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祝福の赤い月  作者: violet
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鉱山

鉱山の入り口に着くと、責任者のジェイコブが待っていた。


「公爵から連絡を受けております。

危険ですから、ご案内いたします。」


「この金鉱脈は、地中長く坑道が続いており、深さは10メーターに達しています・・・」

ジェイコブの長い説明が続く。オリビアはあくびを押し殺しながら歩む。


坑道の周りの壁にさえ、小さな金の結晶が見れる。かなり金が豊富な鉱山といえるだろろ。

オリビアの頬が緩む。


微かに子供の声が聞こえた。

「あいつら、また入り込んで遊んでいるな!」

ジェイコブが手にしたライトで遠くを照らした。


「申し訳ありません、オリビア様。

ここを遊び場にしている子供達がいるのです。

危ないから叱ってはいるのですが、すぐに入り込んでしまって。」

ジェイコブの言葉にオリビアは、子供はどこにいるんだろう、と坑道の奥を見る。


もしかして、金の塊をオモチャに遊んでいる?

子供に価値はわからないもの。

私の金塊が!

「危ないわ、なんて危険な。」

オリビアの言葉を受けて、ミモザも言う。

「オリビア様の言う通りです。

坑道なんて暗くて、道を外しでもしたら、子供は大けがをするわ。」

周りが、オリビアの言葉をいい方向に取ってくれる。


「すぐに人をやって、子供達を外に出し」

ジェイコブの言葉の途中で、大きな音がした。


「落盤だ!!」

坑道の奥から男達が土煙の中を出て来た。


「なんですって!」

奥には大量の金が埋もれているに違いないのに。


「ジェイコブさん、オリビア様もこのように心配されています。

すぐに子供達を助けましょう。」

「ミモザ落ち着いて。

むやみに救助に向かっても、2次災害の危険があるわ。」

オリビアがミモザに話を合わせると、周りは、なんてお優しい、と感動している。

オリビアも金に目がくらんでいるだけではない。子供達も心配なのだ、声を聞いたのだから。


坑道の奥から出て来た坑夫は豚の獣人が多かった。

オリビアにはブヒブヒ言っているように聞こえる。



「ねえ、ミモザ。

子供達は、坑道の入り口から侵入したの?」

オリビアの言葉を聞いて、ジェイコブが返事してきた。


「あいつらは、山の中腹にある子供がやっと通れるぐらいの穴から入ってくるんですよ。

ただ、縦穴で降りるのはできるが、登って出ることは出来ないんです。

出るには坑道を使うしかないんです。

その坑道の途中で落盤があったらしく、その先はどうなっているかがわからないのです。」

ジェイコブは豚の坑夫を数人、村に向かわせ、子供達の親を連れて来るように言った。



オリビアは急いで坑道の外に出ると、アキルを呼んだ。

「オリビア様どうされましたか?」

どこに隠れていたのか、ヌッとアキルが現れた。


「事故が起こって子供が閉じ込められたの。

城に戻って助けを呼んで来てほしいの。」

「オリビア様が公爵を呼べば、聞こえると思いますよ。」

アキルの言うことが、魔力のない人間のオリビアには理解が難しい。

ラヴィダルのいる城から随分離れている。


「ラヴィ・・ラヴィ!」

オリビアが空に向かい叫ぶと、黒い影が立ちあがった。

「呼んだか?」

そこにはラヴィダルが立っていた。


「ラヴィ?」

自分で呼んでおきながら、オリビアが驚いている。


「オリーが呼べば、どこにでも行くよ。

公爵領の中は、僕の魔力で満ちているからね。

事故が起こったようだね。」

ラヴィダルには全てがわかっているようだった。

ラヴィダルは坑道の中に入って行くと、落盤が起きているところまで歩いて行った。


手をかざすと、落盤して岩で埋められた坑道に穴が開いた。

「地盤が緩んでいる、長くは持つまい。」

そう言ってラヴィダルはオリビアを見た。


「アキル、危険だけど、中に入って子供達を助けて。

貴方のスピードなら出来るわ。お願い。」

「もちろんです。オリビア様。」

すぐにアキルは穴の中に消えていった。


さほど待つことなく、アキルは背に子供達を乗せて戻ってきた。

どの子供もぐったりしているが、無事である。


「ラヴィ!アキル!ありがとう。」

オリビアが、凄いわと誉めちぎっている。


そこにジェイコブがやって来て膝をついた。


「公爵様、ありがとうございます。」

「僕はオリビアに呼ばれただけだ。」

ラヴィダルの言葉に、豚坑夫達から歓声があがる。


「オリビア様、ありがとうございます。

子供達を助けてくれて感謝しきれません。

どうか我々を配下にお加えください。」

はー、と坑夫達が頭をさげると、オリビアもできませんとはいえない。


何故かオリビアの手柄となり、金鉱一帯の坑夫が子分に加わった。


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