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第3-19 老婆との再会

 本日は休暇日。

 セオドアは仕事。レオはお友達の家に遊びに行っている。

 あの怪しい老婆と会うには絶好の日だ。


 トリーシャは地味目な服装をして、猫たちにもバレない様にコソコソと馬車を走らせて貰った。

 御者に多少怪しまれたが、学校関連の用事だと誤魔化して数日前に老婆がいた地点までやってきた。


「ここよね……」


 トリーシャは近くを探した。

 通りすがる男女。

 欠伸をするハチワレの野良猫。

 笑い声を上げる子供達。


「……っていないじゃないの! いつだっているって言ってたくせに!」


 老婆が消えた路地裏を覗くと、まだ日中でも薄暗い。


「こっちにいるのかしら?」


 トリーシャは無意識にコクリと唾を飲み込んだ。

 なるべく地味で高級感のない服を着てきたとは言っても、庶民とはやはり違う。


 見る人が見れば生地の厚みや仕立ての良さから、貴族と見抜けなくとも金を持っていそうだとは分かるだろう。

 実際にトリーシャは庶民の数ヶ月分の生活費を持っている。

 これでもいつもより少なめにして家に置いてきた上での金額だ。


「必要になるかもって思ったけど、我ながら不用心よねぇ……」


 いざとなったら手放しても惜しい金額ではないが、差し出したとて無事に返してもらえるとは限らないし……


「あんた何をしてる?」


「うひゃあ!」


 いきなり後ろから声をかけられて、トリーシャはぴょんとその場で跳ねた。


「うわ、いきなり話しかけないでください! 驚いて心臓がドキドキ……」


「ふむ……あんた面白い運命にあるね」


 そこにいたのはもちろん先日の老婆だ。

 トリーシャの文句などお構いなしに話し始める。


「だけどこのままじゃダメだよ。運命を切り開いていくにしろ、考えなしに動けば歪みが出るんだからね」


「歪み……ですか」


「当たり前さね。だって……ああ、長く話すのに飲み物も無しじゃあねぇ」


 老婆はふぅ……とため息をついて、やれやれと首を振る。


「……お飲み物をご馳走させてください」


「ん……じゃあお言葉に甘えるとするかねぇ」


 情報のためだ。お茶を奢る程度はなんて事はない。こんなところまで態々来たんだもの。


 やって来たのは平民向けと言っても少しハイクラス向けのところ。

 実はここは公爵家からの出資で経営されている。 


 アイバン家が飲食店に進出する計画の前段階で、実験的に始めたところなのだが……思いの外人気が出たので閉店せずにそのままにしているのだ。


「……本当に何でも頼んで良いのかい?」


「はい。何でもどうぞ」


「あたしゃ金はないよ。スカンピンだよ」


「私がここは出しますから。お好きなだけどうぞ」


 トリーシャ達親子が来た時専用のVIPルームに通されると、老婆は流石に驚き目を見開いていた。


 庶民向けのスペースと違って調度品も最高級なものを用意している。

 流石に高位貴族がしばし滞在するには手狭だが、トリーシャ達の家族以外で使う事は想定していないのでこの程度で構わない。

 老婆は席についてメニュー表を渡された途端に前のめりに食い入るようにメニューを読み上げ「ううむ……」と唸っている。


「じゃあ……このパンケーキとタルトを三種類、ショートケーキとパフェ、あと焼き菓子……飲み物は温かい茶を頼むよ」


「…………………………食べきれなかったら持ち帰れるよう包ませますね」


「ん? そうかい。ならこのキッシュを三種類とベーコンパイも付けてもらおうかねぇ」


 こ、この人……と老婆の図々しさに慄きつつ、トリーシャはその歳を感じさせない食いっぷりを眺めながらお茶を優雅に啜って気持ちを落ち着けた。

 

 


 

 

 

 

 

 

 

ここまで読んでいただきありがとうございます!

何となく今後に使えそうな設定をばら撒きつつ、ギャグテイストで今後も書いていければと思います。

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