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43/56

43話・変えたのは誰? *キャラ相関図

新しいキャラクター相関図

前回(25話)との違いをご確認ください

挿絵(By みてみん)

 ひとしきり泣いた後、ショウゴは腕で目元を拭って息をついた。三年前のわだかまりが無くなったことで、ショウゴは吹っ切れたようだ。


 一緒に遊んでいる時は平静を装ってはいたが、ずっと気に病んでいたんだろう。思えば、コイツは俺の反応を窺うような言動ばかりしていた。絶縁されないよう適度な距離を測っていたのかもしれない。

 なんでそこまでするんだか。もしかして、コイツかなり俺のことが好きなのでは?


「家まで送るから乗れよ」

「いい。歩いて帰る」

「結構距離あるぞ?」

「体力作りでウォーキング始めたんだよ」


 俺の言葉を聞いた途端、ショウゴが後ずさりして後ろのフェンスに背中をぶつけた。ガシャンという音が薄暗い駐車場に響く。信じられないものを見た、みたいな表情をしている。


「お、おまえが運動……?」

「そんな驚かなくてもよくね?」


 まあ、学生時代から今に至るまでほとんど運動しなかったからな。必要最低限の外出しかしたことないし。


「急に仕事を決めたり自発的に運動始めたり、一体どういう心境の変化だ?」

「……ちょっとな。自分を変えたくて」

「ふうん。まあ、いいんじゃねェか? おまえがそんな風に前向きになれて良かったよ」


 俺の変化に驚きつつも、ショウゴは喜んでくれた。


「やっぱ彼女が出来ると違うな。リエに感謝だな」

「違う、リエじゃない!」


 思わず否定してから、慌てて口を押さえる。

 まずい。隠していたのに、気が緩んでついリエと付き合っていないと暴露してしまった。


「……やっぱりな。だと思った」

「へ?」


 ショウゴはニヤリと笑いながら目を細めた。


「おまえの好みはリエと真逆だもんな。前も言ったけど、おまえが好きなのはミノリちゃんだろ」

「そっ……」


 咄嗟に弁解しようとしたが、またミノリちゃんの名前を出されて全部吹っ飛んだ。これ以上口を開けば墓穴を掘りかねない。


「マリに聞いたんだよ。リエがおまえと本気で付き合ってんのかどうか。そしたら『絶対有り得ない』って」

「ずいぶん強く言い切るじゃねーか」

「アイツが言うには、リエは今まで誰とも本気で向き合ったことがない『かわいそうな子』なんだとよ。だから、今回もただの遊びだろうってさ」


 すげえ、さすが恋愛脳。物事の基準が恋愛中心だから、まともに恋愛出来ない奴は『かわいそう』なのか。何度も彼氏を寝取られているはずだが、分かっていて許しているのだとすれば、マリのメンタルは相当タフだ。


「てゆーか、昨日リエが別の男と遊んでるとこ見掛けたしな」

「あンの尻軽女……ッ!」


 自分から言い出しといて何バレるようなことしてんだ。必死に隠してた俺が馬鹿みたいだろうが。

 幾ら考えてもリエの考えてることなんか分からない。そもそもアイツの行動に意味があるのかすら怪しいものだ。


「帰る」

「リエんちに乗り込むなら付き合うぞ」

「行かねえ!!」


 ショウゴと別れ、民家の少ない通りに差し掛かってからスマホを取り出し、電話を掛ける。


『もっしも〜し♡』

「おい、俺に何か言うことあんじゃねーの?」

『え〜? やだプーさん、なに怒ってんの?』


 電話口の向こうから聞こえる呑気なリエの声に、怒りを抑えながら問い掛ける。


「俺と付き合ってることにしてたクセに、なに他の男と会ってるのをショウゴに見られてんだよ!」


 こっちは取り引きだと思って我慢して従っていたというのに。ショウゴは何となく察してるみたいだけど、ミノリちゃんには誤解されたままなんだぞ。


『あっ……』


 コイツ、忘れてやがったな。

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