4話 壁に耳あり、障子に目あり
三歳「前話補足。ドール家、真の目的は【聖女の血を薄めない事】なんだけど...家系図でも書かないと分かりにくいよな」
セシル「そうね。血統付で書かないと理解出来ないと思うわ」
リア「青き血統の貴族ハプ◯ブルク家みたいじゃのぅ」
セシル「そうならない為に聖女側は三家置きそこから分家を増やす予定だったしドール家側もそこから側室を娶る事で子孫を増やす筈だったケド、12公家に邪魔されて逆に減る一方で...」
三歳「そもそも公爵家なんだから最初から協力的に「ピ―――――――ッ!」!?」
クレア「歴史(の授業)で語るのでは?」
三歳&セシル「はっじま〜るよ〜♪」
クレア「逃げましたね」
「ディアン先生質問があるんですけど〜」
チャイムが鳴ると同時に何人かの生徒がライナ(先生)の所に行く。
「間違ってる...とは言わないけど...」
「語られない部分が多過ぎますか?」
私の独り言にサクヤが勝手に続きを述べた。
「アナタは(真実を)どこまで知ってるの?」「殿下と同じか、それ以上かも?」
私の問いにニヤリとしながら答えるサクヤ。小声で話しつつも聞き耳を警戒しているサクヤを徹底していると思いながら僕は立ち上がる。
「昼食を取ったら、次の授業の準備をしないとな」
「そうですね。あぁ〜実技って着替えるの面倒くさいですぅ〜」
なぜかクレアのモノマネをしながら立ち上がり教室の扉を開けるサクヤ。
僕が廊下に出てサクヤが扉を閉める時、聞こえてくる同学級生の声
「もう手懐けてる」「メイドにでもしたつもりなのかしら」「仕込みだろ」
最後の言葉にざわつきが大きくなり、ドール家の揶揄とサクヤへの当てつけのような物言いが飛び交うのが感じられた。サクヤを見ると
「メイド服でも着ましょうか?」
と戯けながらスカートの裾をつまんだ。
「お、殿下ぁ〜コチラですぅ〜♪」ガクッ...
学食に着くとクレアが厨房から手を振っていた。そこまで二人で近づいていき
「何をしている」「給仕でしょうか?」「どうして?」「それは後程」
僕の問いにクレアが的外れな答えを言い、サクヤが食事を受け取り(ながらクレアの迂闊さを叱責し)僕が席に着けるよう促してきた。
「毒対策ですよ」
席に着き食べながらサクヤが言った。いくらなんでも大袈裟だと私が思っていると
「検知出来ない能力低下の食材や神経毒なんかも警戒しないといけません」
「そこまで!?」「必要ですよ」
サクヤだけでなくクレアが居たことで、他貴族のドール家に対する執拗な嫌悪感に今更ながらゲンナリした。
「そこまでかぁ〜」「殿下、気を抜かないで下さい」
気落ちして弛緩しそうになった私をサクヤが注意する。
「すまないサクヤ」「いえ」
僕は気を取り直し、(公爵家嫡子として)食事を摂る事に集中した。
昼食を終え訓練着に着替えた後、幾つかある四阿でお茶をしながら
「疲れたぁ〜」「お嬢様気を抜きすぎ「アナタもね。殿下と呼びなさい」...うぅ」
私を注意したつもりでサクヤに再度(食堂でも私をお嬢様と呼びそうになった事を)叱責され気落ちするクレアを見ながら私は
「今(私たちしか居ない時)くらい良いでしょ〜」「はぁ...」
私がクレアを庇い更に気の抜けた発言をしたからか、サクヤがため息をついた。
「私たちが周りを警戒しておきますので十全にお寛ぎ下さい」
「ありがとー」
カーウィンの言葉に気を抜いたまま私は感謝した。どうやら自分で思ってた以上に精神が疲弊しているらしい。
「こんなへばってるお嬢、初めて見た」「確かに言われてみればそうですねぇ〜」
アヴェイルとクレアが私を見ながらそう言ったのに対しサクヤが
「そう思うならあなた達はもう少し気を引き締めたら?」
「だからこそこの配置なのだ。サクヤよ」「あぁなるほどね。了解です」
何のことか分かってない二人は無視してサクヤはカーウィンの言葉に同意した。
実際カーウィンが校舎側に気を張り、サクヤが庭園側を警戒している。本来ならアヴェイルとクレアも参加し四方に気を配るのが妥当だろうが...まぁ私の後ろにクレアが控え、その正面にアヴェイルが居るのだ。一応見た目的には四方を警戒しているように見えるだろう。
「そろそろお時間です」「ん―――!っと...」
サクヤの言葉に私は大きく伸びをしてから一息つき
「では行こうか」「「ハッ!」」「「......」」
僕の言葉を受け準騎士二人は敬礼し、残る二人が軽く頭を下げた。
ダッダッダッダッダッ・・・
「気を抜くな!コレはお前達の基礎体力を知る為なんだぞ!」
まさかのランニングに辟易しながらも転生前の学校との違いに感謝する。
アチラでは昼食後五時間目の体育は地獄だった。そもそも食休みが足りず、大抵の者は腹痛に襲われるかソレを警戒して手を抜くか...どちらにしろ全力は出せない為、一部の特異体質者以外正しい評価も期待出来ない。
『それは穿ち過ぎじゃろ?』『アナタ唐突よね?!』
自分でも馬鹿な事を考えてる自覚はあったが急に話しかけられ驚いてしまった。
身体を動かしていた事もあり、魔力回路の繋がりに気付けなかったとか言い訳じみた事に思考を持っていかれていると
『そんな事はどうでも良いわ。それよりこの時間で魔力も強化せい!』『えぇ?!』
リアの提案に驚いていると続け様に言われた。
『時間は有限じゃ。やれる事はやれる時にするが良い』『でも』
私が実技がある事を伝えようとすると
『そこは手を抜かねばなるまい?じゃから今鍛錬に魔力を割いても問題ないわ』
思考を読まれる為、反論する間もなく回答され正論が飛んでくる。
「分かったわよ!やればいいんでしょ!やれば!」
『声に出すでない!馬鹿者めが!』
少し苛立ちながらストレス発散に声を出して抗議すると、思考が読める筈のリアが反論してきて私は深く考えずに突っ込みを入れた。
「先頭で誰も居ないわよ!」「...居ますよ?」「!?」『迂闊なやつめ...』
サクヤが気配を殺して追従していたみたいだ。だが私はそこで疑問が浮かんだ。
「アナタ、(周りが)見えてるの?」
『正確にはお主が検知しながら自覚出来ていない事も知れる...と言えば分かるかの?』
なるほど...と思いながら私が沈黙するとサクヤが
「ソレ(指輪に話し掛ける事を)辞めた方が良いですよ」
指輪を指差してから言ってきた。
「人が居ない時くらいは「気配を消せる人なんてそこら中に居ますよ」...」
そこら中には居ないとかアナタの居た環境ではとか色々考えていると
「どこから何が漏れるか分からないですから、警戒癖はつけて下さい」
そう言ってサクヤは私を追い越していった。
まぁサクヤが来てから秘匿してるつもりで出来ていなかった事や機密管理の向上は見られる。
「そうは言っても(魔力回路で)驚くなってのは、無理よねぇ」
小声で言ったつもりだったがサクヤには聞こえていたらしく、肩を竦めたのが分かった。
ライナ「私の名前はライナ=エラルド=ディアンです!」
セシル「なんで自己紹介してるの?」
三歳「作中でフルネームが出てないからじゃね?」
ライナ「それよりも歴史の授業で国家の裏事情(12公家の派閥や反体制)なんてやれませんよ!」
セシル「よく考えたらそれ以前に今やると...」
三歳「後書きで伏線張るのやめよう」
リア「そんな事より我の出番が減っておる!」
ライナ「それを言うなら私は出番カットされましたよ!」
クレア「それが脇役の宿命というものです」
セシル&三歳「ヒデェ...クレアも脇役の筈なのに」
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