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【WEB版】被虐待児の最強転生して優しい家族に囲まれ  作者: 御峰。
奇跡の大地編

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75.三度目の祭

 遂に『アカバネ祭』の日が来た。


 事前に遠距離ライブ観戦装置(ライブビューイング)を各地に案内していたため、各地域の大きな町に設置されたライブ場には多くの人が集まっていた。


 前回のライブが王国内で有名になり、どのようなモノかと観戦に来た者も多くいた。


 各町では祭り状態となり、多くの『プラチナエンジェル』印を持った屋台や出店がごった返していた。


 各町には二か月前から告知しており、各町ではその警備も一際力の入れようであった。


 そして昼過ぎに最初の演目、『発表会』が始まった。



 まず、各町の遠距離ライブ観戦装置(ライブビューイング)が点灯した。


 点灯と同時に「おおお」と多くの歓声が上がった。


 それもそうだ、遠くの景色を映すなんて、今まで誰も出来なかったのだから。



 そこには本店であるエドイルラ街のステージが映されていた。


 そしてそこに一人の女性が上がってきた。


「お久しぶりで~す、本日も『アカバネ祭』にお越しくださった皆様ありがとうございます!」


 発表会とあって、清楚な制服姿のナターシャお姉ちゃんだった。


 割れんばかりの声援が全ての町で上がった。



「まず最初になりますが、ご覧の通り、私は現在エドイルラ街におります!」


 ナターシャお姉ちゃんが両手を広げると画面が回りをぐるーっと回った。


 エドイルラ街並みと広場を埋め尽くすお客さんが映った。


「この遠距離ライブ観戦装置(ライブビューイング)は遠くの景色を他の場所でも見れるようになっております! 他の街のみなさんも元気ですか!!」


 うおおおおおおお!!!!! と大観衆の声が聞こえた。


 いや、実際は聞こえてないんだけど、各支店現地では割れんばかりの歓声が上がっていた。


「あれぇ? 他の町の方はあんなに元気なのに、エドイルラ街のお客様は??」



 うわあああああああああああああ!!!!!

 ナターシャああああああああああ!!!!!

 

 

 エドイルラ街が歓声で包まれた。


「ふふっ、皆さん、後程の『ライブ』にもお越しくださいね? では! これから発表会になります!」


 ナターシャお姉ちゃん、お客さん煽るの段々上手になっている。


「何と! アカバネ商会の『アカバネ魔道具』の賃貸業も始めます! 何とエクシア辺境伯様とアカバネ商会が提携し、各地へ『アカバネ魔道具』の賃貸が可能となりました! 現在二種類の商品を準備しております!

 まず最初は『エアコンキューブ』という魔道具です! こちらは箱を開けると中から涼しい風や温かい風を部屋に吹かせる事が出来ます! 暑い夏も寒い冬もこれ一つで快適に暮らせるようになります!」



 すげぇええええええええええ!!!!!

 そんな魔道具があるのか! すげぇえええ!!!!!

 ナターシャちゃんまじ天使ぃいいいいい!!!!!



 ちょっと『エアコンキューブ』と関係ない声援も交じっているが、良い反応だった。


「更に二つ目は『シャワー』でございます! こちらは最早説明もいらないアカバネ商会の超看板商品でございます!こちらは使用した数で追加料金が発生しますが、いつでも自由に使える事が出来るでしょう!」


 『シャワー』もまた良い反応だった。


 この世界では風呂は贅沢な物で、貴族くらいしか入れないからこの『シャワー』は大人気だった。


 今でもお客様関係なく住民達がこぞって利用していた。



「これで我々が賃貸する魔道具はこの二品です! どちらも借りただけで基本料金がかかり、使用すればする程追加料金が発生しますが、追加料金は基本的に安価になりますので無理な使用さえしなければそれ程かかりません!それともう一つとても大事な事がございます」


 ナターシャお姉ちゃんの顔が真剣に変わった。


「こちらの魔道具ですが……賃貸後、もし破壊したり、分解したり、解析した場合は、金輪際アカバネ商会との取引は全て断らせて頂きます。そして弁償金としてエクシア辺境伯様より金貨百枚を請求させて頂く予定でございます! 間違っても壊したり、分解せぬよう十分理解した上で賃貸して頂ければと思います!」


 割れんばかりの声援と拍手がなった。


 値段は後日公開予定だ。


 それと当初予定していた『水が出る魔道具』は出さない事になった。


 理由はあの魔道具から出る水が、『錬金水』である事。


 そして現在売り物になっている『プラチナエンジェル水』になっているからだと言う。


 僕的には問題無かったけれど、『錬金水』である事がバレたら大問題になりかねないと言う。




「そして、最後の発表でございます!」


 回りがざわついていた。


「最後はですね……皆様が多く売って頂いたおかげ様で、我々アカバネ商会は多大なる利益を上げております、この場を借り感謝を伝えたいと思います、本当にありがとうございました!」


 大きく拍手が上がっている。


「そしてそんな皆様の応援に答えるべく……私ナターシャからオーナー様へ直々相談の上、一つ決まった事がございます」


 お客様達の目がキラキラ光っている。


「なんと! いつも売上上位十名様の『握手券』ですが……この度、もう一つ『食事会券』を追加する事が決定しました!!!」



 うあああああああああああああああああ!!!!!

 ナターシャちゃんと食事いいいいいいい!!!!!

 ナターシャちゃんまじ天使ぃいいいいい!!!!!



「これからは『握手会』と別に本店のエドイルラで『食事会』も行いますので、上位十名の方には『食事会券』を、上位十一位から二十位までの方に『握手券』をお渡しします!これからもアカバネ商会を宜しくお願い致します! ナターシャも皆様の笑顔のために頑張ります!!」


 この発表にて、『食事会券』のプレミアム値段は計り知れない程爆上がりした。


 中には金貨十枚で買うと言った貴族もいたが、今回は全部ギルド『アマゾネス』へ渡す予定だ。


 彼女らがお金で売るなんて事はなく、来期からはますます熾烈な戦いになるのだった。




 ◇




 それから夕方に三度目のナターシャお姉ちゃんの『ライブ』が行われた。


 前回同様パワフルな曲からバラードまで熟しっぶりだ。


 しかも今まで以上にお客様を盛り上げるのが上手い、何というか煽ってる。


 遠距離ライブ観戦装置(ライブビューイング)の向こうにいる見えないお客様に対してもしっかり煽っていた。


 数曲が事前に発表されていたのも相まって、ナターシャ姫応援団による息のぴったりに合った応援をしていた。


 あの応援団って毎日応援の練習をしているんだそうだ。


 何とナターシャお姉ちゃんのライブを全て記憶しており、応援方法を話し合ったりと精力的な活動のようだ。


 更に今回も『アンコール』があった。


 しかも二回も。


 本番一時間、アンコール一回目二十分、二回目二十分。


 最後ナターシャお姉ちゃんがバテバテになりながらも歌い踊り、お客様もそれを見てますます心酔していった。



 『アンコール』が終わり、裏に戻ったお姉ちゃんは直ぐ倒れこむように気を失った。


 そんな彼女に「お疲れ様」と声をかけながら『エリクサー』を使ってあげた。


 眠っているナターシャお姉ちゃん、天使過ぎる。

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