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ますぷろ 〜ファンタジー世界で量産機しか乗れない俺だけど、プレイヤースキルで専用機やエース機や決戦兵器やドラゴン諸々全部ブッ飛ばす!〜  作者: 紫炎
第一部 強羅業の章

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025 フォールアウト

(クソがッ)


 ラガスが心の中で罵倒しながらもフットペダルを踏み、機体を加速させてブルーバレットを追う。

 造魔人は情緒が不安定になりやすい。ラガスもその例に漏れず、周囲に当たり散らすことが多々あったし、攻撃的な性格も造魔人の影響によるところが大きい。

 戦場においてそうした落ち着きのなさは命に関わるが、そんなデメリットを考慮した上でもゴーラ武天領としてはオリジンダイバーという圧倒的な力を従えられるというメリットの方が上回ったのだろう。

 加えて、我儘を言える立ち位置にいる当主や当主候補のみが乗り手となるために、デメリットが問題になるケースが起こりにくかったという面もある。

 そこには造魔人の維持には相応の資金が必要で、加えてオリジンダイバーは希少で使い捨ての実験隊などに扱わせるわけにもいかなかったという事情もあったのだが。

 ともあれソレは上手く機能し、ゴーラ武天領軍の最高戦力の一角として彼らはあった……はずだった。


「なんで当たりやがらねぇえ」


 計四機のシールドドローン『ゲンブ』。

 射撃兵装は付いていないが、その質量で相手を叩き潰す、いわば空飛ぶ巨大ハンマー。ラガスの意思によって自在に動く鬼面を模った大盾は、けれども目の前の量産型アーマーダイバー一機を落とすことができないでいる。


「ハァ、ハァ。ふざけろよ」


 小賢しく躱わすブルーバレットを追いきれない。直線的な速度なら出力差がものを言うが、一瞬の変則的な回避行動にゲンブが追いきれていない。ルッタの巧みな操縦技術とラガスの未熟さが合わさってまるで当たらないのだ。


「あのブースターのせいで追いきれねえ」


 またどうにか追い付いたと思った瞬間に尾のようなブースターで距離を取られる。

 苛立ちがつのり、罵声を吐き出したい気持ちを必死で押さえながらラガスはノワイエとゲンブたちを操作する。


「四方からなら……チッ、駄目か」


 ラガスの意思を反映しての四方向からの同時攻撃。けれども、それすらも青と黒の機体は避けてしまう。何もかもが無意味なのではないかと思うほどに手応えがない。それが明確な技量の差によるものだとはラガスにも分かっている。自分がまだ倒されていないのは相手にそれを行うだけの火力がないからだ。

 造魔人であることを抜きにしても精神的な負担が積み重なるが、それでもラガスの心は崩れない。何故ならば……


(こいつを相手にキレれば絶対にヤられる)


 ハッキリとそう自覚しているからだ。

 ラガスにルッタを侮る気持ちなど最初からありはしなかった。ノワイエという機体の性質にプラスして気持ちの上での油断もなかった。

 出力を上げた上に、自制を利かせ、こうして喰らいついている。己がこれまでで最高の仕上がりであることをラガスは理解している。心を腐らせず、折らせず、ただ純粋に戦士として勝機を狙う。

 そして、ラガスはついにその先に光を見た。攻撃を避けきれずにテールブースターで加速してゲンブのタックルを避けたブルーバレットを見たのだ。


(ブースターは空。奴が距離を取るよりもゲンブの方が速い。であれば)


「ここだ!」


 今、この時こそが勝機。キレずに持ち堪えたのはこの時のためだ。己の思考が冴え渡り、ゲンブの動きがここまでで最もシャープな軌道を描く。


「圧殺しろゲンブ!」


 相対速度を維持しながら四枚の盾が四方よりプレスするようにブルーバレットへと突進する。同時にノワイエも左右それぞれの二枚羽のフライフェザーを用いて一気に加速して魔導戦斧を振りかぶる。


「これで終わりだ!」

『そう来ると思ってたよ!』

「何ッ」


 ガガガガンッ と銃声が響き渡った。ソレは全自動魔導散弾銃が連続で撃たれた音。撃った対象はゲンブの一機、その端。


「!?」


 本来であれば銃弾程度でゲンブは揺らがない。けれども召喚弾の中でも最高質量を持つ重弾の一撃は重く、それが四連射されることでわずかに傾いた。そして生まれた小さな隙間をブルーバレットはすり抜ける。


「消え……?」


 わずか一瞬の動作。竜狩りの応用をルッタは手動で行い、ノワイエに乗るラガスは形としてゲンブの背後に隠れることとなったブルーバレットを視界から外してしまう。それは大きな隙で、ノワイエは相手を捉えられぬままに自らブルーバレットとの距離を詰めていく。


『散弾銃の残弾はゼロ。ならジャッキー流剣術『流剣雨』!』

「ガァアアアアアアッ」


 続けてルッタが繰り出したのは闘技場のナッシュ戦で見せた乱撃だった。

 当時は派手に魅せるために使用しただけであったが、今回は違う。オリジンダイバーの防御を抜けるには重弾三発は必要。だが弾が尽きている以上は、火力に足りない白牙剣と黒牙剣の手数で倒すしかない。これがルッタの最善だった。


「ヌゥ、ここまで強化して! ここまで耐え抜いて! ここまでやってもまだ勝てないのか!?」

『強化? ああ、造魔人ってヤツかな』

「クソッ、この距離で避けるか。ああ、そうだ。貴様を倒すために。グッ……だが、すべてが無駄か」

『分からないけど、まあソレをしてなきゃもっと早くに終わってたでしょ』


 ノワイエの右腕の関節部のアクチュエーターが斬り裂かれ、脚部の四枚あるフライフェザーも二枚が折られた。

 対してノワイエからの反撃はブルーバレットには届かない。掴めさえすれば出力差でどうとでもなるだろうが、雲を掴むように避けられる。


『でも、まあ』

「ルッタ・レゾォオオン!」


 自らを鼓舞するように叫び、なお挑むラガスに対してルッタの心が揺れることはなく、チャージが完了して確保できた一発の重弾を叩き込む。


「ァァアアアア!!??」

『まだ足りなかったねラガス・ヴェルーマン』


 そして繰り返し斬られて脆くなった装甲が重弾によって砕かれ、オリジンダイバー『ノワイエ』が爆散しながら竜雲海の中に落ちていった。

最初に出会った頃のラガスだったら、他の四機と同じくらいの速度でサクッと落ちていたのでずいぶんと頑張った。

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― 新着の感想 ―
一度戦ってることで量産機だからと決して油断せずに戦えてはいましたがそれでも尚、ルッタには届きませんでしたねー いや、でも他の四機と違って戦いにはなってましたねえ
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