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ますぷろ 〜ファンタジー世界で量産機しか乗れない俺だけど、プレイヤースキルで専用機やエース機や決戦兵器やドラゴン諸々全部ブッ飛ばす!〜  作者: 紫炎
第一部 島喰らいの章

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065 重核機体の行方

「もう出るんだな、ルッタくん。デュアルセイヴァーのことはよろしく頼んだぞ」

「あいよザイゼンさん。ヘヴラトに届けりゃ良いんだよね」


 ラインと共にやってきたザイゼンの言葉にルッタは笑顔で頷いた。

 ヒムラが死んだ後のザイゼンは鬼気迫る感じがあったが、現在はすでに立ち直って落ち着きを取り戻していた。デュアルセイヴァーから得た情報や、制御室内に残されていたヒムラの遺品も整理し終えており、タイフーン号に続いて彼もアンカース天領を出て、そのままジナン大天領のハンターギルドに戻るつもりのようだった。

 なお協議の結果、デュアルセイヴァーの扱いに関しては最終的にヘヴラト聖天領の預かりとなり、タイフーン号がヘヴラト聖天領に輸送することになった。

 機導核二基搭載の技術に関しては流石に捨ておけるものではなく、ヘヴラト聖天領側に属しているライン・ドライデンの意向によりヘヴラト聖天領の研究機関に回すという話になったのである。

 この周辺海域はヘヴラト聖天領のお膝元に近く、また他の八天領に属したメンバーもいなかったため、ラインの決定は問題なく通り、輸送中はルッタたち風の機師団が調べても良いし、またヘヴラト聖天領で機体の情報が解析されて成果が出た場合には風の機師団にも共有し、可能であれば、その技術を組み込んだ機体やパーツも融通してもらえるようラインからの上申書も用意してもらっている。

 元々個人で調べるには限界があるとはルッタも考えていたし、そうなるとスポンサーや研究機関を探すことから始める必要も考慮していたのだからそれは渡りに船の話であった。

 問題はラインの上申書はあくまで要望であって、実行されるかどうかは分からないということだったが、コネがあるらしいギアがその点は問題ないと太鼓判を押したことでルッタもその決定に頷いたのであった。

 もっともそうした事情をあまり理解していない(というよりはここまでは黄金の夜明けと風の機師団のやり取りで、個人参加のイシカワは「めんどいんで良い感じでお願いします」と言って協議のテーブルには上がってもいない)イシカワは「いいとこは全部ヘヴラトが持ってくわけかー。さすが権力。権力汚い」とぼやいていた。一応、研究成果をイシカワ個人にも回してもらえる話にはなっているのだが、アナーキスト気取りの童貞(自称)は悪態を吐きたがるものなのである。


「まあ俺は結果が手に入るならどっちでも良いしね。それにイシカワさんは今回、ヘッジホッグ用の盾をもらったじゃん」

「まーなー。ルッタはあの散弾銃だったよな? その点は感謝ではあるよ」


 ヘッジホッグ用の盾とは、デュアルセイヴァーが肩アーマーを変形させて盾として使用していた可変パーツのことである。

 イシカワはアレを肩部装甲として取り付け、盾として使用する際にはパイルバンカーと干渉しないように腕部にスライドさせて展開するように仕込む予定とのことだった。

 また全自動式魔道散弾銃四丁の内、二丁は風の機師団が所有することとなった。

 残り二丁はルッタとイシカワが苦戦したという制圧力を見込んでアベルとカインがサブウェポンとして使う予定とのこと。ポルックスも、修理か新造予定のカストルも高出力型で兵装は標準装備のみだったので、サブウェポンに装備させられる程度には積載量と魔力コストには余裕があった。


「それですぐに出ていくんだよねギア団長?」

「そうだ。悪いなライン団長。できれば残って復旧や防衛も手伝いたかったんだが」

「まあ仕方ないさ。実際早めに出るのが正解だとは私も思うよ。ジナン大天領軍からは本作戦終了後に君たち風の機師団を足止めするように指示を受けているしね」

「!?」


 その言葉にルッタたちの顔に緊張が走る。


「ちょっとアンタ、それってどういう」

「おい。シーリス、落ち着け」


 食ってかかりそうなシーリスをギアが止める。その様子を少しだけいじわるそうな笑みで眺めながらラインが話を続ける。


「もちろん、私たちもその指示には従うつもりさ。作戦終了後……つまりはジナン大天領軍がここに来て現場の指揮を引き渡した後にはしっかりと足止めさせてもらう」

「そして、こちらはハンターギルドに前もって緊急依頼の原因である目標を討伐した後は離脱すると断りを入れてあるわけだ」


 そのふたりの言葉にシーリスが苦虫を噛み潰したような顔をして一歩下がった。


「ハァ? 何それ。茶番じゃないさ」


 そのボヤキにラインが肩をすくめ、ギアが笑う。

 ラインも風の機師団がゴーラ武天領軍から秘密裏に追われていることを知ってはいた。加えてジナン大天領出立前に、風の機師団が今回の天領襲撃を企てたアルティメット研究会に協力している容疑をかけられていることと、その対応として今口にしたことをジナン大天領軍から指示されていたのである。

 つまり、それは命令内容に反することなく風の機師団を逃すことを前提とした指示であった。


「おいおい。良いのか、それで?」


 呆れた顔をしたイシカワの言葉にラインが「良いんだよ」と返す。

 ラインがジナン大天領軍より聞いた話では、ジアード天領が襲われた際に偶然居合わせたことが怪しいとの『ゴーラ武天領と友好関係にある貴族』の進言により嫌疑がかけられた……という話であった。

 そもそも怪しいのであれば作戦に参加などさせるべきではなく、終わった後で捕らえようとしていることから、本気で疑っているわけでもなく、別の意図があるのは明らかだ。


「大した容疑じゃないんだし、証拠なんてないから拘束したとしても大天領に数日というところだろうさ」


 ラインがそう言う通り、本来であれば大したことのない話だ。むしろ今回の功績を踏まえれば、ありもしない容疑をかけられた風の機師団側は報酬上乗せも要求できる内容だろう。


「数日ねぇ。それは嬉しくない話だね」


 シーリスが眉をひそめる。

 数日とはいえ、相手の意図通りに留め置かれること自体が今の風の機師団にとっては致命的だ。ましてや天領内に拘束ではアーマーダイバーに頼れない戦いを強いられる可能性もある。それは絶対の阻止すべき案件だった。


「そうだろうね。とはいえ、そんな無駄を今作戦成功の立役者にさせる道理はないよ。私も、ジナン大天領軍も、ハンターギルドもその認識で一致している」


 つまるところはギアとライン、ハンターギルドとジナン大天領軍がグルとなったデキレースだ。


「容疑はこっちでテキトーに晴らして、一部の貴族のメンツを潰せばお終いさ。大したことじゃあない」


 この件で問題になるのはゴーラには忖度したいが作戦完了するまでは風の機師団の戦力を削ぎたくない日和見貴族と、それを仕掛けたゴーラ武天領軍のみである。風の機師団も報酬を受け取るのが後回しにはなってしまうが、現時点でも相当に金銭的な余裕はあるためにそれほど問題ではなかった。


「もっとも風の機師団の問題はそれだけで回避できるものではないだろうけどね」

「分かっているさ。捕捉はすでにされてるだろうしな」


 ギアが諦めたようにそう口にする。

 風の機師団が拘束されずに逃走することなど、ゴーラ武天領軍も想定の内だろう。

 この程度で捕えられるなら、彼らはとっくに風の機師団を追い詰めている。けれどもその行動は無意味ではない。タイフーン号はジアード大天領に戻ることも、アンカース天領に留まることもできず、先へと進むしかない。それをゴーラ武天領軍は読んで着実に迫ってくるだろう。


「この先にあるシェーロ大天領はヘヴラト聖天領の玄関口みたいなところだ。そこまで辿り着いてしまえば、もうゴーラ武天領軍はまともに手を出すことはできなくなるわけだからな。連中にとっても最後のチャンス。逃してくれはしないだろうさ。できれば逃げ切りたかったんだがな」

「辛気臭いよ艦長。そういうのはなるようにしかならないでしょ」

「確かにそうだな」


 シーリスの慰めの言葉にギアも頷く。ゴーラ武天領軍にとって最後のチャンスであるならば、風の機師団にとってはある程度無茶をしてもそこを越えられれば良いのだ。全面対決になって後先考えずに『勝ってしまったとしても』今回はどうにかなる。

 であれば、逃げ続けた決着をつける時が来たのかもしれないとギアも腹を括る覚悟を決めるのであった。

 基本的に八天領は対飛獣戦力を供給する側で、八天領がひとつなくなると単純に考えて最終的にアーマン大陸の保有戦力の8分の1がなくなり、8分の1の天領がいずれ滅びます。

 そのため八天領と敵対する天領は基本存在せず、ここまでのタイミングだとどちらに非があるか明らかでも領民の命と無関係のハンタークランのどちらを取るかは決まっていますし、表立ってゴーラとの対立が明らかになった場合、見逃すか、仲裁か、村ハチか、拘束かのどれかはあっても風の機師団に表立って味方できる天領はありませんでした。

 同じ八天領で味方になってくれるヘヴラト聖天領と接触可能なところまできたので、ようやくぶっ殺しオッケーとなった感じです。やったねギアちゃん。(キル)スコアが増えるよ。

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― 新着の感想 ―
[一言] ゴーラもいよいよ形振りかまってられなくなりそうですねー 決着はそう遠くなさそうだなあ
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