9.海③
翌朝。今日は海に行くので掃除も念入りに。なんとJK7人全員が起きてき手伝ってくれるという。思わず合掌。ありがたやー。なお、大人はおねむである。
墓のお供えも、花は暑さですぐにやられてしまうので、早めに回収する。飲料類は一か月くらいは置いていく。
当然ダンジョンも、というかこっちが本命のようで、みな武器を持ってきていた。とはいえ掃除するのは俺と佐倉ちゃんである。彼女たちは見学だ。
見慣れぬ墓地ダンジョンに入ると「うわぁぁ」という悲鳴めいたため息が聞こえる。ゴブリン骨を見ては「うひゃぁぁ」と叫び、佐倉ちゃんのスキルの威力を目の当たりにしては「チートだ」とささやきあっていた。
3階にはオーガ骨がひしめいていた。どこかでスタンピードでも起きたんだろう。今日の稼ぎはなかなかの額になりそうだ。
「おにーさんが倒さないとポーションにならないんだからやってよね!」
「はいはい」
佐倉ちゃんにぺしっと背中をたたかれた。妹がいたらこんな感じなんだろうな。
「この数、うそでしょ!」
「あわわわわ逃げないと」
「おにーさんと智がいればあっという間だから」
「蹂躙ショー」
初見の4人は動揺しまくりだけど四街道ちゃんと柏ちゃんは余裕を見せている。
怖がらせてもかわいそうなのでさっさと片付けよう。守りは佐倉ちゃんに任せて【師走】で駆け回り投げ網を投げまくって収納しまくる。棍棒を投げてくるけどそれも収納していく。それたものは柏ちゃんがファイヤーボールで狙撃してた。いい訓練らしい。
【収納:オーガスケルトン×178】
【収納:オーガスケルトンマッスル×3】
【収納:ポーション×89】
【収納:マッスルポーション×3】
【収納:硬い棍棒×165】(一部焼失)
「ポーション御馳走様」
思わず合掌。オーガ骨の来世に幸あれ。
終わったので小走りで佐倉ちゃんのところに戻る。
「おにーさん、また走るのが速くなってない?」
「んー、自覚はないかな」
頑張れば壁も走れるらしいけど、まだそこまでは達してない。精進あるのみ。
「ありえない」
「おかしい」
「確かに、チート」
「あ…ありのまま今起こった事を話すぜ」
なんか声が聞こえたけどスルー一択。こんなのは日常茶飯なんだよ。4階のワイト君から魔法の在庫と魔法書を奪えば掃除完了。地上に戻る。
朝食を終え父さんの分の昼食を用意して準備完了!
車はハイエースの10人乗りだ。個人以外の荷物は俺が収納してあるので人数ピッタリでも余裕で座れる。仏様の御力万歳だ、
みなもぞろぞろ駐車場に集まってきた。車で砂浜の近くまで行けるので浮き輪やら膨らませて持っていく。そして水着のまま行くのだ。
「今日も暑いわねー」
「暑いから水が気持ちよさそう」
勝浦さんと小湊先生が浮き輪片手に歩いてくる。勝浦さんはすでにビキニでバスタオルを肩に羽織っているだけだ。布の面積が大きめなオレンジ色のビキニだけどピンクのアレが見えちゃう寸前まで胸元が開いてる。
すごい! でかい! 埋もれたい! 俺の煩悩は、今日だけは2135個もあるのだ。
小湊先生は水色のセパレートにパレオと控えめだ。バスト部に大きめのリボンがついているのがかわいい。美人なのに可愛いとは、もはや菩薩だろう。
「今ここで成仏しても悔いはない」
合掌。
「おにーさん、その視線をあたしたちに向けないでよね」
佐倉ちゃんが塩だ。最近塩具合が増した気がする。
そんな佐倉ちゃんだけど黄色のワンピースタイプの水着だ。腰のくびれを強調する感じでエロかわいい。
四街道ちゃんは水着の上に服を着てて向こうで脱ぐようだ。柏ちゃんは小湊さんと色違いの黒だった。みな可愛いなとうんうんしてると佐倉ちゃんの射殺さんばかりの視線に気が付いた。おっとアブナイ。
じろじろ見るとセクハラなのでさっさと運転席に滑り込む。すると助手席には佐倉ちゃんが入ってきた。ハイエースは乗るときによっこいせと登るような姿勢になるので胸の谷間が見えてしまう。
佐倉ちゃんはすくすく育っているようだ。
「佐倉ちゃんが助手席なんだ」
「悪い?」
「いえ滅相もございません。その水着がよく似合ってるね。可愛い佐倉ちゃんを拝めて眼福だよ」
「……ぷい」
佐倉ちゃんがそっぽ向いてしまった。うーむ、反抗期だろうか。難しいな。
みなで乗り込んで、シートベルトを締めてもらう。うむ、胸が強調される形になるのでボリュームがわかってしまう。佐倉ちゃん、割と大きいね?
後ろを確認するときにちらっとね、見えるんだよ。ガン見してないぞ?
「じゃあしゅっぱーつ」
「「「「イエーイ!」」」」
車を走らせて10分ほどで海水浴場につく。駐車場はあるけど海の家はない。トイレは駐車場にあるだけ。ほぼ地元民しか使わない海水浴場だ。
「車、すくなッ!」
「こんなに駐車場が広いのに、10台もとまってないんだけど!」
「両隣が有名な海水浴場でさ、挟まれてるここはのんびりできるところなんだよ」
「よーし、おねーさんはくつろいじゃうわよー」
「勝浦先輩も遊びましょーよー」
「しょうがないわねー。わたしの足技を見せちゃうぞー」
とにぎやかだが俺はすぐに降りねばならない。
「佐倉ちゃんはいこれ」
収納しておいた大量のタオルケットと車の鍵を佐倉ちゃんに渡す。これで目隠しをして車内を脱衣所にするのだ。俺はすでに海パンをはいてるし、セッティングがあるからパラソルをもって一足先に砂浜へ行くのだ。
「守くん待ってー」
「守君!」
すでに水着な勝浦さんと小湊さんが走ってついてくる。ばいんばいんとすごいので視線が吸い込まれてしまう。あれはつきたてのお餅に違いない。
「私のも見る」
「はい」
小湊先生にほっぺをつままれた。尊大でも慎ましやかでもばっちこーい!
おっぱいに貴賤はないぜ。
「海がまぶしい!」
今日は少し雲があるものの日差しは強くて波が輝いてる。絶好の海水浴日和だ。見慣れてるけど「ウォォォォォ!」って叫びたくなる。
砂浜には数家族がいて、カップルもいるけど小さい子連れが大半だ。面倒なナンパ野郎もいない。
うちは人数が多いから邪魔にならないように遊泳可能区域の端のほうへ行く。
「あつーいー!」
「砂が熱い!」
ついてくる勝浦さんと小湊さんが熱砂の洗礼を受けてる。多分熱した鉄板なみに熱いはず。
お隣さんとは離れたいい感じの場所でパラソルを開いてザクっと砂浜にさす。ハンターになって力が強くなってるから余裕だぜ。
持ってきたパラソルは5個。全部刺せば目隠しができるのでそうなったら収納してたブツを出せる。キャンプ用のテーブル椅子セット5個にサマーベッド5個に飲み物満載のクーラーボックス。アイスとかき氷も持ってきたけど後でだ。仏の懐に入れておけば溶けないんだぜ。さすが仏様だ。
「んもー。どこに行ったかわからないじゃん!」
ぶーぶー文句を言いながら佐倉ちゃんが駆けてくる。熱い砂浜をものともしないその脚力、すごいぞ!
「アッツ!」
「熱すぎて痛い!」
みんな砂の熱さに耐えられなくて走ってくる。ぶるんぶるんからぽよんぽよんまでより取り見取りですぜ旦那。最高だ。




