空っぽの器
掲載日:2026/02/09
穴が開いた器に、水を注いでも、溢れ続けて、やがて何もなくなってしまった。
その器に花を立ててみても、水が入らないから、やがて萎れて、枯れてしまった。
空っぽの器。
そこに置いてあるだけの、空っぽの器。
喉が渇く。
だけどその渇きを潤すことすらも、やがて諦めてしまって、カラカラの喉で、眠りにつく。
ぼーっとしていると、喉の渇きを忘れられる。
自分の唾を飲み込んでいるだけで、充分なくらいに。
水は美味しい。
だけどその飲み方すらも、もう忘れてしまった。
もう水は飲まない方が良いのだと思う。
もし水を飲んでしまったら、また喉が渇く。
もっと欲しいと、疼いてくる。
幸せを求めることは、大きな代償を伴う。
快楽を求めることは、大きな苦しみを背負う。
だからもう、水は飲まない。
この喉の渇きと共に生きていく。
全てを諦めると、気が楽になった。
空っぽのまま、生きていくんだ。
穴が開いた器。
水を溜め込むことができない。
だから花を綺麗に保つこともできない。
人から受けた愛情を、信じることができない。
だから他人を幸せにすることもできない。
ジャンク品。
とっくの昔に僕は壊れていたんだ。
あはは
あははははは
空っぽの器。
僕はそれを机に置いたまま捨てることもできず、
ただ呆けた日々を過ごす。




