第八話
こんにちは。アルだよ。
もう冬の二の月(二月)。季節はもう真冬って感じで、雪も積もってるんだ。
いつも、近状報告みたいな感じで一ヶ月くらいの間にあったことを一気に書いているんだけど、今回はある一日のことを書くね。
冬の二の月の13日目。
その日は丁度学園がお休みの日で、エルファ様は珍しく外に出て、お買い物をしていたんだ。
いつもなら従者(つまり僕だね!)にお願いして、自分で買いに行くことなんてめったに無いんだけど。エルファ様は文房具に……というか、ペンにこだわりがあって、わざわざ自分で買いに行くんだよね。
そして、丁度その翌日は、異国の地、東和連合国の情人節(バレンタインっていうんだって)という日なんだって。
情人節っていうのは、女性からは男性にチョコレートをあげる日。
そうそう、 男性から女性に、お花(薔薇であることが多いらしいよ)をあげる場合もあるらしいよ。
丁度いいから、今日、情人節にハーディー様(やっぱり僕、この人には「様」なんてつけなくていいと思うんだよなぁ)にあげるチョコレートを選ぶらしいよ。
まず、文房具屋に行ってエルファ様がお気に入りのペンを購入して、人気の雑貨屋に行く。
文房具屋では、気前の良い老店主が新作のペンを紹介してくれたんだ。
エルファ様は普段遣い用のペンと、新作のペンを両方とも買って、どっちが使いやすいか比べてみるんだって言ってたよ。
ペンを買い終わったから、次に雑貨屋に行こうと思って、道を歩いていたら、偶然!
第二王子のアラン様と、その婚約者であるアンナ様を見かけたんだ。
二人は仲良く腕を組んでいて、とても幸せそうだった。
エルファ様は、自分とハーディー様の関係とあまりにも違うことにショックを受けたんだろう。
それで、泣き出してしまったんだ。
もちろん、エルファ様の泣き顔なんて有象無象に見せつけるわけにはいかないから、慌てて体でガードしたよ。
そして、エルファ様が泣き止んだ後、特に何事もなく(一回だけエルファ様が雪で転びかけたけど、しっかり支えたから怪我一つしていないはずだよ!)雑貨屋にむかい。
ちゃーんと、公爵様とファスターさん、(ついでにハーディー様)のプレゼントを買うことができたよ!
僕も、ちょっとしたサプライズを用意したから、情人節が楽しみだね!




