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三度目勇者の異世界紀行  作者: 陽山純樹
第二話

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会議の本題

 戦争――ひいては魔王の真実に後ろ暗いものがあるとして、俺はそれを否定する気にはなれなかった。


 というより、否定するには天王達を上回る繁栄が約束されていなければならないだろう。例えば、俺が戦争の真実を語ったらどうなるか? 無論、人々は大反発するだろう。その結果、最悪国が分断するなど様々な影響が出てくる。

 場合によっては血を見ることになる……魔族が相手などではなく、同族同士で戦うことになるかもしれない。どちらにせよ、多数の悲劇が生まれることは必至。それをしてまで、真実を明かそうとは思わない。


 それは十年前、悲惨な戦争を経験したからでもある……天王達が行っている所業は酷薄なものではあるが、ロードガーデンに多数の人々が押し寄せるように、多くの人を喜ばせ、繁栄の礎になっていることは事実だ。今の俺に……いや、勇者として魔王を二度倒した俺でも、その事実を覆す方法は、ないと断じる。


 だからこそ――


「……俺のスタンスは変わっていない」


 天王達へ向け口を開く。


「あなた達が目指しているのは、最大多数の最大幸福だ……俺はそれを否定しないが、かといって受け入れるわけでもない。俺はあなた達の秩序の下で生まれる悲劇を止めるために、勇者として剣を振るう……それだけだ」

「ああ、貴殿はそれでいい」


 アルベル王が述べる。そこで俺は――ようやく、本題を口にする。


「改めて、問うが……魔王復活について、あなた達はどう考えている?」

「魔王は復活していません」


 そう語ったのは、エルフのシルビオ王だ。


「それが私達の結論です……しかし、魔王の近しい魔力を持った存在が現れたのは事実。よって、警戒の意味を込めて魔王が復活したと公表しました。その余波であなたが召喚されたのは予想外でしたが」

「まったくだな……魔王が復活していないというのは俺も同意するよ。魔王が主導で動いているなら、フリューレ王国へ仕掛けるにしてもよりマシなやり方をするだろう」

「ええ、私達も同様の見解です」

「なら、今起こっていることはどういう理屈だ? 一体誰の指示で魔族は動いている?」

「候補となるのは、間違いなく魔王の側近」


 と、シルビオ王は俺に答えた。


「ただ、目的については不明です……ここで知りたいのは魔族を動かしている目的と、誰がこの計画を遂行しているのか」

「その二つを解明しない限り、解決はしないという話だな」


 俺の言葉に天王達は頷き……次に口を開いたのは、クリス女王。


「勇者トキヤ、あなたはこの事件の究明を行う……そのために旅をしている、という認識でいいのかしら?」

「そうだな。ジェノン王国によって再召喚されたが、魔王と二度も戦った俺だからこそ、今回の騒動に対し思うところはある……だから、原因と首謀者がわかるまでは、旅を続けるつもりだ」

「場合によっては魔王の城へ向かうことになるかもしれないわよ?」

「それならそれで仕方がない……というより、俺としてはあなた達がある程度情報を持っているかと思って、事態が進展すると思ったんだが……」

「申し訳ないわね」

「まあいいさ……と、ここで疑問が一つ。事件の首謀者が魔王の側近だとして、そいつは戦争の真実は知っているのか?」

「現時点では不明だけれど、十年前の戦いで天王会議の真実を知る側近は全て滅んでいるのは確認しているわ」


 そう述べた後、クリス女王はさらに続けた。


「もし天王会議の情報を持っているのであれば、今ここで何かしら騒動が起きてもおかしくないけれど……」

「というか、何かをするために魔物を準備していた、とか?」

「その可能性も最初考えたわ。けれど、準備している魔物の数などを踏まえると、その線は薄いと考えているわ……そもそも、大陸国家を動揺させるのであれば、さっさと天王会議の真実を明らかにすればいい。けれどそれをしていないのは、知っていても証拠などがないため……おそらくそういうことなのでしょう」

「であれば、大国同士で軋轢が生まれる、みたいな事態にはならなさそうだな」


 俺はそう呟くと、天王達を一瞥し、


「俺は真相をつかむために動くことにするが……天王達はどうするんだ?」

「ここは連携して対応する、ということで手を打たない?」

「変に援助とかされてもそれはそれで面倒かもしれないんだけど」

「直接的に人員支援をするのはまだ先でしょうし、公にはしない方向にしましょうか。勇者トキヤが得たいのは何より情報、よね?」


 問い掛けに俺はコクリと頷く。


「なら、私達がその部分を請け負うわ。魔族や魔物に関する情報を含め、あなたに情報を提供する」

「……潜伏する魔族が判明し、討伐のために逆に仕事が増えてもおかしくないな。ま、そちらとしても魔族や魔物を倒してもらった方がありがたいだろうし、落とし所としてはまあまあか」


 ――天王達としては、今動いている魔族を天王会議に引き入れることができれば、などと考えたかもしれないが……フリューレ王国などの騒動を踏まえ、倒した方がいいという判断なのだろう。

 ひとまず、方針に関しては決まった……と、ここで今度は天王側から質問が飛んできた。


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