23話 『フライパンより図書館』
教室の片隅、アコウとミコトは机をくっつけてお弁当タイム中。
アコウは玉子焼きを口に運びながら、しばらく黙っていたが――
バンッと箸を置いて決意の声を上げた。
「やっぱり、もう一回行くわ。図書館に!」
ミコトは口にくわえていたウインナーをポロッと落としかけた。
「……何その唐突な謎ミッション。読書キャラだったっけ?」
「違うよ! 本とかじゃなくて、そこにいたの! 似てる人が!」
「誰に?」
「ユウに!!」
ミコトは一瞬きょとんとしたあと、吹き出した。
「……あっはは! ユウって、あの狐耳の子? ダンジョンにいた?」
「そう、その子! 耳とか尻尾はないけど、なんか雰囲気とか、話し方とか……すごく似てたの! 図書館の司書さん!」
「えー、また夢の話~?」
「夢じゃないもん! ちゃんと見たんだって!」
「じゃあ行って確認すればいいじゃん、一人で」
「やだ。一人だと……なんか、恥ずかしい。私、司書さんに顔覚えられてるかもだし……変な子って思われたらどうするの」
「……いや、そこまで不審ならもう手遅れだと思うけど……」
「お願いミコト、付き合って! 放課後ちょっとだけでいいから!」
ミコトはしばらく渋っていたが、アコウの真剣な目を見て、ついに根負けした。
「……しょうがないなぁ。うちの親に“今日は図書館で勉強する”って言っとくから、付き合ってあげる」
「やった! マジ天使! 揚げ物を一緒に倒した戦友として感謝!」
「いやそれ、私は記憶にないし……しかも戦友っていうか、なんでフライパンだったのかも不明だし」
「ミコト、また忘れてるけどさ、あれ結構強かったんだからね。油断したら油まみれだったよ、私たち!」
「語彙力!」
教室の喧騒の中、ふたりの机の上には、お弁当と一緒に何やら“謎の任務”の空気が漂っていた。




