第42話 『図書館と図書室、認識の齟齬』
■昼休み・校舎裏のベンチ
昼休み、日差しを避けて裏庭のベンチに座り、アコウは自分の弁当をつつきながら、ずっと落ち着かない表情をしていた。
ミコトがそれに気づいて首を傾げる。
「ねぇアコウ、さっきからずっとソワソワしてない?」
「……うん、ちょっと……図書館の司書の人、気になっててさ」
「え、司書さん? あの大人しい人?」
アコウはコクリと頷いたあと、ミコトの顔をそっと覗き込んだ。
「……もしかして、あの人って……ユウ、なんじゃないかなって思ってる」
「ええっ!? でも前に見に行ったとき、“違う人”だったよ?」
「そうなんだけど……何かね、引っかかるっていうか……昨日、あのユウの手紙見てから、なんか“空気感”が似てるって思ったんだよね……」
「空気感?」
「うん……言葉じゃ説明できないけど……なんか、同じ匂いするっていうか……ああもう、うまく言えない!」
アコウが身悶えしながらカバンをごそごそと探る。そして、例の“認識阻害の石”を取り出した。
「……これ、あるでしょ」
ミコトはぎょっとする。
「それ、使うの!? 学校で!? というか、司書室って、職員棟じゃない!? 先生たちいっぱいいるし、バレたら――」
「でも、石を使えば見つからない……たぶん……」
アコウは悪い顔でにやりと笑う。
「放課後の人が少ない時間を狙って、司書室の窓から“そーっと覗くだけ”」
「アコウ、それ完全にスパイ映画のノリだよ……」
ミコトは呆れながらも笑って、結局は頷いた。
「……わかった。でも、絶対に声出さないでよ? あと、変なことして追い出されたら、私、巻き込まれたくないからね」
「大丈夫大丈夫、見るだけ、見るだけ!」
──だが、アコウの瞳はすでに“見るだけ”のテンションではなくなっていた。




