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38話 ドラゴンとの空中戦

「ドラゴン!?」


「なんで竜がここにいるの!?」


 アマテとニャアンが困惑する。

 

 それもそのはず。

 空から巨大な竜が現れ、炎を吐いていたのだから。


「背中に人が乗ってます!」


 ミリアが指差す方向を見ると、確かに竜の背中に黒いマントの人影があった。


(あれは…斬刻旅団の奴らか!)


 修二は歯ぎしりした。


「みんな、準備はいいか?」


「もちろんだぜ!」

「行くよー!」

「はい!」


 修二は聖剣エクスカリバー(真)を構えた。

 レベル99の力が体中を駆け巡る。


(ドラゴンベインとエクスカリバーの二刀流…。これなら無敵なはずだ)


 修二は右手に竜殺しの大剣、左手に聖剣を持って空を見上げた。


「だが、ちょっと待てよ、ユーク。どうやって空飛ぶ竜と戦うつもりだ?」


 アマテが現実的な疑問を投げかける。


「任せろ」


 修二は不敵に笑うと、両剣に力を込めた。


「《飛翔剣技》」


 修二の体が光と共に宙に浮いた。

 レベル99になったことで、新たなスキルが使えるようになったのだ。


「うおおおお! ユークさん飛んでるー!」


 ニャアンが興奮して叫ぶ。

 修二は空中を駆け上がり、ドラゴンに接近した。


「なんだと!? 人間が空を飛ぶだと!?」


 竜の背中に乗った斬刻旅団の兵士が動揺している。


「貴様らの悪行はここで終わりだ!」


 修二は二刀を振りかざして竜に斬りかかった。


「グオオオオ!」


 竜が苦痛の声を上げて墜落していく。


「バ、バカな…」


 修二は兵士の男を一刀のもとに倒すと、地上へと降り立った。


「ユークさん、すごかった~!」


「あんた、一体どうしちゃったんだよ…」


 ニャアンとアマテの反応は正反対だ。

 とそこで、村長や村の人々が近寄ってくる。


「よかった村長。無事でしたか」


 修二は周囲を見回しながら口にした。


「おかげで被害は最小限に抑えられました。ユーク…あなたはとんでもない力を手に入れたようですね。リーシャたちは…」


「分かってます。必ず助け出します」


 修二は頷くと、仲間たちの方を振り返る。


「みんな、ヴォルガ火山へ向かうぞ」


「うん!」

「はい!」

「おうよ」


 四人はヴァレス村を後にし、ヴォルガ火山へと向かうことに。




 ※※※




 その道中、修二は急いで《エックスリンク》を起動した。


 【@isekai_villager_A: ついにレベル99になった 聖剣エクスカリバーの真の姿も手に入れた これからヴォルガ火山へと向かう #クリファン攻略】


 ポストを送信すると、例のアカウントからすぐにリプライが届く。


 【@MirokuinMasato30: いよいよ最終局面だね キミなら魔王ゼノブリスを倒せるはず 頑張れ】


 このアカウントの主が一体誰なのか分からなかったが、『クリムゾン・ファンタジア』の製作陣に近しい人間であることに修二は気づいていた。


 と、そんなタイミングで。


 ドォゴオオーーン!!


 ヴォルガ火山の山頂から巨大な炎が噴き上がる。


「ユークさん、あれ見て!」


 ニャアンが指差す方向に、山頂付近で何かが蠢いているのが見えた。


「なんだありゃ…」


 アマテが険しい表情で言う。


「急ぎましょう。一刻の猶予もないかもしれません」


 ミリアの言葉に全員が頷いた。


 四人はヴォルガ火山への道のりを急いだ。

 修二の胸には、京香への想いと仲間たちとの絆、そして魔王を倒すという使命感が燃え上がっていた。


(もうすぐだ。もうすぐ全てが終わる)


 修二は聖剣の柄を強く握りしめながら、運命の山へと向かって行った。




 ◇◇◇




 中腹に到着した四人の前に、信じられない光景が広がる。

 山の至る所に黒いマントを着た斬刻旅団の団員たちがひしめき合い、中央の祭壇らしき場所では、巨大な魔法陣が赤く光っていたのだ。


 そして、その周りには――。


「リーシャ!」


 修二は、肉体の主である妻の姿を見つけて叫んだ。

 彼女は他の村人たちと共に、魔法陣の周りに縛られている。


「あなた…!?」


 修二に気づいて、リーシャは目を細めた。

 その瞳にはかすかに涙の跡があった。


「ユーク…。来てくれたのね」


 どこか複雑そうな表情を浮かべながら、リーシャは修二に視線を送る。


 その時。 


「――お待ちしておりました、アストラル王国の公認勇者・ユーク殿」


 祭壇の前に立つ黒い法衣の男が一礼する。


「あんたが…旅団の首領か?」


「いかにも。私はゼルガと申します」


 修二は二本の剣を構えながら前に出た。


「今日は貴方にとって記念すべき日となるでしょう。なぜなら、貴方の目の前で魔王ゼノブリス様が復活なさるのですから」


 ゼルガが杖を振り上げると、祭壇の魔法陣がさらに強く光った。


「阻止させてもらう!」


 修二が駆け出そうとした瞬間、周囲に控えていたメンバーが一斉に立ちはだかった。


「ユーク!」

「一人で行っちゃダメだよ!」


 アマテとニャアンが修二の両脇に並ぶ。


「わたしたちも一緒に戦います」


 ミリアも杖を構えた。


「みんな…」


 修二は仲間たちの顔を見回した。


「よし、一気に行くぞ!」


 四人は斬刻旅団の包囲網に突っ込む。


 レベル99の力は圧倒的だった。

 聖剣と竜殺しの大剣を振るうたびに、何人もの敵が倒れていく。


「うおりゃー!」


 アマテのブルーファングが団員を薙ぎ倒し、ニャアンの回復魔法が仲間たちを支える。

 ミリアの攻撃魔法が戦況を有利に導いた。


「なんという力…!? こ、このままでは…!」


 ゼルガも焦りの表情を見せる。


「チッ…少しばかり早いが、復活の儀式を執り行う!」


 ゼルガが漆黒の大杖を高く掲げると、捕らわれたリーシャや子供たち、女性らから光が立ち上がった。


「やめろーー!」


 修二が駆けつけようとするが、あと一歩届かない。


「遅いッ! 魔王ゼノブリス様よ、今ここに復活したまえ!」


 祭壇の魔法陣が爆発的な光を放った。

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