21.アラグネシルクの下着①
翌朝。4Pという宴をやりきったがやはり5時には起きてしまう。俺の煩悩が暴走しすぎて失神させちゃったりしてごめんなさい。
裸で寝ている瀬奈さんと京香にタオルケットをかけると智がもぞもぞと起き上がる。当然裸なので形のいいおっぱいが丸見えで、まぁいろいろな体液がついててべとべとでエロイ。俺もオッキしそうだ。
「おはよ智」
「んはよーってんんん、守出しすぎ。妊娠したらどうすんのよ。せめて高校卒業まで待ってよ」
「う……あいすみません」
煩悩が無量大数で暴発してしまったのだよ。だってみんな可愛いんだもん。
「京香さんが『生理が来ない』ってニコニコしてたから、そろそろ言ってくると思うよ」
「ま、まじっすか……」
俺の精子君強すぎん?
いや避妊しろって話なんだけど、京香さんが絶対拒否なんだもん。たぶん瀬奈さんに対抗してるんだと思う。「私は自然にできた」と思ってそう。
やっちまったが後悔はない! 当然だね。若気の至りと言われても胸張って受け入れるぞ。
だって3人と離れるとか考えられないからね。
と、朝から爛れた会話をしつつも掃除の準備は怠らない。シャワーと着替えに隣家に戻った智とは墓地で落ち合った。
「そういえばさー、昨日のクイーンアラグネのドロップ品ってなんだったの?」
「あ、言うの忘れてた。クイーンシルクってやつ」
「わー、シルクだ! どれくらいあるの?」
「母屋に戻ったら出してみるよ」
こんな会話をしながら骨を蹂躙してる。虫には骨がないはずなんだけど出るのかな、なんて思ってたら、真っ白い大きな蜘蛛がたくさん湧いてきた。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!」
百年の恋も冷めそうな悲鳴で智が俺の背中に逃げてきた。こんなところも可愛いよね。
「あたし、蜘蛛、嫌い! 消えて! 【大いなる祈り】!」
智による全力のスキルでダンジョン全体が光った。そしてすべての白い大蜘蛛はほろほろと崩れていき、靄が天井へ登っていく。一網打尽とはこのことか。
「蜘蛛イヤ、蜘蛛キライ」
「相変わらずすごい威力だな」
奥にクイーンアラグネがでたので網を投げてさくっと収納した。墓地ダンジョンは狭いし木がないからちょっとかわいそうではあった。合掌。来世に幸あれ。
4階のワイト君で池袋で消費してしまった魔法を補給。いつもありがとうと感謝して収納までがルーチン。5階をぐるっと一回りしたら朝の掃除は終了だ。6階へ行くのは零士さんと相談してまだ先送り中。
「やった、レベルが上がった! これで守に追いつくまであと1レベルだ!」
「おー、やったね!」
マミーの大群を成仏させたら智のレベルが上がった。俺が23で智が22だ。年齢よりも高いぜ。ご褒美にぎゅーしたら「ふへへ」とデレた。可愛いが過ぎるぞ。
母屋に戻って朝食を食べたら智に「クイーンシルク!」と強請られたので取り出してみる。
「イヤでけぇ」
取り出したら長さ3メートルの筒に巻かれたシルクの布が出てきた。本当に真っ白で、照明が反射して周りの空気がキラキラ輝いてる。見たことないけど、ダイヤモンドダストはこうなんだろうなってくらい綺麗。
「うわ、宝石みたい! さっらさらすべすべ!」
智が強請れば瀬奈さんと京香さんもやってくるのは当然で。
「すごーい、きれーい! これがクイーンシルクなのねー。これでウェディングドレスを作ったらすごいだろーなー」
「世界的にも希少なクイーンシルク。私もこれで作ったドレスで結婚式を挙げたい」
ふたりにジトーっと見られてる。
「ソウデスネー」
でも結婚式かー。というか籍すら入れてないのは大問題だよなー。智の卒業を待ってはいるけど、それまでに瀬奈さんと京香さんが妊娠(仮)してるし。前倒しで智のご両親にお願いしに行くかなぁ。
「作るのはいいけど、ドレスを頼む先なんて当てがないなぁ」
「こーゆー時こそビッチさんに頼むのよー。伝手はあるはずよー」
「クイーンシルクを鑑定したところ、100メートルの長さが巻かれているので、ビッチさんの分を供出すると持ち掛ければ即落ちするかと」
即落ちて。
「それだけあれば、わたしたち3人にビッチさんに守くんのタキシードも作れちゃうわー」
「下着類すらも揃えられる」
「そうなんですね。実はもう一個ありまして」
ついさっきクイーンアラグネスケルトンからゲットした。昆虫でもスケルトン扱いだった。謎が多いぞ墓地ダンジョン。
「うわー、さすが守くんだわー。大好き―」
「レアすぎて予想売価は算出不可。おそらく一巻で億はするかと」
「また恐ろしいものが出ちゃったな……」
どうすべか。後で考えよう。未来の俺がんばれ。
妙に静かな智をみれば、顔を赤くして「結婚式、結婚式」と繰り返し呟いてる。
「ま、待たせちゃってるけど、式は必ず挙げるから」
3人の手を握る。甲斐性くらい見せないと俺が捨てられてしまう。
「そういえば、スパイダーシルクも大量にゲットしたんだけど」
一巻だけ出してみる。
パールホワイトなシルクで、長さ1メートルの筒に巻かれてる。クイーンシルクよりも厚みが薄いから巻かれてるメーター数は短そう。
「スパイダーシルク……一巻10メートル。守君、これをいくつ持ってますか?」
「120個あるね」
「シルクが1200メートルも」と京香さんが天を仰いでしまった。
「京香ちゃん、たしかスパイダーシルクってー」
「えぇ、伸縮性に優れ、汚れにくく、加工しやすい上に染めやすいシルクで、下着にうってつけ」
「わたしー、妊婦用のブラが欲しーなー。ショーツもねー。後ふたりは産むつもりだしー」
「フリルとレースをつけたら可愛い下着セットができそう」
「智は何かあるー?」
「あ、あたしは、ダンジョン用のスポブラが欲しくって……」
「あー、良いわねーそれー」
「スパイダーシルクで作って売り出したらハンターが買いそう」
「美奈も葉子も欲しいって言うと思う!」
ダンジョンに入ると数日出られないこともあって「肌触りがよく汚れにくい下着は売れる!」と京香さんの鼻息が荒い。
京香さんは裏方が好きなので、コーユー時はすごく楽しそうだ。見ている俺も嬉しくなる。
「あ、あと寝る時用のキャミソールもいいわねー」
「守君を悩殺できるかも」
「カップ付きならなおいい!」
「早速ビッチさんに連絡よー!」
女子が盛り上がってる。これは、作ること決定だな。俺はお地蔵さんになってやり過ごそう。




