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ますぷろ 〜ファンタジー世界で量産機しか乗れない俺だけど、プレイヤースキルで専用機やエース機や決戦兵器やドラゴン諸々全部ブッ飛ばす!〜  作者: 紫炎
第一部 強羅業の章

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007 キーーーーーーーーー

 ルッタたちがデュアルセイヴァーを調べて九番目のプラントの可能性に気付いた日の夜、タイフーン号の甲板上では『とある変化』が起きていた。

 デュアルセイヴァーと呼ばれていた機体の残骸、その内部にある機導核付近の黒焦げのフレームの一部がパカッと割れたのだ。

 それはまだ日の出ている頃にルッタが違和感を感じていた、フレームの形状からすると僅かに丸みを帯びた箇所だった。その膨らんだフレームの一部が割れたのである。

 否、それはそもそもフレームの一部ではなかった。それは繭だったのだ。フレームにくっついた繭が一緒に焼かれて黒焦げとなっていたために、フレームの一部のように見えていただけだった。

 そしてその中から飛び出してきたのはラグビーボールくらいの大きさの『蒼い蜘蛛』であった。


「キィイイ」


 月の下で前足を持ち上げて流れ変わったなという感じのポーズで咆哮する蒼蜘蛛。いや蜘蛛は鳴かない、少なくとも発声器官を持っていない……などと無粋な指摘をする声もあるかもしれないが、目の前で起きていることだけが真実である。つまりこの世界の蜘蛛は鳴くのだ。それこそが正しい認識であった。

 ともあれ、蜘蛛が鳴くことは別にどうでも良い。

 問題はこの蒼蜘蛛である。

 彼女は怒っていた。

 言語化するのであればファッキンヒムラ。あいつマジ殺すわ。マジで。死んでるけど……という感じである。

 実のところ、この幼気(いたいけ)な子蜘蛛(?)は世間様を知らぬ、正しく箱入り娘であった。

 彼女はこれまでずっと箱の中にいながら、訓練と称した遊びを行いつつ、日々ノホホンと美味しくフルーツ三昧(彼女は草食である)の日々を送っていたのである。

 その平和が破られたのは一ヶ月ほど前のこと。突然ヒムラとかいうデブと魔獣使い(テイマー)契約をさせられて、とりあえずテストだけだからと外の世界へと連れて行かれたのだ。

 無論、箱の中にいた彼女にとっては場所がどこに変わろうとどうでも良いこと。ヒムラという男と繋がったことは正直ウエーっという感じではあったけれども、彼女もピーチピーチアップルパナポーの日々が送れていれば文句はなかった。基本訓練とフルーツ三昧の日々である。彼女はあくまで非常用、ヒムラの保険であったのだ。

 しかし平和は破られた。あろうことか、ヒムラは何故か彼女の乗るデュアルセイヴァーで戦闘に参加し始めたのだ。

 おいおい、話が違うぞと。これは脱出用。ヒムラは戦闘訓練もそれほどこなしていないニワカ。だからこそ、盾二枚持ちでショットガン乱発して接近させぬようにしながらスタコラサッサと逃げられるような仕様になっていたのだ。

 機体性能差で圧倒できるとかほざきやがって。

 マジ阿呆かと。ニワカの素人が。

 案の定、舐めプしてボコられたわけで、しかも途中から自分を護れと無茶振りをされる始末。おいおい私はサポートするだけの約束だったんじゃないかと。とりあえず言われた通りにホイホイ動いていればフルーツ三昧の食っちゃ寝し放題で過ごせるんじゃないのかと。馬鹿かと。阿呆かと。

 しかもヒムラは自分が負けたからといきなり自分諸共、彼女を燃き殺そうとした。

 幸いなことに焼かれるよりもヒムラの息の根の方が先に止まって従魔契約が切れたことで彼女は生き永らえた。すぐさま糸を吐いて作った繭に篭ったのだ。これが数秒遅れていれば彼女は焼死していただろう。だからこそ彼女はヒムラに、またそんなヒムラに自分を当てがった連中に愛想が尽きていた。私は自由だ。フリーダムだ。リバティーだ。うぉぉおーという感じであった。

 しかし蒼蜘蛛は何も知らぬ。

 この世界のことも、アルティメット研究会のことも何も知らぬのだ。

 ただ、彼女は強い存在の気配は把握していた。

 小蜘蛛の脳裏に浮かぶのは三人の人間の気配だ。それはルッタ、リリ、イシカワの三人であった。

 しかし気配を感じる限り、近くにイシカワはいない。またリリは怖い。生物的な本能が近づくのを拒否している。だったら……とピョンピョン飛び跳ねながら船の中へと蒼蜘蛛は入っていく。

 それから彼女は気配を辿り、数々の難関を乗り越え、ついには目標を発見してチョチョイとパスを繋げたのであった。そして……



―――――――――――




「……う、ううん」


 その日、ルッタは僅かな寝苦しさを覚えて目を覚ました。

 窓からは陽の光が差し、すでに朝になっていることを理解したルッタだったが、それから自分の布団が盛り上がっていることにも気が付いた。


「なんだ、これ?」


 それが何かは目覚めたばかりのルッタには分からない。布団の中にいるソレはそれなりの重さがあって、まるで前世の風見一樹が飼っていた猫がいつの間にか上に乗って寝ていた時のような。しかし、そこにいるのは猫ではなく、


「は?」

「キュッ(//∇//)」

「クモォォォオオオ!?」


 ラグビーボールくらいの蒼い蜘蛛がそこにはいて、その光景にルッタは朝から大きな悲鳴をあげたのであった。

 非蟲道的な量産型カレ◼️デバイス。奥さんではない。

 少年主人公がゆっくり人妻NTRしてザイゼンさんの脳が破壊されるルートはちょっと啓蒙が高すぎるかなって……


 なお蒼蜘蛛さんはヒムラをボロクソ言ってますが、風の機師団抜きなら普通に勝てたし、ルッタとイシカワ抜きなら逃げられたと思います。まあ調子に乗ったヒムラが悪いのは間違い無いんですけどね。

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― 新着の感想 ―
思ってたほど酷くはなかったか 脳髄だけぶち込むのよりは一応ちゃんと?動ける状態の存在が入ってたようですし
なんだシン・ヒロインと朝チュンチュンか 寝起きにフェイスハガー並みの蜘蛛が布団の中にいたら俺なら声も出ないだろうなあ。 これならルッタも二基の炉を回せるのかな?
損切りするには手持ちの戦力が強すぎたよねヒムラ。 中身が人(の一部())じゃなくてよかった。 いやてっきり生きた状態のなまku…(検閲により削除)
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