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Geister Kontinent   精霊大陸での日常  作者: うぃんてる
第一部 賢者の学院編
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番外編 小話 GW

活動報告に先日掲載したバトンにて、『自分の作品のキャラクターを使ってお題「GW」を元に小話を書く』というものがありました。それを手直しして番外にて。


最終改稿日2015/04/12

 ある日いつものように自室で古文書の解読をしていたウィンテルは、喉の渇きを潤すためにキッチンに飲み物を貰いに行こうと廊下を歩いて行くところで妹のエレンに声を掛けられた。


「お姉ちゃん、お母さんどこにいるか知らない?」

「え?キッチンにいなかったの?」

「うん。いないんだよね。おかしいなあ。もし見かけたら教えてお姉ちゃん」


 妹のエレンはやや焦り気味に私にそう言って立ち去って行った。そのエレンの胸にはなにやら怪しげに蠢く物体が入っているようにみえる、魔法で耐久性を強化した皮袋をいくつか抱えているのだがあの表情から察するにその中身はあまり気持ちが良いものではなさそうだ。

 私もお母さんには用事があったので丁度いいかと探し始めることにした。キッチンを一応念のため見て見たが誰もいなかった。ただメモ用紙にお母さんの筆跡で走り書きのようなものが残されていて、それぞれ“G”“W”と書いてあるように見えた。


「うーん。何だろう、これ。文字体としては精霊語のように見えるんだけど」


 一応、高等ルーン・マスターのお母さんも精霊語は読み書きできるとは言え普段は滅多に使わないはずだし。それを敢えて使ったということは精霊関係なのだろうか。

 とりあえずキッチンは後でまたくることにしてお母さんのいそうな場所を片っ端から訊ね歩いてみるもいた痕跡すらなかった。けれども屋敷のどこかにはいるんだろう。出掛けたのならヨハンが教えてくれるし、ゲートなんか使えば私なら詠唱段階で居場所を特定できるし。


「おかしいなぁ、どこにも居ない。でも裏庭も前庭も一階も二階にもいなかった。……あれ、エレンにも遭遇してないや。んー……?」


 としたら後は地下?地下室なんてあったっけ。

 小首を傾げたウィンテルだったが記憶にそれらしい物は残っていない。と、その時。足下の深い所から女の子の悲鳴のようなものが聞こえてきた。


「この声はエレン。そして、場所は、ああ!分かった。裏庭の小屋から潜った先にある使われていない氷室ね?」


 ようやく思い出したウィンテルは急いで裏庭に駆け付け地下へと階段を駈け降りていく。その間もエレンの悲鳴が下の方から響いて来ているので一体何事なのかと氷室の古びた壊れかけのドアをはしたないとは思いつつも蹴り開け壊して部屋に文字通り飛び込んだウィンテルが見た光景は。


「もういやぁぁぁっっっ?!気持ち悪いからもう取って、お母さん!!アルバイト代金返すからっ!もうやだーっ!!」

「もうちょっと我慢しなさい。リリーちゃんにプレゼント買うお金が欲しいんでしょう?あと5分で終わるから」

「二人とも…………なにやっているのよ……」


 全身を巨大化したグリーンスライムとウォータースライムによって衣服の中まで蹂躙され包み込まれているエレンが生理的な嫌悪感も顕に泣き叫んでいる。スライムたちは恐らくエレンの肌を這いずりながらその肌に残されている老廃物を吸着して食事を取っているのだろうことは分かるんだけど。


「はい、ご苦労様。もう終わりよ」


 ようやく解放され息も絶え絶え涙目で、そして汚れ一つなく輝く肌を手に入れたエレンはぐったりと震えながら身体を休めていた。


「……お母さん、なんなの、それ」

「あらウィンテル。美容メーカーに頼まれて人体に害を与えないように改良されたスライムを使った美容製品の開発たのまれているのよ。それがこれ」


 そういって魔術的なキーワードで小さくなったスライムか入っている小瓶を見せてくれる。そのラベルには『潤いと保湿効果を与えるW』『危険信号になったお肌も綺麗にリセットするG』と書かれていたのだった。



この世界、ゴールデンウィークみたいな春の連休ないので四苦八苦してひねり出した結果、おそらくバトン作成者の意図しないであろうお話しになりました。


………………どうしてこうなった。

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