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三度目勇者の異世界紀行  作者: 陽山純樹
第二話

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異例の存在

「私達の見解を述べます。天王の総意としては、魔族と停戦協定を結ぶべきだと考えています」


 シルビオ王が語ると、俺はわずかに目を細め、


「停戦……さすがに和睦は無理か」

「現状、魔族は攻撃を仕掛けていますからね。ただ、あなたが言う今回の攻撃に疑義を抱く存在……そうした存在が代表に立てば、少なくとも停戦することは不可能ではないかと思います……そして」


 シルビオ王は俺を真っ直ぐ見据え、


「あなたの存在が事態を大きく進展させることになるかもしれない」

「俺が……?」

「魔王を倒した存在であるにも関わらず、あなたは魔族を味方にした。経緯はあるにしろ、魔族と話ができる異例の存在だと言ってもいいでしょう」


 シルビオ王がそう言うと、俺は口をつぐんだ。


「この十年で、どうすべきか話し合ってきましたが、結論が出ていない……しかし勇者トキヤ、あなたの存在が、突破口になるかもしれないと、話を聞いていて感じました」

「魔王に関する調査を通して、何かしら魔族にも変化を与える……みたいな感じか」


 正直、厳しいようにも思えるが……現状では魔族と絶縁状態なわけだ。ならば、色々なことを試したい、ということなのかもしれない。


「……あなたが三度目に召喚されて以降のことは、おおよそ聞き及んでいます」


 さらにシルビオ王は語っていく。


「その中で、魔族に手を貸すエルフや神族の存在も把握しています」

「十年前の戦争でも、裏切り者はいただろうし、そういう存在がいてもおかしくはないんじゃないか?」

「そうは思いますが、騒動に加担していることは重く見なければいけません……もし勇者として攻撃に異を唱える魔族と出会えたのであれば、共闘するのも一つの手かもしれません」

「それを利用して、上手いこと魔族と停戦協定を結べそうな存在を見つける……ってことか」

「はい」


 にこやかに答えるシルビオ王。ここは天王の面目躍如かな。利用できるものは何でも利用する――


 統治というのが綺麗事ばかりでないことは俺もよくわかっている。現状、魔族が何かしら動いているという明確な事実がある以上、解決しなければならないこともまた事実。


「……まあ、調査の過程で魔族と接触する必要はあると思っていた。ただ、魔王の城へ向かうとしたら、今以上に戦力を強化する必要性も……」

「戦力については必要ならば可能な限りこちらも助力します」

「わかった……方針については、おおよそ固まったかな」


 俺は王達にそう述べる。


「仲間になった魔族とも話をするけど……ちなみにだが、魔王復活に対し天王会議としてはどう結論を出すつもりなんだ?」

「魔王復活に備えるべく協調する、という形に落ち着くかと。問題は勇者トキヤ、あなたに関して言及するべきか、ですが」

「変に公的に認めると動きにくくなるかもしれないな。二十年前の魔王討伐……その旅路も、魔王の城へ踏み込むまでは天王達はあまり干渉していなかったし、もし手を貸してもらうとしたらそういう形になる方が俺としてはやりやすい、かな」


 俺の言及にシルビオ王は頷き、


「わかりました。こちらは情報収集をメインに動くとしましょう。連絡手段の構築については課題が残りますが……」

「仲間のメルがいるからどうにでもなる……けど、戦争の真実を知らない彼女に頼むのはまずいか?」

「いえ、それで構いません。なら、天王会議開催中にいくらかやりとりをしましょう」

「わかった。情報集めをしてくれるだけでも俺は動きやすくなる……ま、道中にいる魔族や魔物なんかは倒すよ。そういう討伐をきっかけに、話し合いができる魔族と干渉できる可能性もあるし」


 そう言いつつ、俺は頭の中で結論を出す。

 まずはフィリスと話をして、共闘できそうな魔族を探す。その上で、魔王に関する調査を行う……まとめるとこんなところか。


「――最後の確認だけれど」


 と、クリス女王が口を開いた。


「今回の会議の結果の中で、勇者トキヤに関しては言及しない」

「ああ、それでいいよ。俺はあくまで自分のやりたいように動いているだけ、だからな。情報収集というのも、俺が天王側へ頼んだ、という形にしてくれると助かる」

「ええ、ならばそれでいくとしましょう……頼んだわね」


 笑みを浮かべるクリス女王。こちらは「期待に応えられるよう頑張るさ」と答える――その後、俺はいくらか彼らと今後について打ち合わせをした後……秘密の会議は終わりを告げたのだった。






 俺は宿に戻り、とりあえずロードガーデン側と話をしたという体でメルに成果を伝える。


「魔物討伐を行ったことなど、貢献したということで天王側に話を通してもらえることになった」

「具体的には?」

「主に情報収集面の協力だ。天王が持つ情報収集能力の一端……それを使わせてもらえないかと」

「そう上手くいきますか?」

「後は天王達の判断になる。二度魔王を倒した勇者の実績から、手を貸してもらえるかどうか……それは天王同士の話し合いの中で決められる」


 俺は肩をすくめた後、メルへ続ける。


「可能であれば天王と直接話ができればいいが……まあ、ロードガーデン側へ話を通せたし、ひとまず様子見かな。変化がなければ、もう一度俺の方から行動してみる」

「わかりました、私達は下手に動かない方がいいでしょうし、トキヤに任せます」


 そう結論を述べる。俺は頷いた後……話の矛先をフィリスへ向けた。


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