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三度目勇者の異世界紀行  作者: 陽山純樹
第二話

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王達との会話

 会議の部屋にいるのは、王達――天王のみがこの場にいた。国同士の重要事であれば側近を始め各国の重臣達が顔をつきあわせて話し合いをする……というイメージがあるのだが、今回はそうではない。

 会議室も大広間というわけではなく、部屋の中央に位置する円卓以外に目立った家具や調度品なども見受けられない。そして肝心の天王達は、俺へ視線を向けながら着席している。


「あなたが再召喚されるとは思ってもみなかったけれど、歓迎するわ」


 そして神族代表、クリス女王が口を開く――心の染み入るような穏やかな声。俺はそれを聞きながら、自分の真正面に椅子があるのを目に留める。

 その椅子の位置と、天王達の位置……円卓ではあるが、まるで五角形を描くように配置されている。


「……座る前に一つ確認だが」


 俺は口を開く――敬語ではない。前回、こうして話し合う際に、こういう口調だったのでそれを引き継いだ形だ。


「この場に各国の重臣がいないということは、これから話し合うのは魔王に関すること、でいいのか?」

「でなければ、貴殿を呼ぶことはしないさ」


 次に口を開いたのは竜族代表のアルベル王。声は若々しく――俺はそれを聞いた後、椅子に視線を向け、


「ここに椅子が置かれているのは、俺を招き入れるためか? それとも――」

「貴殿のために用意した。今後会議で五つ目の席を用意することがあるのなら――それは間違いなく、貴殿に用意したものとなるだろう」


 俺はアルベル王を見る。精悍でありながら穏やかな表情を見せる相手に俺は毒気が抜かれた気分となりつつ、椅子に着席した。


「……もう一つ質問だ」


 俺はさらに王達へ問う。


「俺がロードガーデンにいるとわかっているからこそ、こうして話し合いの席を設けた。それは理解できるが、まずはその理由から訊いてもいいか?」

「貴殿が先に言ったとおり、魔王に関することだ……ただ君が警戒するのは理解できる。君は真実を知る者……我々がどういう風に干渉してくるかは、気になっていたところだろう」

「――そこについては、心配いらんよ」


 と、次いで語り始めたのはフリューレ王国の王であり、人間の代表であるリチャード王。その見た目相応の太く老獪な声が会議場内に響く。


「我々が君を害することはない」

「……ある意味、俺はあなた達の利益を大きく損なった。それが意図的なものではなかったとはいえ、結果的にそうなった。以前こうして話し合った時も言っていたが……それを踏まえても、敵対することはないと?」

「トキヤ殿が全てを理解し、勇者として大陸に生きる者達に貢献している。それがある以上、害するような真似はせんよ」

「警戒するのはもっともではありますが」


 と、今度はエルフ代表のシルビオ王。こちらはどこか中性的な声音だ。


「そこは心配いりません……とはいえ、あなたがそう問うのも理解はできます。よって、こう語った方が良いでしょうか」


 と、シルビオ王は笑みを浮かべ、


「あなたと敵対するより、あなたと手を組んだ方が遙かに利がある」

「……確かに、理由もなく魔王を二度倒した勇者を害そうとしたら、面倒事は確実だな」


 そう言うと、俺はこれ見よがしにため息をつく。


「何も変わっていないな、あなた達は……いや、十年程度で変わるはずもないし、変わらないからこそ、大陸が繁栄している、と言うべきか……徹底的に利害を把握し、天王同士で話し合い、最善の利益を出す……そうやってこの大陸を運営してきた。それは魔王が引き起こした戦いの後でも、同じか」

「むしろ戦いの後だからこそ、だ」


 と、リチャード王は語り出す。


「トキヤ殿は理解しているだろう。フリューレ王国はまだまだ復興の途上であると。そうした中、魔族の潜伏まで許してしまった」

「……そうだな」

「こちらとしては礼を言わねばならん立場だ。未曾有の悲劇に陥る可能性を回避した。このロードガーデンでも、魔物を倒した。その功績に対し、我々は敬意を払い、まだ礼を尽くすべきだと思っている」


 他の天王達は同調の気配を見せる……内心でどう思っているかは俺も正直わからない。だがまあ、ここまで言っている以上、少なくとも敵対することはない、だろうな。


「わかった。ならあなた達を信用する……それに、今回巻き起こっている事件の数々は、あなた達と手を組んだ方が解決も早そうだからな」


 そう言うと、俺は天王達を見回す。


「……もう一つだけ確認だが、あの戦争の真実……ひいては魔王の秘密について露見してはいないんだな?」

「そこは問題ないわね」


 と、クリス女王が口を開いた。


「もっとも、魔王がなぜあそこまでの暴虐に出たのか……それを知りたいと、色々研究している人はいる。その中でもしや、と推測する者は出てくるし、実際に考えついた人もいるでしょう。けれど、それが真実になることはない」

「証拠がないから、だな」

「そうよ。私達も隠蔽が完璧だと主張することはないけれど、気付いたからと言って全て排除するようなこともない」


 ……まあ真実だろう。マヌエラもとりあえず自ら動かなければ大丈夫そうだ。

 天王達から言質はとったので、俺は話を進めることにする……それと同時に思い出す。それは、魔王の真実について――


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