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三度目勇者の異世界紀行  作者: 陽山純樹
第二話

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会議の結果

 その後、天王会議は順調に進み、天王達は会議の結果を公表した。


 今回は二つの大きな方針を表明した。一つは復興支援の加速。十年という節目を迎え、まだまだ復興は終わっていない。だからこそ、天王が統治する四ヶ国がさらなる支援を行っていく。

 ここについては多くの人が予想していたが、いざ公表されると人々は沸き立った。きっと商人達は天王の表明に従い、動き出すことになるだろう。


 そして、もう一つの大きな方針は魔王に関すること。天王達は魔王が復活していないという風に語っていたが、それはあくまで推測。俺としても復活していないという見解だが、可能性はゼロではない……だからこそ、魔王が復活したという前提で動くことにする。


 具体的に言うと、フリューレ王国における騒動を重く見た。天王が存在する国に、魔族が潜伏していた――これを魔王による新たな侵攻だと定義し、天王達は対策に乗り出す津表明した。

 その中で、勇者トキヤに関する言及はなかった――無視、という見方もできるし、天王達が一言も発しなかったのは、何か意図があるのでは……そういう風に解釈する人もどうやらいるらしい。


 けれど、ロードガーデンの人々が天王の表明を聞いて数日後には、そうした言及もなりを潜めた。というより、関心がなくなったという話だろう。確かに勇者トキヤが召喚されたという話は広まっているが、天王はそれに頼る気がない……そういうことなのだろうと人々は納得し、俺に対する関心が失せたわけだ。


 俺としても注目されるのは勘弁願いたいので、これはありがたい。それでいて天王達の協力が得られたので、俺としては満足のいく結果となった。

 そして次の目標は、魔族の協力を得ること……フィリスという存在がいるため、決して不可能ではない。魔王の下を離れた魔族について色々と調べつつ、攻撃を仕掛けてくる魔族や魔物を討伐していく……また、魔族と手を組むような存在も倒さなければならない。その情報を調べてくれるのは天王達の支援……盤石と言えるかはわからないが、旅の方針が明確になったのは良い点だ。


 ただ問題としては、果たしてそんな魔族がいるのかどうか……でもまあ、決してあり得ない話ではないだろうと思う。今の魔王――もとい、魔王復活を果たしたとして動く魔族は強硬的だし、反発する存在だっているに違いない――

 そんな考えを抱く間に、天王達はロードガーデンを離れた。それと共に町は落ち着きを取り戻し、俺達もまた町を出るべく準備をする――


「……すみません、なんというか」


 メルが言う……会議が終わった後に町を出るつもりだったのだが、ヘレナやフィリスにせかされた結果、俺はメルと外で食事をすることになった。

 まあ両者ともにいつもの姿だし、単に二人きりになるだけだったのだが……本当ならもうちょっと色々やった方がいい、みたいな感じだったらしいが、出立する寸前だし、とりあえずこれで、みたいな形に収まった。


「まあいいさ……悪いな、俺も気を遣うことができなくて」

「いえ……それに、トキヤとしては色々あったようですし」


 と、メルが言う。俺は眉をひそめ、


「色々?」

「気付いていないのですか? ロードガーデンに入って以降、色々と考え込む仕草を見せることが多かったですよ」


 指摘され、俺はキョトンとなる……自覚はなかったのだが――


「無意識ですか。それはきっと、天王会議の空気に当てられてのものでしょうか。あるいは、ここで成果を出さないと旅の終わりが遠のくから、ということでしょうか」

「……まあ、確かに言われてみるとどうするかと悩むことは多かった気がするな」

「今回こうして顔を合わせて食事をするのは、ヘレナ達に押されてというわけですが……トキヤは一度リラックスした方がいいと私が考えたのも事実です」

「そっか……悪いな、メル」

「いえいえ……それで、一つお尋ねしても?」

「ああ」


 何を問われるのか推測しつつ、俺は言葉を待つ。


「トキヤは天王会議で何かしら情報が得られると考え、ここに足を運びました。それはトキヤとしては確信に近いものかもしれませんが……結局、その詳細については話してくれていません」

「そうだな」

「いつか、それを聞ける日は来るのですか?」


 彼女の問い掛けに俺は沈黙する……メルとしてはどうしても引っかかる部分らしい。


「……メルが気になるのも理解はできる」


 俺はそう口を開いた。


「でも、残念だが俺の一存で話せるような内容じゃないからな」

「政治的な意味合いで、というわけですか」

「そういうこと。俺も敵を増やしたくはないからな」


 ……メルは残念そうではあったが、結局追求はしなかった。これ以上問い掛けても俺が答えないと判断したためだろう。

 もし彼女が調べようとしたら、全力で止めるとしよう……そんな決意と共に、俺は彼女と束の間の休息を楽しむことにした。


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