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つけられた価値
私は人気作家と世間から呼ばれるようになり、
長らく経つ。
今回も講師を頼まれた。
大きな講堂で行うものだ。
講演の日、控え室で多くの【関係者】という人々から
最新作の綺麗な本を渡され「サインをくれ」という。
要望に応えできる限りサインを書いた。
講義の時間になり袖からチラリと客先を見た。
最前列の真ん中辺りに座る女性。
彼女の手元には、世界中の汚れを拭き取ったかのように汚れた書籍。
あの本のカバーは私はよく知っている。
私を有名にした作品のカバーだから。
思いついたので書きました
お読みくださいありがとうございます




