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13:じゃないのよ

「説明して貰いましょうか?」ニッコリ

「ぅわぁぁ、待ってください。ほら、上司も連れて来ましたからっ!」


ん? 上司?

言われてみればアリェーニャ様の横にTHE神様!というような白いお髭がフッサフサのガンダ〇フのような神様が立っている。


「どうも初めましてって事で説明していただけます?」ニッコリ

「お、おぉぅ・・・」


このじぃちゃん神様の説明によるとだね。

聖女として連れて来られた西山京香さんは女子高生だそうで、ちょっと我儘ちゃんだったらしい。

聖女として活躍できるように治癒と浄化の力を授けたのだけど、使えるようになる為には魔法について学ぶ必要があるのに全く学ぶ気も無いのだとかで。

ユマンの王子と仲良くイチャコラしながらドレスや宝石に囲まれた生活をしているのだとか。

だからどうした? 私には関係ないじゃないか。

あのアンポンタンがうっかりだかわざとだか知らないけど、名前こそ言わなかったけどもう1人日本人が居るみたいな事を言ったらしく?

だったら聖女の仕事をその人にやらせればいいじゃないかとなったって、ちょっと待たんかい。


「あのアンポンタンはまだ罰してないって事でいいんですかね?」ぐりぐり

「いたたたたっ、変な神託を下した事になった時点で即罰した」

「それじゃ遅いんじゃないですかね?

 人違いで私を適当にぽい捨てした時点で即罰するべきだったのでは?」ごりごり

「いだぁぁいっ、そうなんじゃが人材不足で忙しくてのぅ」

「へぇ、人材不足ねぇ、それで忙しかったの、へぇぇ。

 あのさ、私の人生をなんだと思ってるんですかね?」ぎちぎち

「いでででっ、その事については申し訳なくじゃな」

「それで、どうするつもりですかね?

 まさかとは思いますけどこのまま放置って訳ないですよね?」ぐぃ~っ

「ったぁーい!神託の取り消しは出来ぬのじゃぁ~」

「出来ぬのじゃぁじゃないのよ。他の方法は?何か対処方法ないんです?」

「其方が新たな聖女とし・・・」

「はい、却下! 他の方法は?」ぺしっ

「な、なにかよい案はないかのぅ?」

「私に聞くんじゃないわよ!」ピシッ


だいたいさぁ、この国の王も言われるがままに捜索隊作るってどうなの?

この国と言うかこの大陸にその聖女の恩恵なんて無いでしょうがよ。

そもそもユマンとの関りも無いんじゃないの?


「確かにユマンとは関わりがありませんが

 それだけ聖女と言うのは重視されているのですよ」


ここでアリェーニャ様が地図を広げて教えてくれた。

この世界には大きく分けて5つの大陸があり、大陸としては小さ目の中央大陸にユマンがある。

中央大陸と東の大陸には人族が納める国が多く、何故だか魔物も多く現れるのだと言う。

魔物って、益々ファンタジーな世界になったような・・・

魔物が多ければ瘴気の発生も増えるので対応策として治癒と浄化の力を持つ聖女を呼んでいるのだとか。

いやいやいや、毎回異世界から呼ぶんじゃなくてこの世界から聖女を出す事は出来ないの?

何度も試みたけど無理だった? あ、そう・・・


「よし、解かった。私居ない事にしよう。うん、それがいい」

「居ない事とは?」

「病死でも事故死でもいいからさ、私はすでに死んでこの世に居なかった。

 死んでりゃあちらさんも諦めるでしょ?ほぉらこれで万事解決!」

「待て、キヨカが死ぬ必要はあるまい」

「やだなニクスさん、本当に死ぬわけではなくてね?

 聖女と同郷の者は死んでいたと思わせればいいのよ。

 ほら、ポイ捨てされた山の中で遭難死でもいいんだし」

「でもキヨカの見た目は人族だしバレそうじゃないかな?」

「そうなんだよねルナーさん。

 そうだ、そこは神様パワーで何とかならないです?髪の色変えるとか」

「髪の色ならば可能じゃのぅ。

 じゃがな、すでにその姿をこの町の住人は見ておるでな。

 このままこの町にというのも難しかろうし

 他へ行ったとしても目立つじゃろうのぅ」

「でしたら引っ越すタイミングで人族で無くしたらいかがでしょうか?」

「そんな事可能なの?アリェーニャ様」

「上司の許可があれば・・・」チラッ


アリェーニャ様の言葉に私、ニクスさん、司教様の視線がじぃちゃん神様に向く。


「うぅむ・・・ならばボブキャットで良いか?

 ボブキャットの獣人であれば、耳も小さく尾も短いので

 其方としても違和感なく馴染めよう」

「ボブキャット、どんな子だったけか。あぁ思い出した。

 うん、可愛いし寒さにも強い子だったよね確か。OK、ではそれで。

 後は住む場所をどうするか、町の人達まで巻き込みたくないし。

 まぁそれは後でゆっくり考えるよ」

「では獣人への転化でこれまでの事は相殺という事にして貰えるかのう?」

「髪色」

「それは勿論、変更込みじゃよ」

「アンポンタンに担当地区?国?与えない事」

「うむうむ、心得ておる」

「今後は巻き込まない事」

「善処する・・・」

「仕方ないな、ではそれで手打ちと言う事で・・・、じゃないわよ!

 スマホの件はどうなりましたかね?」

「その件につきましてはもう少しお時間を頂きたく・・・」


アリェーニャ様が今一生懸命スマホの中にあった写真を厳選して肖像画を描いてくれているのだそうな。

ぶはっ、アリェーニャ様あの大量の写真を全部見て厳選してるの?

しかもアリェーニャ様が描いてくれてるの?

うわぁ、それは凄く頑張ってくれてるのね、素直に感謝だわぁ。

じぃちゃん神様も描こうとしたけどアリェーニャ様が止めたのだそうだ。

これなんですよとこっそりアリェーニャ様が見せてくれた。

なるほど、じぃちゃん神様は画伯だったか・・・


ともかくこれ以上は巻き込んでくれるなと再度念を押し、話し合いと言う名のクレームは終了した。

結論、捜索隊にどこかの山中で私の残骸(骨と服)を発見させる事となった。

骨は神様の方で準備するとの事だったので、私がポイ捨てされた時に来ていたジャージを回収して貰う事にもなった。

まぁこの世界にはジャージなんて無いのだから、それ見れば聖女とやらも諦めるでしょ・・・

あ、原形をとどめてジャージと解かるようにした上での経年劣化よろしくね?



すっかり遅くなってしまったので今夜はこのまま教会に泊めて貰う事になった。

4人で食事を摂りながら今後について話し合う。


「捜索隊には僕が行った方がいいんだろうなぁこれ」

「悪いが任せたルナー。俺は騎士団に戻る気はないからな」

「えぇー、せめて捜索隊に加わってくれよ」

「捜索隊だけで解放して貰えると思うか?」

「・・・無理だろうな」

「取り合えず兄さん、今後の事も考えて

 父さんと母さんにキヨカさんとの養子縁組を頼んだ方がよいのでは?」

「そうだな、明日にでも父さんの所へ行ってくるか」

「待って? 私ここから離れる事になるし養子縁組の必要性ある?」

「あるに決まっているだろう、まさか1人で離れるつもりか?」

「いやだって元々雇用関係だしこれ以上巻き込みたくないしね?」

「それは寂しいな。俺としてはすでに家族のつもりだったんだが。

 巻き込まれるのも今更な気がするのだがな?」ニヤッ

「うっ」


確かに私もいつのまにやら頼れるお兄ちゃんみたいな気がしてたけども、元々は雇用関係だったしさ。

ニクスさんだってこの町に思い入れとかもあるだろうし、家だって手作りだしさ。


「キヨカさん、私にとってもあなたはすでに家族なんです。

 可愛い妹が出来たと思っていたんですよ?」

「司教様・・・」

「私ね、春になったら別の町へ赴任する事になっているんです。

 ですから3人でそこへ行くのも悪くないと思うのですよ」


司教様の言葉に私は少しだけうるっとしてしまった。


「キヨカ、俺達と家族になるのは嫌か?」

「嫌だなんて事は無いよ、むしろ嬉しいけどそこまで甘えてもいい物なのかな」

「妹に甘えられて喜ぶ兄は居れど嫌がる兄はいませんよ」

「ああ、遠慮なく甘えてくれ」

「じゃぁ改めて、宜しくお願いします」(なんか照れ臭い)

「おぅ、任せとけ」「はい、宜しくお願いしますね」

「あー、3人で盛り上がってる所、水を差して悪いんだけどね。

 引っ越すタイミングで名前も変えた方がいいんじゃないのかな?」

 

ルナーさんに言われて気が付いた。

そうだよ、見た目を変えても名前が似てたら意味ないじゃん!


「聖女と名前が似ていると言っていたがそんなに似てるのか?」

「聖女の名前ニシヤマキョウカ、私ニシヤマキヨカ」

「 ・・・ 」

「ごめん、僕にはまったく同じに聞こえた・・・」


と言う事で名前も変えてしまう事になったのだけど、3人して自分が名付け親になると言い出した。

誰でもいいんだけど変な名前は嫌なので、3人に名前を考えて貰いその中から選ばせて貰う事にした。

ニクスさんがルクス、司教様がリュンクス、ルナーさんがルカー。

それぞれが自分の名前に寄せてきたらしい(司教様の名前はリックスだった)


「リュンクスがいいかな、通称はリュンで」

「やった!私が名付け親だ!」

「まぁ俺の名にも似ているから良しとしよう」

「えぇ・・・ルカーも悪くないと思うんだけどな」

「悪くはないよ、むしろいい名前だと思う。

 でも兄弟になるならニクスさんと司教様に似た名前の方がいいかなと思って」


ルナーさんはがっかりしていたけど仕方が無い。

後はオンスさんが了承してくれるかだなぁ。

読んで下さりありがとうございます。

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