表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
うちの寺の墓地にダンジョンができたので大変です  作者: 海水


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

148/154

33.日比谷ダンジョンでドロップ品勝負⑤

 21階を過ぎてからそろそろ5時間が経つ。現在29階の30階へ行く階段の目の前。現在時刻は19時すぎ。

 走りながら遭遇する魔物を全て倒すか収納するかしてたら予想よりも早く到達してしまった。

 地上ならもう真っ暗だけどダンジョンの中は明るい。


「早過ぎますね」


 予定ではここに到着するのは、仮眠を挟んで明日朝の予定だった。試しに30階へ降りてそこがボスエリアなのは確認してる。古代遺跡みたいな石造りの巨大な空間だった。零士さん曰く、ダンジョンボスの部屋で間違いないと。


「魔物の種類が少なかったからな」


 出てくる魔物がそれまでとあまり変わらなく、数だけ増えた感じだったんだ。ニューカマーは青いドラゴン、赤いドラゴンだ。

 まさに【ドラゴン】って姿で、正直俺はぶちあがっちゃった。男の子の魂にボワボワと火がついちゃったよ。

 赤も青もドラゴンの大きさは大型トラックくらいで、人が乗るには小さいかなーって。いやま乗れないけどさ。

 赤は炎のブレスで、青は凍てつくブレスでの攻撃が主だった。空からの攻撃ばかりで接近戦になってないんだよ。ブレスも到達距離に限界があって、30メートルくらいだ。

 ブレスも扇状に広がるタイプじゃなくって直線的な奴。ブレスのスピードは速いけど避けるのも簡単だ。俺と零士さんにとっては、だけど。

 零士さんが闘刃で落とすか俺が超硬い金剛杖をぶん投げて撃墜するかのどちらかだった。地上に降りたら俺が収納って感じ。


「この階はゆっくり見たいなー」


 29階は高山の頂上近くだった。雪がちらほら見えて気温も低く空気も薄い気がするけど、何より景色がいい。偽物の風景だけど、雲海の上から見下ろす山々は最高だ。山に魅入られる人が出るのもうなずけるよ。

 あと、ドラゴンの姿をじっくりカメラに収めたい。体に対して翼が大きいように見えるけど空にいるときも羽ばたいてないから魔法かスキルかなにかで浮いてるんだぜあれ。

 爬虫類っぽい鱗もつやつやで光を反射するくらいの光沢もある。

 こう、RPGのボスキャラっぽくて、魔物だけど美しいんだ。スマホで写真を撮っておこう。


「あの寺みたいなやつを出して拠点にするか。今からボスエリアに行っても時間が余るだけだしな。あと腹減ったぞ」


 零士さんに緊張感がない。零士さんに食欲はないはずなんだけど兜が取れちゃってからは腹が減るんだって。


「じゃあ夕食にしましょう」


 空にドラゴンが飛んでるけど警戒して寄ってこないんよ。


「【駆け込み寺】!」


 割と平坦な場所を選んで駆け込み寺を出す。山門に囲まれた5メートル四方の安全地帯だ。中に入って収納に入れてあったキャンプグッズを出す。

 大型のテントにステンレス製の作業台にIHコンロに冷蔵庫。電源は小型魔石発電機を持ってきた。さっと接続して準備完了。


「ちゃちゃっと作るんで、おはぎでも食べててください」

「おぅ」


 食材の下ごしらえはしてきたから炒めるだけ。ご飯は炊きたてをおひつに入れて持ってきた。抜かりはない。

 みそ汁も同じだ。赤味噌に豆腐と玉ねぎときのこ。おいしすぎて飛べる。

 おかずは味噌肉野菜炒め。

 でかいフライパンに大量の豚バラ肉を強火で焼いて塩コショウ。焼き色がつくくらいがうめーんだ。

 キャベツもやしピーマンを投入して隠し味に酒を入れる。時間をかけると野菜がくたくたになってしまうのでさっと炒めるくらいでいい。野菜のシャキシャキを活かしたい。


「火を止めて味噌をたっぷり入れて軽く炒めれば、完成! 俺式味噌野菜炒め!」


 ごはんはどんぶりによそって、小鉢には頂き物のたくあんと人参の漬物だ。

 皿なんて面倒だからフライパンから直接食べるワイルド風だ。もう零士さんは家族同然だからね。


「「いただきます」」


 うちの六法全書のいただきますで食事開始。零士さんはさっそくたくあんに箸を伸ばす。


「この酸味がきいた味は芝山ばーさんのたくあんだな。あと引く感じでクセになるんだよなコレ。いくらでも食ってられる」


 ぼりぼりぼりぼり。俺のも食われそうになったので死守した。

 芝山さんはうちの檀家で、ちょうどショタ零士くんくらいのお孫さんがいる。差し入れたおはぎとか漬物とかをおいしそうにくもぐもぐ食べる零士くんに目を細めてて、貢ぎに来るんだ。檀家さんに零士くんの隠れファンは、結構いる。


「野菜炒めもうまくできた。自画自賛だ、うめぇ!」


 どんぶりのご飯が消えていく。


「関ケ原の時に守がいればなぁ」


 零士さんがつぶやいた。


「おばあちゃん、それは言わない約束でしょ」

「いつか、関ヶ原を踏破してえな」


 ボケがスルーされた。くそう。


「その時は俺も行きますよ」


 遺恨は晴らそう。


「食ったー」


 おなか一杯だ。

 ダンジョンの、しかも最下層手前で気を抜きすぎだけど仕方がない。零士さんは「食後の休憩だ」と言ってテントで寝てる。

 洗い物は地上に戻ってからするのでビニールにまとめて収納する。


「時間ができたから戦利品の整理をするか」


 まずはドラゴンからだけど、ドラゴンだけあってドロップ品も良いものだ。


 【ブルードラゴンの魔石×35】

 【フリーズスパイラルブレスのスキル書×3】

 【ブルードラゴンの鱗×35】

 【竜骨×35】

 【レッドドラゴンの魔石×19】

 【フレアスパイラルブレスのスキル書×1】

 【レッドドラゴンの鱗×19】

 【竜骨×19】


 ブルードラゴンのほうが数が多くて、レッドが少ないあたり、強さはレッドが上なのかなって。

 骨と鱗は何に使えるのか不明。京香さんに任せよう。

 ランドドラゴンもエキドナもたくさん出てきて、ヒールの魔法書もウハウハだ。ワイバーンは言うに及ばず、大漁だよ?


 【ランドドラゴンの魔石×12】

 【ランドドラゴンハム×600kg】

 【ランドドラゴンの甲羅×12トン】

 【エキドナの魔石×8】

 【ヒールの魔法書×8】

 【自己治癒のスキル書×8】

 【ワイバーンの魔石×107】

 【ワイバーンの肉×53キロ】

 【ワイバーンの皮×107】

 【飛翔の魔法書×10】


 お肉も楽しみだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ