僕の音
世間が暗い色のコートで体を包むとき、僕もお披露目されるんだ
駅前にある背の高い木に、ネオンやキラキラのモールと一緒に飾られる
てっぺんにつけられた金色のお星様
彼女と僕は同じ金色だからたった1人
「りんりんりん」
僕達がお披露目されると人々は沢山会いに来てくれる
子供達はお星様やキラキラしているモールに指さし手を叩く
大人たちはまだ輝いていないネオンに目を輝かせるんだよ
僕はここにいるよ
「りんりんりん」
みんなのお喋りや、ときおり踊る枯葉の音で僕の声は届かない
空気がキーンとしたきたら駅から出てきた人々はどんどん早足になってきた
世界は影が深くなり誰かのお喋りたちもヒソヒソと
近くのお家たちからは灯りが少しずつ増えていく
パパと手を繋ぎ楽しげな少年はマフラーをして僕たちの方にやって来た
ネオンを見に来ただろう年配のご夫婦さんも沢山着込んで僕らを眺めている
突然枯葉達が舞い踊った
気づけば僕も「りりりんっ」て声を上げちゃっていた
僕の大きな声ででびっくりしちゃった少年は
パパを見つめてにっこりとした
それを合図にかけっこしながら来た方へ行っちゃった
今度は風の力を借りないぞ
静かな夜に
「りんりんりん」とベルの音を響かせた
ご夫婦さんは僕を見た
彼らの指は少しだけ重なったみたい
イルミネーションの時期ですね
以前イルミネーションを飾り付けているという大人の時間を見てしまいました




