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ますぷろ 〜ファンタジー世界で量産機しか乗れない俺だけど、プレイヤースキルで専用機やエース機や決戦兵器やドラゴン諸々全部ブッ飛ばす!〜  作者: 紫炎
第二部 雪崩新生の章

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031 視線

 序列二位であるギンナとの試合は、ルッタが連続四十試合を終えた日から三日後に行うこととなった。

 ギンナ側から特に急かすような要求はなく、またルッタとしても万全の状態で試合に望みたかったための三日後だ。

 その間はルッタも自分の回復と機体の調整に集中していたし、起きたことといえばブルーバレットのオーバーホールが早めに終わったということぐらいであった。元々ルッタとコーシローという専属整備士がふたりいるような状態だったために問題も少なく、対処も早かったのである。

 お留守番のタラが自分のコパイロット席を飾り付けているとのメイサの説明にルッタが若干不安にもなったが、ともあれ何事もなく時は流れ、試合の日を迎えることとなった。


『ルッタ。体の方は大丈夫か?』

「問題なし。コックピット内が狭くなって、ちょっと苦しいくらい?」

『我慢しろ。ただでさえ、お前の体は小さいからな。スペースはなるべく狭くして、衝撃で体が遊んじまうのを抑える。これで負担もだいぶマシになるはずだ』


 ダイバースーツだけでは耐えきれぬルッタの高機動戦闘の衝撃を抑えるために、現在アヴァランチのコックピット内部にはロールケージとクッションが設置されている。

 乗り心地は犠牲となったが、剣闘士(グラディエーター)の試合は基本短時間。その間のルッタの戦闘の負荷を軽減してくれると考えれば、有用な改造であると割り切った。


『お前が全力を出すとどうしたって機体の性能ギリギリの動きをしちまう。体の負担も考えずにな。場合によってはブルーバレットにも取り付けたくはあるんだが』


 通常の飛獣戦では、そこまでの大きな負荷が乗り手にかかることはない。何故ならば簡易的な重力制御がコックピットと連結している機導核収納のガードボックスに組み込まれているためだ。

 そのため、通常の操作では乗り手の負担はそれほど大きくはならないのだが、ルッタが全力を出す際には機体の理論限界値に近い操作を行なってしまう。だからこそルッタは量産機の性能でオリジンダイバーにも喰らいつく戦闘力を出せるのだが、その操作は簡易重力制御でカバーできる範囲を超えているのだ。今回アヴァランチのコックピットに施された改造は、その改善の一助となる可能性のあるものだった。


「飛獣相手だと長時間乗ることも多いし。戦闘以外ではこんな雁字搦めにはしたくはないけど……そういう選択もあるかぁ」

『まあ、今考えることじゃないけどな。何しろお前の相手は序列二位。現在不在の序列一位のゾロってのを除けばほとんど負けなしの強豪だ。螺旋拳のギンナ。格闘戦のエキスパートらしいし、そっちの技術はあちらの方が上だろう。油断するなよ?』


 その言葉にルッタが「うん」と頷いた。


「アーマーダイバーの操作自体は負ける気はないけど、近接格闘の技術は分が悪いだろうからね。油断をするつもりはない……けど、楽しみではあるよ。じゃあ、行ってきます」

「ああ、頑張れよルッタ」


 そう言ってルッタがアヴァランチを闘技場の舞台に続く道へと進ませていく。試合まで、もうまもなく。闘争心が湧き上がるルッタの瞳は爛々と輝いていた。




———————————




 ワーーー ワーーー


 ルッタが闘技台に向かっている進んでいる一方で、観客席の上部にあるVIPルームでは風の機師団の団長ギア・エントランがニヤニヤと笑いながら、ルッタの登場を待ち望んでいた。


「おーおー。随分と盛り上がってんなぁ。まったくアイツはいつだって俺たちをビックリさせてくれるぜ」


 そう口にする彼の周囲には、リリやミーア、マリア、メイサたち、またシェーロ大天領の領主ミド・シェーロニアも並んで、試合が始まるのを待っていた。


「ギアくん。君のところの彼はすごいね。ウチにくれないかい?」

「嫌ですよ。どこにいっても言われますが、本人がひとつどころに留まる気がないですからね。少なくとも落ち着くまではハンターのままでしょうよ」


 ギアの返しにミドが残念そうな顔をする。

 けれどもギアはルッタの目的を知っている。ワールドイーターの一体『暴食竜ドラクル』の討伐。挑んだ誰もが成し遂げられなかった最悪の魔獣を殺すことこそがルッタの望みであり、風の機師団にいるのもその目的のためであると。それはひとつどころに留まっていては達成できないものだった。


「ふむ。残念だが、仕方がない。であればメイサ、君が彼に学びなさい。彼の力を学び、己がものとする。それは我らの血族にとっても、ヘヴラト聖天領にとっても糧となるだろう。そのためにご両親も君を彼らに預けられたのだからね」

「はいですわミド叔父様」


 メイサが風の機師団にいるのは、彼女が同年代と共に学んでいてはその才覚を伸ばしきれぬと判断されたためだ。ようやくアーマーダイバー乗りの見習いから踏み出せた……そんな立場ではあるものの、彼女も間違いなく天才少女である。潜在能力だけでいうならば、ルッタよりも高いのだ。

 そして、そんなやり取りをしている叔父と姪の横で、リリがどこか訝しげな視線を闘技場の外に向けていた。


「…………」

「どしたのー、リリ?」


 リリの様子を不審に感じたマリアがそう尋ねるが、リリは答えず、警戒するように周囲を見渡した。


「……消えた?」

「うん? どういうことだい?」


 ふたりのやり取りを見ていたミーアがそう尋ねると、リリが「多分、見られてた」と口にした。

 その言葉を聞いてミーアがマリアに視線を向けるが、マリアは首を横に振る。マリアは現時点でもスカウトドローンのアエロで周囲を索敵していたのだが、残念ながらリリの認識したものを彼女が気づくことはできていなかった。

 けれども彼女らはリリが特別なオリジネーターであることを知っている。生物的に上位の存在であると理解している。だからマリアの指示ですぐさまその場の騎士のひとりが外へと出ていき、周辺の捜索へと動き出した。


「まあ、領主様がいるなら良からぬ考えを持つのもいるかもしれねえが……まさかゴーラとかじゃないよな?」

「違うと思う。少なくとも今までとは別口……かな?」


 リリが逡巡しながら、そうギアに返す。

 その様子にギアたちは困惑顔となるが、リリは気にせず席に着いた。


「ん、もう感じない。ルッタの試合見る」


 その言葉と共に闘技場内にルッタの乗るアヴァランチ入場のアナウンスが流れ、会場は歓声に埋め尽くされていった。

 作中でメイサの潜在能力がルッタより高いとの地の文がありますが、ルッタの潜在能力は中の中、よくて中の上に足が届きかけてる程度で、ルッタの潜在能力はそもそもそれほど高くなかったりします。

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― 新着の感想 ―
これまでの戦績で潜在能力が並って怖くない? ほぼほぼ理論値を出し続けてるのも恐ろしいし、平凡な人たちでもドラゴンとやりあえる可能性があるのもこの世界の人類が恐ろしい
リリは気付いた様ですが向こうが作戦を諦めるなんて事はないんだろうなあ
もう少し成長したらルッタも子種を狙われそう。某肉食女子チームの好みからは外れるかも知れないけど。
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