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三度目勇者の異世界紀行  作者: 陽山純樹
第二話

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会議開催の日

 そして――とうとう会議開催の日がやってくる。


 開始日はロードガーデンという町において非常に特別であり、朝から多くの人が大通りに詰めかけている。

 目当ては天王達の到着……と言っても、重厚な馬車が来るだけで、顔を見ることはまだできない。人々が天王の姿を目の当たりにするのは、彼らが町の中央にある会議場に足を運んでからだ。


 朝、俺は宿にある廊下の窓から外を眺める。騎士達によって会議場までの道はきちんと空けられており、いつでも馬車が来てもいいようになっている。


「……物々しいわね」


 そんな状況の大通りを見て、近くにいたヘレナが声を上げた。


「会議というのは毎回こうなの?」

「ああ、そうだな……ま、騎士達が多数いて厳戒態勢にも見えるけど、天王達が来るわけだし当然だな」


 肩をすくめつつ俺は応じる。


「天王達が会議場に入ったら一段落するから、それまでは宿内で待機だな。それとも、間近で見るか?」

「ううん、遠慮しとく」


 首を左右に振りヘレナは応じると、


「それよりメルさんが呼んでる」

「わかった」


 俺はメル達の部屋に。扉を閉めた段階でメルが口を開いた。


「さて、滞りなく天王会議は開かれるようですが……ここから情報収集のために動くとして、私たちは何をしますか?」

「まず確認だが」


 と、俺は口を開く。


「メルは何か案とかあるのか?」

「ないのでトキヤに訊いています……魔王を二度倒した実績を踏まえ、閻王達から話をしてくる……という可能性は十分ある気はしますが、トキヤは待つ構えですか?」

「魔物討伐の依頼をした際、俺がここにいるという情報を天王達に伝えてほしいという要望はしている。間違いなく天王達は俺がここにいることを知っている……まあ、向こうからアクションはあるだろう」

「もしなかったら?」

「その時に考える。護衛の騎士とかからつないでもらうことも可能だろうし、方法はいくらでもあるよ」


 楽観的に言う俺に対しメルは首を傾げる。何か疑問がある様子。


「どうした?」

「……ここに来る前から思っていたのですが」


 意を決するかのようにメルは話し始める。


「トキヤの口ぶりなどから、天王達と直で話ができるという点については疑っていませんよね」

「そうだな」

「それは天王達がトキヤを見逃すはずがない……ということですか?」

「そういう意味合いもある。再召喚されたのであれば、十中八九一度は顔を合わせようとする……そこは間違いない」

「その根拠は、トキヤが魔王を倒した勇者だから、ですか?」


 ――実際は別に理由があるんだけど、さすがにそれは説明できないな。

 ただ、メルとしては何かしら根拠があるのか気になっている様子……なので、


「そうだな……これは公になっていないから言わなかったんだけど、戦争で魔王を倒した時に天王達と一度顔を合わせてた」

「顔を合わせた?」

「そうだ。といってもそこで戦争の裏話とか話したわけじゃない……天王達は魔王と因縁がある。その因縁について聞いて……そうした話を聞いた以上、天王達からしても俺という存在は少し特殊なものになった、といった感じだ」

「それを根拠に話をするだろうと」

「まあな」


 メルの視線は因縁というものが何なのか、というのを知りたい様子。


「残念ながら因縁の部分は国が絡んだりするから、俺の口からは話せないぞ」

「……わかりました。機密的な情報なのでしょう。魔王を二度倒した勇者であるトキヤだから天王達は話した、ということですね」

「うん、そういう感じだ」


 ――まあ、内容を聞けばメルもひっくり返るんだけどな。


 そう思いつつ直接的に言及はしない。それこそ、マヌエラのように、真実を知り国を離れた者もいるように……恐ろしい話が存在している。

 二十年前にその話を知っていれば、俺はきっと反発しただろう。けれど今の俺は違う……というより――


「さて、天王達が直にやってくるわけだが」


 俺は気を取り直しメル達へ口を開いた。


「俺達はどうする? 大通りに出てその様子を見るか?」

「私は遠慮します」

「同じく」


 ヘレナが言う。フィリスもまた小さく頷き二人に従う様子。


「そっか。なら俺は外に出るよ」

「トキヤは路上から天王を眺める必要はないのでは?」

「まあまあ、この世界に舞い戻ってきたわけだし、色々思うところもあるからな……会議期間中はむしろ暇かもしれないし、それぞれが思うように過ごせばいいさ」

「トキヤはむしろ動かないといけないかもしれませんね」

「そうかもな……天王の出方次第になるけど悲観はしていない。それじゃあ、行ってくるよ」


 俺はメル達に告げて部屋を出る。そして宿を出て――そこで、遠くから歓声が聞こえてきた。

 どうやら到着したらしい。俺は声を耳にしつつ進路を町の中央へ向ける。会議場周辺はとにかく人だらけだが、せっかくだしそちらに足を向けてみよう……そう考え、俺は人混みの中歩を進めることとなった。


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