399.缶詰コンペ②
缶詰コンペは続いている。
続いてはモズドとポレット。
「昨日ライル様に聞いた水煮をグリーンサーモンでやってみました。それとグリーンサーモンを燻製してゴマ油につけてみたものを作りました」
「私はジャギドシビーをツナ缶のように細かくせずに、小さめの切り身をステーキにしてショウガと醤油で味付けしました」
2人が出した料理も普通に美味しそうだった。
まずは水煮を食べる。
「うーん。少し煮込みが足りないかも」
「水煮をあまりわかってないのですが、もっと柔らかくなるんですか?」
「うん。骨がポロポロになるのが理想かな」
「少し煮込む時間が少なかったみたいです」
モズドは申し訳なさそうに言った。
「まあ味は問題ないから、ワーカーゴーレムに渡す時はもっと煮込んだ奴でお願い」
「わかりました」
モズドは頷いた。
燻製サーモンのゴマ油漬けを食べる。
「うわ!これはいい」
「お酒に合いそうですね」
「完全におつまみね」
「そうですね。ゴマ油とグリーンサーモンの油分が口に広がるのをお酒で調和させたくなりますね」
「これも良さそうかな?少しくどい?」
「おつまみと考えればいいのではないですか?」
「うどんとかに入れて調理しても合いそうよ」
「いいと思います」
審査員の評価は悪くない。
「採用かな。モズドにはパスタでもうどんでも何でもいいから、この缶詰を使ったレシピを考えて。売るときにそのレシピも教えたいから」
「わかりました!」
モズドは少し笑って頷いた。
俺はジャギドシビーのステーキを食べる。
「うん。ジャギドシビーのステーキは問題ないかな?」
「「「はい」」」
「問題があるとすれば、缶詰になるかだけど」
俺はコンファを見る。
「タレをもう少し多めにしていただくのが理想です」
「なるほど。できそう?」
「はい。問題ありません」
ポレットは安心したみたいだ。
次はフィアダとブライズさんが料理を運んできた。
「私のは茹でたパスタにかけたら、ライル商会のパスタが味わえるようにミノタウロスのミートソースを作りました」
「おお!いいじゃん」
そういえば元の世界でパスタソースの缶を見たことがあった気がした。
「それとタマネギのスープです。スープも缶詰にできると聞いたので」
「みんなとはちょっと違うのがとてもいいよ」
「ありがとうございます」
フィアダは嬉しそうだ。
俺達はミートソースとタマネギスープを食べる。
「うん。問題ないかな」
「そうですね。味も濃すぎず、温めればそのまま食べれそうですね」
「これいいわ。ほしい。冒険者にも人気が出そう」
「凄く美味しいです」
審査員からはだいぶ好評だ。
「これも採用でいいかな?」
「ありがとうございます」
フィアダは笑顔でガッツポーズをした。
次はブライズさんだ。
「アヤノちゃんと相談して、ミノタウロス肉のワイン煮を作ってみたよ」
「おお!」
見た目と香りはとてもいい。
俺達はワイン煮を口に運ぶ。
「おっ!柔らかい」
「これが缶詰で売れるんですか?」
「美味しいわ!!凄い!」
「これは美味しすぎます」
審査員の反応は1番良かった。
「コンファ、これは大丈夫?」
「問題ありません」
缶詰化も問題ないようだ。
ミノタウロスのワイン煮は即採用になった。
最後はシスターカモーエだ。
シスターカモーエはコッコ肉の炒め物を持ってきた。
コッコ肉にはジェノベーゼのようなものが和えられていた。
「これは?」
「こ、コッコ炒めのヒール草和えです」
「ん????」
俺は耳を疑った。
「ヒール草?」
「は、はい」
シスターカモーエはキョトンとした表情で答える。
アイザックさんは口を開く。
「ライル商会の品質の高いヒール草でも結構な苦味があるはずですが、それを料理に?」
「え?に、苦くはないはずです」
シスターカモーエは戸惑っていた。
ライル商会のポーションは比較的飲みやすいが、薬や漢方のような独特な風味はある。
そんなポーションの原料を料理に使っているので俺達は驚いていた。
俺は恐る恐る口に運ぶ。
「ん?苦くない?」
「むしろ美味しいですね」
「よ、よかったです」
シスターカモーエは安心したのか笑顔になる。
俺は気になって『鑑定』をした。
○コッコ炒めのヒール草和え
コッコ肉をヒール草のペーストで和えた料理。
食べると少しだけ体力が回復する。
「アイザックさん。これ体力が回復するみたいです」
「え?は?」
アイザックさんは驚いていた。
シスターカモーエにいろいろ聞いてみると、ヒール草を使うレシピが頭に入ってきたらしい。
ステータスを確認させてもらったら『回復料理Lv4』を取得していた。
今までは材料にヒール草はなく、孤児院の子供達が少し元気になるくらいの効果しかないレシピしか思いつかなかったという。
今回初めてヒール草を使うレシピが頭に入ってきたので作ってみたそうだ。
「これはどうやって?」
既にコンペを終えたブライズさん達も気になるみたいだ。
「つ、作り方を教えますか?」
「ぜひ!」
「お願いします!!」
ブライズさん達はシスターカモーエに教わりながら回復料理を作り始めた。
数分後出来上がったもの食べてみたが、苦味が物凄かった。
苦味がない料理を作れるのは『神聖料理人』の能力の様だ。
▽ ▽ ▽
無事にコンペは終わった。
シスターカモーエの焼コッコのヒール草和えも採用だ。
コンファに確認したら回復効果があるものを登録すると、缶詰にも回復能力が付くことがわかった。
アイザックさんは目玉商品が出来たので本当に喜んでいた。
アヤノはオークベーコンとオークカレーを作っていた。
それも缶詰になることになった。
「シスターカモーエは今後回復効果のあるレシピを思いついたら教えてね」
「わ、わかりました!」
シスターカモーエは少し嬉しそうにしていた。
缶詰工場のワーカーゴーレムは残り8体。
シスターカモーエの料理をもう少し入れたいので、この8枠は残しておくことにした。
俺はアリソンにラベルのデザインを頼んで、ヤルクへ帰宅した。




