すまんすまん。ライルの理想では、村を合体させて管理して水問題はため池と水路で解決させるってことだよな?」
「うん。理想はね。でも『秘密の通路』が最近いろんな人にバレてるからさ、できるだけ人数増やしたくないんだよね」
「その3つの村も巻き込むことになれば、いずれバレる」
「イタロが社交的ならいいんだけど…」
自分で自国に友達がいないと言ってしまうイタロに文句は言えない。
学園の様子を見ても人見知りな感じはしない。
多分同じ立場の同年代がいないのだろう。
「管理かー。イサとかにやらせてみるか?」
「ん?イサ?」
俺がイサという人物を思い出そうとしていると声が聞こえた。
「俺ですか?」
口を開いたのは『栽培の獣』を取得しているクマの獣人だった。
フゾートと同じクマの獣人だが、身体は引き締まっている。
フゾートも筋肉質だが、少し系統が違う。
それに毛並みなども少し違うように感じた。
「イサは父さんから見て優秀なんです?」
「そうだな。スキルのおかげってのもあるけど、人と良く話すし気が使える」
「なるほど」
俺がイサを見ると、少し緊張した様子で顔をこわばらせた。
「ありですね。でもクマの獣人だったら砂漠地帯は厳しいかも」
「いえ。大丈夫です」
「本当に?」
「はい。名前まではわからないのですが、暑さにも寒さにも強いクマの獣人だと聞いております」
「そうなんだ。とりあえず候補にしておくよ」
「わかりました!ありがとうございます」
イサはものすごくガチガチだ。
本当に人と良く話すのか?
それとも俺って怖がられてるのか?
他にも手はないか考えながら、久々の父さんとの食事を楽しんだ。
▽ ▽ ▽
昼食を食べ終わると、ゴーレがヤルクに来ていた。
「イタロは大丈夫だった?」
「はい。明日の迎えも門兵に伝えてもらいました」
「ありがと。ちょっと相談事があってセフィーナさんの所に行くから、アイザックさんを呼んでほしいな」
「承知しました」
ゴーレはゴーレムに共有をしてくれた。
アイザックさんも少ししたら領主代行館に来てくれるだろう。
俺とゴーレは領主代行館へ向かった。
▽ ▽ ▽
アイザックさんが来るまで、セフィーナさんからここ数日の話を聞いた。
国王はヤルクを堪能して数日前に王都へ帰った。
大量のライル商会の商品を買って帰り、次は王妃や王女達と来ると言っていたらしい。
騎士団での修行のため、弟子達は国王について行った。
緑弓騎士団と灰魔騎士団と青斧騎士団にはマジックアイテムで連絡は一応したらしい。
弟子達の成長が楽しみだ。
いろいろ話を聞いていたら、アイザックさんがやってきた。
「ライルさん、相談があると聞いたんですが」
「はい。ほぼライル商会なのにライル商会じゃないお2人に相談が」
「実務のほとんどがライル商会なだけです」
「私の仕事がほぼライル商会絡みなだけですよ」
セフィーナさんとアイザックさんは苦笑いをしていた。
俺はサオラル共和国についてと父さんに相談した話を2人にした。
「なるほど」
「うーん」
2人は悩んでいた。
「ライル商会として考えれば、他国に拠点が出来て輸入や輸出が簡単にできるのは良いと思います」
「ですよね」
「ですが、ライル商会には他国に回せるほど人員がいない」
「そうなんですよ。人が多いけど仕事も多い」
「街にやってくる人も増えましたし、開発途中の街の半分に店や宿屋が増え始めたら、人員を割くことはできそうですけど」
「イサと数人の獣人だけに任せるのは厳しいんです。人員はやっぱり現地の村人か…」
「それだと『秘密の通路』がバレるのも時間の問題ですよね」
「そうなんです…」
俺達はしっかりと悩んだ。
「一旦、流れに身を任せるのもいいんじゃないですか?」
「流れに?」
「はい。イサ様や獣人の方々を数名派遣して、現地の村人と交流を深める」
「あー信頼関係を作って、問題が無さそうならライル商会で雇うってことか」
「はい。私達やライル様では測り切れないので、現場の人間に確かめてもらうのが1番かと」
「なるほどね」
俺はセフィーナさんとアイザックさんの意見を聞いて、再び考えることにした。




