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転生して貴族になった僕は、どうやら最強チートを手に入れて人生イージーモードみたいです  作者: リオン
第二部 エルフ王国攻防編

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悪夢の幕開け②

「アケチ桔梗流格闘術とは──初代サクラ王国国主・ジュウベエ・アケチが開祖とする格闘術です」


ジュウベエ・アケチ──

もしかして──明智光秀のことを言ってるのか?

明智光秀は、光秀という名前を冠する前は、元服時に十兵衛という名を通称としていた。

日本では誰もが知っている名高い武将なだけに、こんな偶然はあるのだろうか。

しかも──明智光秀の家紋は桔梗の花だし、ここまで特徴が酷似していると、本人が転生してこの世界で国を造ったとしか思えなくなる。

もしくは──僕の他に転生者が居て、明智十兵衛の名前を使ったのか、そもそも偶然の産物なのか。

確か明智光秀って、山崎の戦いで敗走中に落ち武者狩りに遭って絶命したって聞くけど、実は生き延びてて徳川家康の側近、南光坊なんこうぼう天海てんかいとして余生を過ごした説もあった気がする。

でもさ──それは実は全部嘘で、この世界に転生していたってなったらちょっとロマンあるよね。

まだ生きてるのかな?

生きてたら会ってみたいな。


「そんな廃流寸前の格闘術に俺らが負けるわけねえだろ」


「なんと、アケチ桔梗流格闘術を知ってる魔族が居るとは。確かに──600年前の古代格闘術ではありますが、それは単なる後継不足によるもの。貴様ら魔族は本当の桔梗流を知らないみたいだな」


600年前……。

じゃあ、もう本人亡くなってるじゃん。

会って話せないじゃん。

生きてたら戦国時代の話とか聞きたかったのに。

いやいや──本人と決まったわけじゃないんだから、そういうのは野暮すぎる。

でも会ってみたかったなあ……。


「あーあーわかった。オッサンが強いのは認めるからよ、さっさとかかって来いよ」


「では、遠慮なく──アケチ桔梗流格闘術……」


今度はノーマンから攻めに出た。

またノーマンから覇気が溢れ出してくる。

その威圧感がこちらにも届いてきた。


「──絶拳ぜっけんッ!!」


パンチを繰り出した瞬間──龍の幻影が見えた。

その幻影が魔族に一直線へと向かっていき、鳩尾みぞおちにクリーンヒットする。

大きな爆発音と共に砂埃が巻い辺りは見えなくなるが、とてつもない威力だ。

これは並の相手じゃ受け止めきれないだろう。

やがて──砂埃が収まると、そこには──鳩尾がくり抜かれて立ったまま絶命している魔族が居た。


「やはり──全盛期とはいきませんか。威力が落ちてますね」


いやいや……全盛期の頃どんだけ凄かったのよ。

むしろ凄まじい威力に圧倒されて声出ないんだけど。

ケインとノエルも凄まじい威力に圧倒的されて、空いた口が塞がらなかった。


「ウィル様、敵は一掃しました。先を急ぎましょう


「え、あ、うん……そ、そうだね」


父さんの云う、ノーマンと喧嘩をするなって言葉が分かった気がする。

そりゃ、あんな相手を瞬殺できる攻撃を繰り出されたら、並の人間は死んでしまうよ。

アケチ桔梗流格闘術、恐るべし……。


「でもノーマン、その格闘術はどこで習ったの?」


「これは、わたくしが若い頃に武術の修行で各地を放浪していた時です。東の最果ての国──サクラ王国に辿り着いた時に、このアケチ桔梗流格闘術に出会いました」


ノーマンの構えを見て、彼がただものじゃないのは直ぐに分かった。

だけど──若い頃に武術の修行で各地を放浪してたなんて、どれだけ多くの経験と研鑽を積んできたのだろう。


「そしてこの格闘術に出会い、わたくしの武術に対する心構えがガラリと変わりました。礼儀、所作、不動心。どれを取っても他の武術には無い奥深さが、この武術にはあります。それほど──わたくしにとってこの武術は生きる上での一部になってます」


「そんなに凄い武術なら、俺も教えてもらいたいですね」


「それは嬉しいですね。ケイン殿なら、教え甲斐がありそうだ」


「一度あの武術を教えてもらったシェナとして忠告しておく。ノーマンは鬼だから気をつけた方がいいわ。下手したら死ぬ」


死ぬとか大袈裟な……。

あの温厚なノーマンですよ?

そんな過激な教え方しないでしょうに。

シェナさん、誇張表現はよろしくないですよ。


「俺だって強くならなきゃいけないんだ。じゃないと、誰も守れない」


「ケインさんのそういう、誰かを守るために強くなりたいって考え、素敵です」


「あ、ありがとうございます。ノエルさん」


女の子に褒められて明らさまに顔を赤くするケイン。

顔が無駄に良いからなのか、普段から女の子にチヤホヤされてるくせに、こうやって面と向かって褒められると照れるんすねケインくん。


「ノエル、ダメよ。ケインにはシノっていう好きな子がいるんだから」


「そうだったの!? ケイン!?」


「なッ!! それは何かの誤解だ!! 何を言ってるんですかアンジェラ先生ッ!!」


ケインの顔がリンゴのように赤くなっていく。

そんなに否定しなくていいよ?

もう顔が真実を物語ってるから。

隅に置けないなぁ、ケインくん?


「誤解じゃないわよ。だってあなた、心読まなくても分かりやすいくらいに、シノちゃんのこと目で追ってるじゃない」


「勝手に人の行動を注視しないでくださいッ!!」


「それだけその、シノさんって人を想っているのですね。素敵です」


「だから彼は、シノちゃんを守る為に強くなりたいのよね」


「ほ、本人には言わないでくださいよ? それにウィルとシェナ! 君たち二人は特に注意してくれ!」


「なんでシェナまで? シェナはウィル様以外興味無いわ」


「ぼ、僕も、人の色恋にとやかく言える立場じゃないから安心して?」


それに言った所でシノが、『うわー』『きもっ』『アンタ、アタシを好きになるって変わってるわね』とか言い出して、口喧嘩になるのがオチだ。

二人とも素直になって早く付き合っちゃえばいいのに。


「それとノエル──相手を選ぶなら、ウィル様にしておきなさい? 今は決まった相手は居ないし、何より、トゥルメリア王家の血筋のお方ですからね。娘の夫が王家の殿方だったら安心だわ」


「おいバカエルフ、ウィル様はシェナのだ。誰にも渡さん」


「あら──ここでまた突っかかってくるのねメス猫。あなた、自分の立場も弁えず良くもそんなことが言えるわね」


「あなたこそ、自分が年増エルフで相手にされないからって、娘を代わりに充てがうなんて、卑怯で情けない真似するのね」


また始まった……。

こうなると長いのはいつものことだけど、見慣れている光景なのか、ノーマンは見向きもしない。

むしろ──この光景が見れて微笑んですらいる。

ケインは優しいから、まあまあ……みたいなことをしてなだめてはいるけど、無駄なことだと後で気づくだろう。

そんな二人をほおっておいて、僕はノエルと話し始めた。


「でも──ウィルさんってそんなに凄いのですか? でも、名前がグレイシーって……」


「それは……」


僕はこれまでの事をノエルに伝えた。

生まれた時に悪魔によって母さんを失ったこと。僕を守る為に死んだことにされてグレイシー家の人間として育ったこと。

そして──色んなことがあり、ベリアルを倒したこと。

話が進むにつれ、ノエルの目からは涙が溢れていた。


「ウィルさんも、辛い経験があったのですね」


「でも──生まれた時の記憶は当然ないんだ。母さんの顔なんて知らないし、悲しいってよりかは、僕は今まで誰かに守られて生きてきたんだなって実感してる」


「それでもウィルさんは自分の過去と向き合って生きてこられたんです。強いお方なんですね……」


「そんなことないよ。僕が戦えるのは、守りたい人達がいるからだよ。じゃないと僕はとっくに悪魔のいう、偉大なる御方の器にされてたんだ」


「それでも──そんな境遇の中、誰かの為に戦えるウィルさんを尊敬します。いつか、誰もが尊重しあえる素晴らしい世界になればいいですね」


誰もが尊重しあえる素晴らしい世界か。

僕もそんな世界が来ることを願ってるけど、生き物とは常に争って生きているものだし、それぞれの思想や主張があれば、そこには必ずと言っていいほど争いが生まれる。

僕が元居た世界だって、歴史を紐解けば常に争いが絶えない世界だった。

それでも人は平和を願い、尊重しあえる世界を目指した。

ノエルが言っていることを絵空事と否定はしないが、やっぱり──争い続けるそんな世の中は嫌だよね。

ノエルもアンジェラ先生とノーマンと引き剥がされて辛い思いもしてきたし、このことは彼女がより一層強く思うことなのだろう。


「平和な世界、訪れるといいね」



僕たちは暫く歩き続けたが、至る所にエルフ族の兵士が倒れていた。

皆、惨い殺され方をしていて、生きている人は誰一人居ない。

思わず口を覆いたくなる光景だ。


「これは酷い……。こんな非道なのか? 魔族ってのは」


緩衝地帯に隣接する南側でこうも悲惨な状況なのだ。

魔族国と隣接する北側と東側はとっくに占領されているだろう。

進み続けて幾つものエルフたちの村を通り過ぎたが、村人も兵士も見るも無惨な姿で殺されていた。

そのくせ──魔族の死体の数は数えるほどしか見当たらない。


「西にあるエルフ王国の首都は包囲されてるでしょうね。あそこは高い防壁と神聖魔法で守られてるから、安易に突破は出来ないと思うけど、楽観視は出来ないわ」


僕たちは更に足を進めていく。

そしてようやく──エルフ王国首都、ジャルダンに着いた。

先程アンジェラ先生が言った通り、首都ジャルダンは高い防壁と神聖魔法で守られていて、辛うじて陥落は免れていた。

神聖魔法のバリアを潜り抜け、城門の前に着くと、目の前にはエルフ王国の門兵が立っていた。

だが──見知らぬ僕たちが目の前に現れて身構えてしまう。


「貴様ら、どうしてここに居られる。ここに来る前に、神聖魔法のバリアがあっただろう。何者だ」


「我が名はアンジェラ・カリオペ。フリーゲル・カリオペ総司令の姉にして、エルフ王国元第三王女だ。弟のフリーゲルの支援要請を受けここに来た。弟に会わせてもらいたい」


「総司令の姉? そんな戯言、我々が真に受けると思うかッ!!」


どうやら、エルフ王国の総司令がアンジェラ先生に支援要請をしたということは、この門兵に伝わってないらしい。

どうしたらいいものか──


「なら──使いを出して確認してはくれないか?」


「どこぞの得体のしれない輩に──」


「──よいッ、下がれ」


城門の向こうから声がした。

門兵の言葉を遮ると城門が開城され、そこには多くの兵士に守られながら、ひとりの位の高い男が立っていた。


「すまない姉様──緊急事態な上、姉様が来ることは一部の兵にしか伝えてなかったのだ」


「久しいな、フリーゲル」


「姉様も即歳で」


アンジェラ先生に似た長く艶のある金髪に高い身長、そして整った顔立ち。

煌びやかな白の軍服は、位の高さを伺える。

エルフ王国軍総司令──フリーゲル・カリオペがそこに立っていた──

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