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異世界でTSしてメイドやってます  作者: 唯乃なない
第3章 元の世界に帰れる方法?
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お出かけ

 翌日のこと、レベッカやマリーにいろいろ言われつつも屋敷を出た。

 詳細は省略するが、帰った後がちょっと怖い。


 馬車に乗って行き先を告げ、相当時間がかかると思って覚悟をしていたら、30分ぐらいで着いて拍子抜けをした。


「え、ここですか?」


「聞いた住所はここですが、なにか間違いがありますか?」


「いえ、別に……」


 御者は馬車を駆って去って行き、俺は雑多な建物が並ぶ通りに残された。


 今日はさすがにメイド服では無く、マリーに借りたダボダボのワンピースみたいな服を着ている。

 なんか、常にマリーに見張られているような妙な気分になって怖い。


 そして、履いている靴はもちろんクロエに買ってもらった布靴だ。

 なんか、常にクロエに見張られているような妙な気分になって怖い。


 でも、今はそんなことはどうでもいい。


「え、本当にここ……?」


 アルフォンスの屋敷の周りには、同じような大きな屋敷が並んでいたのだが、ここは明らかに雰囲気が違う。

 日本の一軒家のようなサイズの建物もあれば、もっと小さい建物もあり、区画も碁盤の目では無く斜めに走っている道もある。

 日本の変な道が多い城下町みたいな街だ。


 ダニエルも貴族のはずだ。

 こんなところに貴族の屋敷があるのだろうか?


「え、ど、どの家?」


 通りの向こうから、あからさまに一般人みたいな人が歩いてきてびっくりする。

 そういえば、この世界に来てから貴族系の人しか会ってない気がする。

 一般人の普段着というのは、染色とかが結構安っぽいみたいだ。


 通りを行き交う人々の服装をチラチラ見ながら、通りを歩いて行く。


 そういえば、クロエとマリーと買い物をしたときも、女モードでぶっ飛んでいたとはいえ、普通に街中を歩いた。

 でもあの時は二人と一緒だったけど、今は一人だ。

 そして素面。

 一人で知らない街の中を歩くのは初めてだ。


 な、なんか怖いな。

 ここ、治安は大丈夫だろうな?


 キョロキョロしながら通りを歩いて行く。

 しかし、貴族がいそうな大きな屋敷は見当たらない。


「まさか……御者が場所を間違えた?」


 ダニエルの家名は確か「ミニョレー」だ。


「ミニョレー……そんな名前ないよな……」


 各家の入り口に小さく彫り込まれている家名に目を通していく。

 中にはかなり敷地に入らないと家名が読めない家も多く、かなり気を遣いながら目を通していく。


「ん……ここ?」


 足を止めたのは、かなり古びた建物の前だった。


 建物自体のサイズは、日本の普通の一軒家の二倍はあるし、この辺りでは高級住宅と言えるだろう。

 しかし、庭は手入れはされていないし、アルフォンスの屋敷と比較すると比較にならないほど小さい。

 貴族の屋敷かと聞かれると、そうとは思えない。


「でも、ここしかないよな……?」


 恐る恐る、ドアに着いた金属の輪「ノッカー」を叩いて、家人が出てくるのを待った。


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