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ケモ耳っ娘になったからにはホントはモフられたい~前世はSランク冒険者だったのでこっそり無双します~  作者: 都鳥
新しい生活

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57 英雄に添う者/デニス(1)

◆登場人物紹介(既出のみ)

・リリアン…主人公。前世の記憶を持つ、黒毛の狼獣人の少女。前世では冒険者Sランクの人間の剣士だった。

・デニス…王都シルディスの西の冒険者ギルドに所属する、Aランクの先輩冒険者。リリアンに好意を抱いている。

・シアン…デニスの兄貴分の冒険者。前・魔王討伐隊の一人

・ニール…冒険者見習いとして活動している、貴族の少年

・アラン…デニスの後輩の冒険者。騎士団に所属しながら、ニールの「冒険者の先生」をしている。

・ミリア…『樫の木亭』の給仕(ウエイトレス)をしている狐獣人の少女。デニス、シアンを兄の様に慕っている。

・アニー…リリアンの家のメイドゴーレム

 いつもの様に朝早く起き、アニーに見送られてリリアンの家を出る。公園に行くとリリアンとシアンさんが二人きりで談笑しながらトレーニングをしているのが目に入った。

 毎度早起きな二人が顔を合わせれば、こうなるだろうって事はわかっていただろうに…… そんな事を気にしてしまうのなら、自分ももっと早起きしてリリアンを捕まえておけば良かったんだ。


「おはようございます。早いですね」

 俺に気付いたリリアンが、声を掛けてきた。いや、それはこっちのセリフだろう。シアンさんも俺に気付いて手を挙げてみせる。

「よお、おはようデニス。彼女のが起きるのが早かったぞ」

「いやー、朝から体を動かさないと落ち着かなくって」

 そう言ってえへへと笑う。聞くと、もう既に二人で一回り走って来たところらしい。


 しばらくするとアランとニールがやってきて、リリアンはそっちの二人に合流した。最近はアランに教えてもらって騎士団でやっている訓練をやっているそうだ。

 「そういや昔俺たちも、アレクに教わって騎士団の訓練をやったなあ」

 シアンさんは3人を見ながら、少し懐かしそうな目をして呟いた。


 俺はいつも通りに子供たちの相手で、シアンさんもそれに付き合ってくれた。どうやら子供の扱いは得意なようで、シアンさんのおかげで皆もいつも以上に楽しそうだ。

 そんな張り切って素振りをする子供たちに声を掛けながら眺めていると、そっと横に来たシアンさんが俺に揶揄(からか)うように言った。

「お前なぁ。さっきちょっと怖い顔してたぞ」


 ちらとシアンさんの方をみると、子供たちの方を見たままで何食わぬ顔で言葉を続ける。

「俺が先に彼女と知り合っていたのが気になるのかもしれねえがな。まあ彼女は俺みたいなおっさんの事は気にもしないだろうよ。俺だって別に彼女にちょっかいを出すなんてつもりはねえから、余計な心配すんじゃねえよ」

 シアンさんにとってはそうだろうと、思ってはいるけどさ……


 昨日の晩、面白がったシアンさんは俺から無理矢理話を聞き出した。だから俺のリリアンへの気持ちは知られている。

 でも問題は、リリアンの気持ちなんだ……

 獣人は強いオスに惹かれる。そうラーシュは言っていた。己惚(うぬぼ)れているつもりはないが、王都(ここ)でのリリアンの知り合いの中じゃあ、俺はそれなりに強い方に入ると思う。

 でもシアンさんは俺なんかよりずっと強い。もしもそこにリリアンが惹かれちまったら、きっと俺に勝ち目はない。


 * * *


 ミリアとメイドのアニーが用意してくれた朝食は、ワイバーンの燻製(くんせい)肉を添えたスクランブルエッグに、瑞々(みずみず)しいトマトがたっぷりと入ったサラダだった。そしてテーブルの中央に置かれた籠には、今さっきリリアンがロディの店で買ってきた焼きたてのパンが山と盛られている。


「朝からワイバーン肉とは贅沢(ぜいたく)だなあ」

 シアンさんがやたらと嬉しそうに言うと、それを聞いてアランが意外そうな顔をした。

「シアンさんほどになれば、ワイバーン肉なんていつでも食べられるんじゃないんですか?」

「まあ、食べたい時には獲りにも行くけどな。でも普段からそんな良いもんばかり食ってるわけじゃねえさ」

「シアンさん、そんなに欲がないですからねえ」

 横からミリアが笑いながら言葉を添えた。



「で、今日はクエストとか行くのか?」

 アニーが持ってきたお代わりのパンを手に取りながら、シアンさんは楽しそうに皆の顔を見回した。それに真っ先に応えたのはニールだった。

「俺、シアンさんとクエスト行きたい!!」

「ああ、皆で行ったら楽しいよな。どうだ?」

 ここぞとばかりに、シアンさんが提案を掲げる。

「いいけど、おっさんは見物な」

「えー、なんでだよ」

「おめー、自分のランクを忘れてんのかよ!」

「そんなこまけー事気にすんじゃねえ」


「シアンさんって、Sランク?」

 俺とシアンさんのやり取りに普通にニールが乱入した。大分慣れてきたらしい。

「まあ、表向きはな。でも一応は元討伐隊だからなあ」

 冒険者ランクは高くてもSまでしかない。とは言え、魔王を倒した彼らの実力がSランクなんて所に収まるはずはない。そうとしか表示されないだけで、実際にはSSランクとかになるのだろうか。


「Sランクどころかそれ以上のヤツが、俺らと一緒のクエストに参加出来るわけないだろうが」

 わざと意地の悪い言い方をしてみせたが、シアンさんはいつもの様に笑って誤魔化(ごまか)した。


 * * *


 結局、お(さだ)まりだがオーク狩りに行く事になった。それでもこれはDランク以上の依頼だ。本来なら見習いのニールが登録できるクエストではないが、これとモーア狩りにならニールも登録していい事になっている。これはギルマスの特別な計らいだ。

 シアンさんも肉が食えると喜んだ。まあ、あの人の実力なら俺らなんか居なくても、もっと良い肉が食えるんだけどな。



 これだけの戦力があるのだからと、シアンさんが選んだオークの集落はこの辺りで一番の大きさの所だった。


「よっしゃー、おびき出すぞー」

 あまりにもやる気満々のシアンさんの様子に不安を感じた。

「おっさん、やっぱり参加するのかよ」

「良いじゃんか、やらせろよ」

「おっさんが本気だしたら、あいつらの出番が無くなるだろうに」

 そう言った俺の言葉に、シアンさんは珍しく不敵な笑いを見せた。


「俺を誰だと思ってるんだ? 元・魔王討伐隊の『サポーター』だぜ?」

 シアンさんがあまりにも自慢げに言う様子に、ニールが不思議そうな顔をした。

「『サポーター』って…… 『英雄』の身の回りの世話をするんだって聞いたけれど……」

「ああ、勿論(もちろん)それもそうだが、それだけじゃあない」

 そう言ってシアンさんはオークをおびき出す為の笛を、空に向かって長く吹いた。

 お読みいただきありがとうございます。

 またブックマーク、評価もありがとうございます。

 とても励みになっております。


 次回はシアがかっこよく…… 見えるといいなぁ……


 基本キャラの一人称で書いていますので、本人が分かっている情報や、逆に本人からはわからない情報については敢えて書かなかったりしております。

 そうすると、誰かが何気に言った一言に実は裏があったりとか……


(メモ)

 ワイバーン肉(#31)

 特別な計らい(#26、#16)

 (Ep.2)

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一部の話を『『ケモ耳っ娘になったからにはホントはモフられたい』おまけ閑話集』への別掲載の形に変更いたしました。
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