事件の結末
慶事というのはそれがどんなものであれ国中をお祭り騒ぎにするものだ。
ある者はそれに便乗して物を売り、またある者はそれにかこつけて酒を飲む。
広場には出店が出されて道端では音楽が奏でられ、それに合わせて多くの人が楽しげに踊った。
そして良きことのおすそ分けとばかりにあちこちで芸が披露されては笑いが起こる。
国中が帝国の慶事を祝い、街では一週間かけて祭りが開かれていた。
ウィクトル帝国皇帝の結婚。
平民が知るのはそれだけだ。
もちろん、皇帝の結婚の知らせと合わせて前皇帝の退位と新皇帝の即位の知らせは国中に周知されたのだが。
しかし平民にとってそれはそこまで気にするものではなかった。
彼らにしてみれば誰が皇帝となろうとも、自分たちの生活を守ってくれるのであれば問題ないからだ。
しかし貴族は違う。
公爵会でオルランド公が断罪された。
その一報は瞬く間に貴族の間を駆け巡り、驚愕を与えた。
元々ウィクトル帝国は複数の部族が合わさってできた国。
その中の一大部族であるオルランドが帝国の歴史から姿を消すというのは、小国が一つ無くなるくらい衝撃のある話だ。
いったいオルランド公は何をしたのか。
貴族の社交の場ではまるで合言葉のように連日その話題が取り沙汰されていた。
そして真実が公表される。
前皇帝であるイーサンへ魅了をかけた罪。
皇帝を傀儡とすることにより国を乗っ取ろうとした罪。
さらには隣国ユエランへの売国疑惑。
国を混乱につき落とすような今回の行為には国家反逆罪が適応される。
オルランド家は爵位没収の上当主一家は処刑、一家と協力関係にあった親類に至るまでが流刑地にて強制労働が科された。
その事実が公表され、貴族社会では更なる混乱が巻き起こる。
そんな中前皇帝イーサンは自らの口で自身の至らなさを告白し、帝国法に則り帝位を退くこと、後継は継承順位一位のユージンだと発表した。
そして同時に、フォルトゥーナ国との間で交わされた約束はウィクトル帝国皇帝とフォルトゥーナの第二王女との婚姻のため、ディアナ・フォルトゥーナ第二王女はウィクトル帝国の新皇帝ユージンと婚姻すると公表。
一連の事件はその発表によって一旦幕を閉じたことになる。
もちろん、その陰では表に出せない処分を下したものもあった。
今回の事件で大きな罪を犯したフィリアは元々ユエラン国の国民。
しかし現在の身分は帝国の男爵令嬢ということもあり、イーサンは帝国内で彼女の罪を裁くことを望んだ。
しかしそれに関してはマレフィクスから待ったがかかる。
彼女は特殊な血筋ということもあり、マレフィクスは彼女を自国へ連れ帰りたい理由があるようだった。
おそらく彼の国でも王宮内での派閥争いがあるのだろう。
しかし、だからといって帝国側はそのままの状態で彼女を渡すわけにはいかない。
今後もその能力を利用して帝国へ不利益を被らせる可能性もあり、また、彼女の罪への処罰が成されないからだ。
そのためフィリアには特別な誓約がかけられた。
彼女は今後自身の能力を使うことができなくなりただの女性となる。
そして罪に関してはユエラン国で裁かれ、その結果は必ず帝国へ共有するというものだった。
さらにはユエラン国から秘密裏に賠償金の打診があり、両国は表立って争うことは得策ではないことからそれで手を打つこととなった。
主にイーサンが担ったとはいえそれだけの処理を一緒にこなしながらユージンとディアナは結婚式の準備も同時に行うという、なんとも忙しい日々が続いた。
そしてとうとう、ディアナにとって戸籍上は自身の親兄弟であるフォルトゥーナの王族が来国する日がやってきた。
読んでいただきありがとうございます。
少しでも続きが気になったら、ブックマーク登録や評価などしていただけるととても励みになります。
よろしくお願いします。




