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ますぷろ 〜ファンタジー世界で量産機しか乗れない俺だけど、プレイヤースキルで専用機やエース機や決戦兵器やドラゴン諸々全部ブッ飛ばす!〜  作者: 紫炎
第一部 島喰らいの章

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062 真実は炎の中に

「なんてことを。クソッ、ヒムラ死ぬんじゃ」

『駄目だ。下がれザイゼン殿!』

「!?」


 ザイゼンが踏み込もうとしたのと同時にラインが警告を発し、直後にデュアルセイヴァーのコックピットの入り口から炎が噴き上がってヒムラの全身を包んだ。


『爆破じゃない。燃焼? 機体内部を焼いて証拠を隠滅する気か。おい、近づくんじゃないザイゼン殿。あなたまで巻き込まれるぞ』


 そう言ってシトロニエがワイヤーを斬ってデュアルセイヴァーからフライヤーごとザイゼンを引き離すと、炎に包まれたヒムラの遺体と共に燃え盛るデュアルセイヴァーが火の玉のようになって心臓室の床へと落ちていった。

 その様子をザイゼンは顔を歪ませながら絶望の眼差しで眺めている。


「そんな馬鹿な。ヤツにはセレナの行方を……子供を。あああ、うわぁああああ」


 ついに見つけた希望の糸。けれども炎の中で消えていくソレを前にザイゼンは嗚咽し、ただ後悔の想いを吐き出すことしかできなかった。




———————————




「……てなことがあったんだ」

「うん。なんとなくそんなんだろうなとは思ってたけど、そんなんだった。ヒムラさん、随分と後味の悪い終わりだったんだね」

「まあなぁ。ありゃヤベえよ。洗脳ってマジ怖い。俺も狙われてるらしいしさ」


 ルッタの言葉に苦い顔をしたイシカワがそう返した。

 そんなふたりが会話をしているのは心臓室の中心、天導核の真下にある制御室の前だった。

 クィーンビーとの戦闘からはすでに一時間が経過しており、この場の護衛をイシカワに任せて、ルッタは心臓室周辺を探索して飛獣の残りを掃討して帰ってきていた。そしてようやくヒムラの最期の状況を聞いたのである。

 なお、リリのフレーヌは無理にブーステッドをしたために現在は活動不能で、ラインのシトロニエやカインのポルックス、アベルの乗っていたニンジャも崩落によるダメージとその後の継続戦闘によりまともに動かなくなり、ザイゼンのフライヤーもデュアルセイヴァーの炎に巻き込まれたのとワイヤーを無理やり引き剥がされた影響で中破している。

 もちろん途中で乗り捨てたカストルは崩落で大破していて、動かすどころか修理可能かも怪しい状態だ。機導核の入ったガードボックスは無事なので機体を新造する可能性は高かった。

 そんな状況なので、ラインはイシカワのヘッジホッグとタレットドローンのシルフたちをその場の護衛とし、ルッタには心臓室の周囲の捜索を指示していたのである。

 なお、血脈路以外の心臓室から伸びた通路の先には飛獣の巣がいくつか造られており、そこには幼虫や蛹、それらを世話する蜂型飛獣も残っていた。ちなみに蜜蜂の系統ではないので蜂蜜などはなく、イシカワが見たら即ゲロ吐きそうなゴア系の肉団子がいくつも転がっている有り様である。普通に考えて三十代のおっさんを差し置いて子供に任せる仕事ではないのだが、イシカワでは途中で使い物にならなくなっていただろうし、ラインの判断は確かであった。テオ爺の英才教育万歳である。

 ともあれ、すべてが終わった後に戻ってきたルッタに待っていたのはヒムラの末路の説明と完全燃焼(比喩ではない)したデュアルセイヴァーだ。


「それでこれが俺のデュアルセイヴァー……かぁ」


 それがルッタの所有物としてカウントできるか否かはその後の交渉次第だが、現在のデュアルセイヴァーは内側からこんがり焼けているために修理してどうにかなるようなものではない状態だった。


「ハァ。お前まで辛気臭いツラすんなっての。あっちの方がよっぽどだぜ」

「そりゃそうだけどさー」


 ふたりの視線の先では鬼気迫った様子のザイゼンが燃え滓のデュアルセイヴァーの周囲を彷徨きながら黙々と何かをメモしていた。

 イシカワの話の中にあった茫然自失状態からはすでに脱却し、ザイゼンは今可能な限り情報を集めようと行動していた。その表情には狂気が宿ってこそいたが、絶望の色はない。


(ザイゼンさんは強いねえ。まあ今回は惜しかったけど、間違いなくあの人の目的としては前進したわけだし)


 ヒムラを確保できなかったことは残念だが、少なくとも彼の奥さんと子供が生きているという情報は得たのだ。それが真実であるか否かは分からないが、それでも何も得られていなかった今までよりは一歩進んでいる。


(でもヒムラさんか。自殺なんかしそうにない感じの人だとは思ったけどなぁ)


「ねえイシカワさんさぁ。ヒムラさんって本当に死んだの? 爆発に乗じて逃げたりしてない?」

「ないない。頭自分で吹っ飛ばしたのは俺も見たし、爆発もしてない。コックピットから噴き上げたのは炎で、ヒムラはそれに焼かれて死んでる。死体はもう骨しか残ってねえが、それでも残ってはいるんだ。間違いはねえよ」


 その言葉にルッタが眉をひそめる。


「なんともスッキリしないね。これだって中を燃やすのがメインならデュアルセイヴァーの技術を隠匿するためにやったってことだろうけど」

「そうだろうね。まったく、秘密主義過ぎて面倒な連中だよ。アルティメット研究会ってのはね」


 そう口にしたのは、制御室から出てきたラインだった。

 ヒムラはこれにて退場です。ルッタが懸念するように実は生きてたり、再生や復活したりということはありません。

 ちなみにザイゼンさんは機体パーツの特徴や型式番号などをメモしたりしています。パーツの流通ルートからアルティメット研究会の本拠を割り出そうとしてるんですね。イシカワがぶっ飛ばした四肢は燃えずに残っていますし、アーマーダイバーが八つの天領でしか製造できない関係上、普通に考えればどこから手に入れたのかは割り出せるはずですから。

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― 新着の感想 ―
[一言] 折角の戦利品が台無しにされちゃいましたねえ 機導核の二基同時運用ができたならルッタもかなりのパワーアップができたろうに
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