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うさ耳くんと、魔力 2

 水晶に触れた瞬間、白色と透明色が光った。

 目を覆うほどの光とかではなかったけれど、確かに光ったんだ。

「白と無ですか。光と無属性の魔法を君は使えるようですね」

「良かったな。ユーリ、魔力があるらしいぞ」

 神父さんと父さんの声がする。

 だけど、俺は俺に魔力があったんだ! って気持ちで嬉しくて仕方がなくて、すぐに二人に返事が出来なかった。

「やったああああああああ」

 思わず大声をあげてしまえば、父さんに怒られた。

 教会で大声をあげるものではないと。その通りだったので、俺も反省した。

「ユーリ君は魔力持ちだったので、十歳になったら学園に通う事が義務付けられています。国に報告をしますので、最低限の準備はしていてくださいね。ユーリ君は平民なので、補助もありますが」

 神父さんはそう言って、学園に入学するにあたっての注意事項の書かれている冊子をくれた。ただ、俺ちゃんと文字は全て理解出来ているわけではない。よく使うものとかなら少しは分かるけど……。父さんも生活で使うもの以外は分からないらしい。

 そのことを神父さんに言えば、「学園に入学するまでにはある程度文字は理解できるようになった方がいいです。もし、村で学ぶ事が出来ないようでしたら私が教える事も出来ますのでいってください」と言われた。いい人だ。

 魔力持ちが通う事が義務付けられている学園って、貴族とかが沢山いるらしいし、文字を使って授業をしたりもするんだろう。うん、となると、ちゃんと勉強しないと。

「父さん、魔法の本とかって買えたりする?」

「……ユーリ、本と言うのはとても高価なんだ。特に魔法書だと早々買う事は出来ない」

「そっか。あと、父さん、お金について俺知らないから教えて?」

 魔法についての本は特に高価なので、早々買えないものらしい。残念。まぁ、仕方がないか。ついでにお金についてちゃんと聞いた。

 半銅貨、銅貨、半銀貨、銀貨、半金貨、金貨、とあるらしい。

 それぞれが聞いた限り、半銅貨=50円、銅貨=100円、半銀貨=500円、銀貨=1000円、半金貨=5000円、金貨=10000円なようだ。もっと上の貨幣もあるらしいが、庶民だと使わないらしい。

 父さんに手を引かれながら、色々と見た。

 欲しいものは沢山あったけれど、流石に色々と買ってもらう事は気が引けたので、買ってもらったのは一つのお菓子ぐらいだった。お菓子とはいっても、前世で食べたみたいなものではない。砂糖が貴重らしくて、蜂蜜で代用されているらしい。砂糖をたっぷり使ったお菓子とか食べてみたいなーと思ったけれど、あまり甘くないお菓子でも銀貨一枚ほどしたので、難しいだろう。

 そういえば、街を周りながら父さんに「ユーリも狩りに今度、連れていく」と言われた。俺は正直心が躍った。

 うさぎの獣人だと狩りに行かずに裏方にいる事も多いと言っていたから、もしかしたら連れていってくれないのではないかとも思っていたのだ。

 父さんが言うには俺が強くなる事を諦めずに頑張っているから連れていくことにしたとのことだった。それに学園に行くことになるのならば、体を鍛えていたほうがいいらしい。

 俺の属性が白と無なので、がっつり戦闘系の魔法系統ではないものの、学園だと魔物退治とかも授業で含まれているらしいのだ。なので、そのための練習も含めてやっていた方がいいらしい。

 それにしても本当に魔力があって良かった。

 あまり攻撃的な魔法属性ではないけれど、とりあえず魔力があって魔法が使えるのだ。魔法さえ使えればこっちのもの、というか、どうにでもなると思う。

 学園に入学するまでの間に独学で魔法を学ぶかどうかは個人次第らしい。それで暴走して死んだとしても自己責任とか、そんな話らしいのだ。王族とか貴族だと家庭教師をつけて学ぶらしい。平民だと独学をするものもいれば、学園に入ってから学ぶものもいるのだと。

 俺は強くなりたいし、ゲルトルートさんが教えてくれるといったからゲルトルートさんに学ぶつもりだ。

 父さんも「ゲルトルートさんが見てくれるなら安心だ」と納得してくれた。良かった。

 ちなみに父さんはゲルトルートさんの事を美人だとは思っているようだが、母さんに一途なのでゲルトルートさんをぽーっと見ている事もない。俺、一途な方がいいと思うからとても良かったと思っている。

 だって、ゲルトルートさんに父さんがぽーっとなって両親が喧嘩にでもなったら俺悲しいし。

 しばらく街を見た後、俺と父さんは宿に向かった。

 ベッドとかあるのかなと思ったけれど、床に寝るタイプの宿だった。ベッドに寝るタイプだと一泊の料金が高いらしい。寝床で寝転がりながら、俺は魔法はどんなことが出来るだろうかとずっと妄想を繰り広げていた。

 あまりにも無言で考え込んでいるから父さんには心配されてしまった。

 ……光と、無かぁ。本当に何が出来るだろうか。村に帰ったらゲルトルートさんに一杯聞こうと俺は決意した。





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