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うちの寺の墓地にダンジョンができたので大変です  作者: 海水


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33.日比谷ダンジョンでドロップ品勝負⑥

 21時くらいまで起きてたけど眠くなったので寝た。いつものルーチンで5時に目が覚めた。掃除しなきゃーと考えたところでここは日比谷だと思い出した。


「うーん、トイレ」


 テントのわきに仮設のトイレを出す。仮設といってもユニバーサルトイレだ。障碍者も入れる広いトイレのことで、置くだけで使えるようになってるんだ。

 排水?ダンジョンにお任せだよ。


「すっきり」


 うーんと伸びをしたところで駆け込み寺の外から零士さんが入ってきた。出かけてたみたいだ。


「おう起きたか。腹減ったぞ」

「用意します」


 朝ごはんは簡単に目玉焼きにウィンナーとキャベツの千切りだ。味噌汁は昨日の残りだね。


「「いただきます」」


 もぐもぐ、うまい。


「暇だからあたりを散策してみたが、新しい魔物はいなかったな」


 零士さんはそう言いながらごとごとと魔石をテーブルに置いた。数は10個。大きさからするとドラゴンのどっちかだ。さすが。


「昼まで時間がありますね」


 ダンジョンボスと戦う時間は必要だけど、1時間もかかるとは思えない。まだ6時だし、数時間どうやって時間をつぶそうか。


「ドロップ品を試すか?」

「あー、ブレスなんかはダンジョンの中じゃないと無理ですしね」


 寺でファイヤーしちゃったらご近所さんが飛んできちゃう。

 ということで、各種ブレススキルを覚えた。


「自己治癒スキルはどうだ?」

「ケガしないと実感がないんじゃ?」


 スキルを覚えてわざと包丁で指を切ったよ。痛かったけど数分で治っちゃった。これ、瀬奈さんとかに覚えてもらうと調理中のけがの心配も減る?

 最近瀬奈さんも京香さんも料理を作ってくれるんだ。すごくうれしいんだけど、やっぱり指を切ったりするんだよね。


「自己治癒スキルはもっと欲しいなぁ」

「エキドナ探しでもするか」

「ぜひぜひ」


 そうと決まれば即行動。テントとかを全部収納して29階をうろつくこと30分。エキドナとワンちゃん軍団を見つけた。


「やばい、もうあれがスキル書にしか見えない」

「ガハハ、守もとうとう人間を辞めたな」


 ぐぅ、笑われてしまった。

 まあいい。それよりも


「狩りの時間だぜヒャッハー!」


 吹雪ブレスとフリーズスパイラルブレスをぶっぱなしながら突撃する。気分は西部劇だ。


「キャインキャイン」

「キャイーーン」


 ケルベロスとオルトロスが寒さで倒れていく。通り過ぎるときに金剛杖で収納していく。特に二つ首のオルトロスはポーションを持ってるから確実に。

 ワンちゃんにブレスを吹かれる前にやる。やられる前にやる、は大原則よね。

 エキドナがすごい勢いで襲ってくる。おっぱいがばるんばるんだ。


「おっぱいに貴賤はないけど魔物だしね」


 フレアスパイラルブレスを放って目くらまししているすきにエキドナに近づき収納。ごちそうさまでした。


「ブレスはいいですね。ブレスだけでは倒せないけど弱らせることで複数に対応できる」

「直線的なブレスは弓使いにはあうんじゃないか?」

「あー、矢と同じ感覚かも」


 葉子ちゃんなら使いこなせそう。


「【射撃】【投擲】スキルの価値が上がるな」

「ブレススキルを持ってるのが条件ですけど」


 扇形ブレスではあるけど白狼ならいつでも出せるしね。


「美奈子はいらんというだろうなぁ」

「弟子のことはよく知ってますね」

「まあな」


 とりあえず美奈子ちゃんを考えるあたり、零士さんもだいぶ毒されてきたな。


「かわいい弟子ですしねぇ」

「一般的に見ればかわいいだろうなぁ美奈子は。胸もでかくてスタイルもいい。男が放っておかないだろうに」

「かわいいですからね、美奈子ちゃん。でも師匠以下の男に興味はないらしいですよ」

「……まったく」


 零士さんがため息をついた。なお、これも録画されているのであとで美奈子ちゃんに見せてあげよう。

 その後もエキドナを求めてうろついたけど発見もできず。残り3時間となったのでダンジョンボスに挑戦することにした。


「緊張するなぁ」

「今までは緊張してなかったのか」

「ワンちゃんの集団に突撃するときは怖かったですよ?」


 零士さんの呆れ顔はスルーだ。


「さっさと行くか」


 零士さんが先に階段を下りてしまう。あとをついて階段を下りる。

 長い階段の先には古代遺跡みたいな石造りの巨大な空間が広がってた。ローマのコロッセオな感じ。

 東京ドームくらいかな。適当だけど。


「あれがダンジョンボス……」


 その大空間のど真ん中にいたのが、白銀に輝くボディに長い首がふたつのドラゴン。大きさは大型トラック程度だけど、存在感が半端ない。赤と青のドラゴンなんておこちゃまだ。

 さすがダンジョンボスって圧を感じる。


「ダンジョンボスのドロップ品はかなり期待できる。できればあれも収納を狙いたい」


 大蛇丸を肩に担いだ零士さんにそう言われた。


「そうしたいんですけど、それってあのドラゴンに近寄らないといけないんですよね」

「守なら行けるだろ?」

「謎の信頼感につぶされそうなんですけど」

「よし行くぞ!」

「話を聞いてくれない!?」


 零士さんが突撃する。


『ゴァァァァ!』


 ふた首ドラゴンの片方が零士さんにブレスを吐く。光り輝く、眩いブレスだ。

 零士さんが身を(よじ)ってかわす。


「む、余波で俺の体が焦げるのか」


 零士さんの鎧の肩の部分が溶けて白くなってる。余波であれなら本体に触れたらどうなってしまうのか。


『ギュァァァァ!!』


 もうひとつの首が俺を狙ってた。吐き出された漆黒のブレスが迫る。

 ビニール傘を開けたけど背筋に嫌な汗を感じたので思いっきり逃げた。

 ブレスは傘を破壊し、ドガガガガガと地面を削りかつ黒に染めながら通り過ぎる。デロデロに溶けてる地面を見てゾッとした。


 【収納:ダークネスブレス×1】


「うおおおやべええええ!! これ絶対にやべー奴!!」


 傘の裏にいたら死んでたぞ!

 こっちが闇なら零士さんの方は光だ。零士くんにはなおさらヤバい!


「さすがはダンジョンボスだな! はっはっは!」


 楽しそうだった。

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