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三度目勇者の異世界紀行  作者: 陽山純樹
第二話

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二体目

 一体目の魔物を倒した流れで俺達は二体目の魔物を討伐するために山の中を進む。その道中で魔物は反応を示し、俺達は協議の末誘い込む決断をした。


「メル、魔物の強さは一体目と同様か?」

「おそらくは。魔力量については似たり寄ったりですね」


 そう述べた後、彼女はフィリスへ目を向けた。


「魔力の質については一体目と同様だと思います……フィリス、あなたはどう思いますか?」

「私も同意見」

「なら、同一の存在が生み出した魔物で間違いないようですね」

「この分だと森にいる魔物も同じだろうな……索敵魔法で探し出せる個体を全て倒したらひとまず解決かな? 魔物の作成者が気になるけど」

「既にロードガーデン周辺にいないというのが正解でしょう」


 メルの指摘に俺は頷く。


「そうだな……お、開けた場所だ。ここで魔物を誘い込むか」


 斜面ではなく平地に近しい場所に到達し、メルとフィリスは作業を始める。やがて二人は魔力を発し、それをわざと魔物へ差し向ける。

 結果、明らかに魔物は反応を示した……まだ突撃してくるような気配はないが……、


 俺は魔物のいる方角を注視。肉眼では確認しづらい距離だが、どうやら二体目は狼などのような四足歩行の魔物らしい。


「さっきの悪魔と比べて突撃の勢いはありそうだな……迎え撃つより魔法の壁か何かを作って進路を阻んだ方がよさそうだ」

「ならその手でいきましょう」


 メルが決断した直後、魔物の雄叫びが聞こえ、魔力が近づいてくる――


「とうとう動き出したか……メル、魔法を使って魔物の進路を妨害。ヘレナとフィリスは俺と共に魔物を迎撃だ」


 ヘレナ達は頷く。それを見た俺は、


「魔物の強さは悪魔と同等かもしれないが、防御能力がどれほどなのかなど、詳細はわからない。よって、確実に仕留めるべく力を出してくれ。反撃の隙を与えないまま倒しきる」


 指示に対し二人は反応しようとしたが――それよりも前に魔物が俺達の眼前に到達した。見た目は漆黒の狼。ただ体躯は獅子と同等……いや、それ以上に大きく、赤い目が俺達を射貫き、再び吠えた。

 来る、と内心で呟くと同時に魔物が仕掛けた。文字通りの最短距離、俺達を倒すべく問答無用で迫ってくる――


 だが次の瞬間、俺達へいよいよ食らいつこうとする寸前で狼は透明な壁に頭から激突した。重い音が響き、魔物はうなり声を上げる。

 相当な魔力を抱えている以上、メルが構築した壁を把握できてもおかしくはないが、ここは彼女が一枚上手だった。魔物は目の前に透明な壁があることなど気づかず、激突した。


 結果、魔物の体躯がよろめいた。頭部に普通の動物と同様に脳などがあるか不明だが、少なくとも頭部が重要な場所であるのは間違いないらしい……明確な隙が生じた。


「今です!」


 メルが叫ぶ。それと共に壁が消え、俺とヘレナが一気に間合いを詰めた。

 その間にフィリスが魔法を行使。放ったのは複数本の光の剣。それが彼女の頭上で生まれ、魔物へと降り注いだ。


 光の剣は四本の脚に狙いを定め、突き刺さる。それで魔物はまず動けなくなった――フィリスに対しどのような魔法を撃ってほしい、というリクエストはしなかったが、間違いなく俺とヘレナにとって最適解の魔法を使用した。

 とはいえ、魔物は無理矢理動き始めるかもしれない――それを考慮しながら俺とヘレナの剣が、魔物の頭部へと入った。振り下ろされた二つの斬撃は、しっかりと魔物の頭部を抉り――直後、魔物が声を上げた。


 それは間違いなく断末魔……魔物が塵となり始め、やがて消え失せた。そこで俺はゆっくり息を吐き、


「うん、最高の結果だな」

「魔物も単調な動きでしたね」


 メルの言葉。俺はそれに同意しつつ、


「魔族が魔物を生成していたとして、与えていた命令が単調だった、という風にも解釈できるな」

「複雑な命令を与える必要がなかった、ということかもしれません。魔物の能力は普通の騎士や戦士では対処できそうにありませんし」

「……斬った感触からも、それは伝わってきた」


 と、俺達に続きヘレナが呟いた。


「一撃で倒せたけど、仕留め損なったらまずかった気がする」

「そうだな、今回は魔物の詳細を完璧につかめない中で戦ったが……メルやフィリスの援護もあったし、連携としては良かったと思う」


 俺の言葉にメルは頷く。ヘレナやフィリスも頷き、多少ながら自信になったようだ。


「さて、これで山中にいる魔物は倒せたが……残るは騎士団と対峙している魔物だけだな。メル、どうする?」

「交戦が始まったようです。魔物に対し騎士達は向かい合っている状況ですが……」


 と、彼女は森のある方角へ視線をやりつつ、目を細めた。


「苦戦しているようですね」

「なら向かうとするか」

「騎士団から反発を受けませんか?」

「受けるかもしれないが、犠牲者が出るより何億倍もマシさ」


 俺の言葉にメルは小さく笑い、


「わかりました、では戦いを終わらせるために――向かいましょう」


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