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ますぷろ 〜ファンタジー世界で量産機しか乗れない俺だけど、プレイヤースキルで専用機やエース機や決戦兵器やドラゴン諸々全部ブッ飛ばす!〜  作者: 紫炎
第一部 島喰らいの章

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058 炎の騎士

「は、ははは。なるほどねえ。姿を隠す捕縛用の小型船なんてものを用意していたとはね。それにやはり、あなたが一番怖い相手でしたかイシカワさん」


 決着は付き、囚われたデュアルセイヴァーの中でヒムラがそう口にする。四肢は砕け、ワイヤーに絡められてタクティカルアームも動作しない。脱出することはすでに不可能と察してため息を吐きながら、ヒムラは目の前のトッツキマシンを見た。


『ハッ、結局のところ、テメェらの敗因は実力不足ってところだよ。パターンが読め過ぎだ。もっと射撃練習もさせておくべきだったな。持ってる武器に体が追いついてねえんじゃ、しょうがねーだろうに』


 アサルトセル世界ランカーのイシカワにとっては飛獣戦よりも対人戦こそが本来の主戦場だ。そのため、飛獣が人型になって人の動きに寄せてしまった時点で彼にとっては逆にやり易くなっていた。これが本来の蜂としての特性を生かした進化ならばここまで上手くはいっていなかっただろう。

 要するにヒムラたちにとってイシカワという男は最悪に相性の悪い相手であったのだ。


「ハァ、経験不足ってのは問題ありありですね。改良の余地ありと」

『おう、しっかりメモっとけよ。ま、テメェにゃぁ今後改良する機会なんざもう訪れねえけどな。なあザイゼンさん!』

『ああ、終わりだヒムラ。もう諦めろ』


 ザイゼンの声が響く。

 前面にはヘッジホッグ、背にはワイヤーで繋がったフライヤーがあり、ニンジャを支えるポルックスは距離をとっているが、シトロニエもすぐそばでいつでも動けるように待機している。もはやヒムラに逆転の目はなかった。


「なるほど。なるほどね。確かに僕は負けたようです。それは認めましょう」


 けれどもヒムラの声に諦めの色はない。


「だけど、みんな忘れてないかな。君たちが本来戦うべき相手、全員が一丸となってようやく渡り合えるであろうランクSに近い飛獣を、君らはたったふたりだけに任せているという事実を。君たちはまだ……何も」


 そうヒムラが口にしている途中で、まるでドラゴンの咆哮のような轟音が心臓室内に響き渡り始めた。そしてその場の全員が、その音の方へと視線を向ける中、イシカワがニタリと笑ってこう口にする。


『何も……なんだって? なぁヒムラさんよぉ?』




―――――――――――




 時間はわずかに巻き戻る。


 ボォッ


 心臓室の中央で、そんな音を立てて複数の炎が噴き上がり、それをルッタの乗るブルーバレットが避けていく。


「あっぶな。何あれ?」


 イシカワたちと分かれて、リリと共にクィーンビーの元へと向かったルッタだが、即座にクィーンビーとの直接対決……とはならなかった。

 何故ならばルッタたちの前にはクィーンビーを護るように、炎に包まれた……否、炎で構成されたナイトビーが四体出現していたからだ。

 それらはいきなり空中に炎が巻き上がって、その中から突然姿を現していた。


『アレは……』

「知っているのリリ姉?」

『うん。飛獣を大量繁殖させるマザータイプは、一般的な交配による繁殖とは別に、眷属を防衛のために召喚することもできるの』


 リリがそう説明する。


「つまりは召喚体ってこと?」

『そうだね。召喚だから時間が経てば消滅するけど、魔力を大量に込めることで元の個体よりも強力になることもある。アレは多分そういう存在』

「なるほどねぇ。うわ、一体一体がオリジンダイバークラスの魔力反応があるよ。それに近接装備も持ってるし」


 目の前の炎でできたナイトビーの武装はテイルブースターと両肩のニードルバレットはそのままだが、腕の武装は剣のように鋭く伸びた針となっていた。


(さっきの俺とイシカワさんの戦いを見て学んだのかな。もしくはクィーンビーを護るために近接も可能な個体ってことかも)


 その推測が合っているかはともかく、戦闘パターンに近接が加わったことは厄介だった。


(それにしても、ここの戦力はデュアルセイヴァーにナイトビー軍団、それに炎の……フレイムナイトビー四体にクィーンビーか。まあヒムラさんが余裕かましてたのも納得はできるかな)


 実際、風の機師団の参入がなければラインたちは全滅していただろうとルッタは考えながらフレイムナイトビーと名付けた個体に仕掛けていく。


「フッ ……うわっと!?」


 相手の攻撃を避けて黒牙剣を当てたルッタだが、機体に何かしらの負荷を受けたことが機体のフィードバックで感じ取れた。


「やっぱり普通のより速いしパワーもある? それに体から噴き出している炎に炙られてブルーバレットにダメージが入ってる? うわ、メンドッ」


 思わず距離を取ったブルーバレットにフレイムナイトビーが追撃へと動こうとするが、ルッタは即座にタクティカルアームに持たせた魔導散弾銃を撃って迎撃する。


「ギィイ」

「ダメージは普通に通ると。リリ姉、牙剣を繋げたいから少しお願いしていい?」

『まーかせて!』


 退くルッタと入れ替わる形でリリが特攻し、キャリバーから発生させた魔力刃でフレイムナイトビーの胴体を斬り裂いた。


『まずは一体……って、ズルい』


 リリが倒した個体は炎となってそのままかき消えて消滅したが、また別の場所で炎が噴き上がってナイトビーが再び生成された。


「フレイムナイトビーの召喚上限は四体か。でも即時再召喚も可能と」


 実際のところ、ナイトビーとは本体と武器役四体の混成であり、目の前の四体のフレイムナイトビーは実際には飛獣二十体分に相当する。その辺りが召喚数上限の限界なのだろうとルッタは予測した。


『フレイム……ナイト? ファイアーじゃないの?』

「え? ファイアーってダサくない?」

『そうかな? そうかも?』


 ハイパーとかファイアーが使い古されたと感じるか、一周回ってありと感じるかは世代によって違うのかもしれない。オサレ感を狙ってやたら長い仏語や独語で攻めるべきなのかも判断に迷うところだ。


「ともかく、結局は親玉倒さないと駄目っぽいかな? いや……もしかして」


 ルッタが距離をとっているクィーンビーの方へと視線を向け、ツノ割れ頭部センサーを発動させて観測する。


「ふーん。ああ、やっぱり無理してるっぽいな。あれじゃあ長期戦は無理かな?」


 クィーンビーの表面の甲殻にわずかなヒビ割れが発生していることにルッタは気付いた。

 割れているのはルッタたちが攻撃を仕掛けた箇所ではない。元々クィーンビーはランクSへと進化中だった。それを中断して戦い始めたのだから、その無理が祟ったのだろうとルッタは考える。


『となるとフレイムナイトビーを潰していくだけでもダメージは入るってことだね』

「うん。それにさっきからクィーンビーは様子を窺ってる。リリ姉の攻撃を避けられるほどの能力はあるけど戦いは得意じゃないのかも」

『元々護られることが前提の飛獣だから、その可能性は高いと思う』


 その言葉にルッタは頷きながら黒牙剣と白牙剣を合体させると、長身となった大牙剣を持って再びブルーバレットを加速させた。

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― 新着の感想 ―
[一言] ルッタとリリが相手してると思うとよっぽどの事が起きない限り心配するだけ無駄な気がしてしまうw
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