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うちの寺の墓地にダンジョンができたので大変です  作者: 海水


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33.日比谷ダンジョンでドロップ品勝負②

 その頃ネット上では


 ――始まるぞ

 ――唐津、煽られて顔真っ赤じゃんw

 ――辛辣メイドさんに鍛えられたか?

 ――まだ踏破とか言ってるよこいつ

 ――どっちが勝つかのアンケートはどうだっけ

 ――唐津が勝つが9割

 ――1割の頭がおかしいやつら

 ――相手に護衛を付けられるギルド長w

 ――護衛という名の嫌がらせキター

 ――唐津組ってただのやくざだろ

 ――それな

 ――スタートした

 ――さっそく護衛が邪魔してるw

 ――護衛倒れた

 ――ひとり悠々とダンジョンへ

 ――ワラタw

 ――くその役にも立たねえ邪魔要員w

 ――にこやかに踏破とか言ってる

 ――まーだ言ってんのかこいつ

 ――もし踏破したら日比谷はどうなるんだ?

 ――無理だからw

 ――仮定の話もできない猿はお引き取りください

 ――サルw

 ――猿w

 ――ダンジョンがなくなる以上ギルドも不要だわな

 ――勝負をうやむやにするつもりか?

 ――日比谷ダンジョンを踏破するほうが難易度高いぞ

 ――ブックメーカだと唐津の掛け率は1.05だ

 ――鉄板すぎる

 ――那覇が逆張りで1000万掛けたってさ

 ――は?

 ――どこ情報だよ

 ――本人が配信してる

 ――横にはメイドさんがおるで

 ――メイドさんも1000万

 ――ブックメーカーウハウハやん

 ――つーか、こいつら裏でつながってるんか

 ――シルクの時からそうだろ

 ――情弱発見

 ――唐津帰ったぞ?

 ――どうせ事前にドロップ品を集めてたんだろ

 ――日比谷のギルド長も共犯だろ

 ――デマで通報だ

 ――証拠はすでに各所へ送付済みです

 ――震えて眠りましょう





 日比谷ダンジョンは高原ダンジョンだ、と事前に教えてもらってる。今いるところも、日本のどこかの高原と言われれば信じてしまいそうな場所だ。

 周囲にはガラの悪そうなハンターが屯してて俺を見たら立ち上がって寄ってきた。こいつらも関係者だな。


「さて、カメラの準備だ」


 眼鏡型のヘッドカメラを装着する。48時間の連続録画が可能な高性能でお高い奴だ。録画ボタンを押して録画開始。


「へっへっへ、ひとりじゃあぶねーぜ」

「ん? あいつらがおりてこねーぞ?」


 よし準備完了。【師走】で全力疾走だ。


「よーいどん!」


 10階まではひたすら走る。魔物とかち合ったら金剛杖でぶん殴る。魔石は放置。

 数分走ったらこちらからも仕掛ける。


「海水放出開始」


 事前準備はあっちだけの特権じゃない。俺もやってるのさ。

 夜中に勝浦ダンジョンにお邪魔して海水を根こそぎ奪ってきた。

 根こそぎとはいえゆっくり復活するから大丈夫。100万トンほどチャージしてきたんだ。手賀沼の貯水量が560万トンって言われてるんで、2割くらい。

 で、それを放出。


「ひゃっはー!」


 言ってみたかったセリフのひとつ。

 100メートルを6秒台で走りながら海水を放出してるから、俺の後ろは洪水だ。悪徳ハンターは流されるだろうけど知りませーん。


「おっともう階段がある」


 階段を飛び降りてまた走る。海水はまだ放出中だ。時折ハンターを見かける。そして海水に流されてく。


「しょっぱいけど我慢してねー。洪水はすぐ終わるから」


 水は引くけどぬかるんだままだろうね。

 大きなトカゲの魔物とか大蛇を見かけたけど踏んでしまった。ごめんね。

 そんなこんなで1時間ほど走ったら10階への階段にたどり着いた。零士くんの計算ぴったりだ。


「もうハンターの姿もないからいいかな」


 作務衣の袖に止めておいたキーホルダーサイズの零士くんを外して地面に置く。


「零士さん、そろそろ」

「おぅ、やっとか」


 キーホルダーサイズから180センチを超える大人サイズに変わった。

 零士さんは仮面は外してる。ハンターも多くはいないでしょ。録画には映っちゃうけど編集するから問題なし。


「階段を下りれば10階です」

「じゃあ行くか」


 躊躇も何もなく、さっさと行ってしまう。通過点でしかないからね。


「ここが10階で、ボスエリアかー」


 今までとは違って森をくりぬいたような、木々の中にほっかりとあいた空間、ボスエリアだ。木の向こうには雄大な山々が見える。

 例えれば墓地ダンジョン4階的な、ちょっと強い魔物がいる。そんな階。


「山か。ガキの頃にはよく登ったもんだがな」


 零士さんは雪の帽子をかぶった山々をまぶしそうに見つめている。家族との思い出が頭をよぎってるのかも。


「階段を降りて地下に潜ったら遠くに山が見えるってのも不思議な感じですよ」


 墓地も大概だけどさ。


「まぁダンジョンだしな。っとさっそく来たな」


 森の木をなぎ倒しながら姿を現したのはでかい亀だ。頭の先から尾までで10メートル。背中の甲羅は硬そうだ。

 手足と首は長く、甲羅に格納は無理だろう。おまけにしっぽには鋭利なとげとげが生えてる。あれを甲羅の中に入れたら大ケガ間違いなしだ。


「ランドドラゴンだ」


 事前に京香さんから教えてもらってたから知ってるんだけどさ。日比谷ダンジョンの最高到達階が21階だから20階までは魔物のデータがあるんだ。どっかのメイドさんがギルドのサーバに潜り込んで情報をパクってきたらしいぜ! 

 ランドドラゴンってのはフロストブレス(直線的)、しっぽ払い、突撃による体当たり、押しつぶしで攻撃してくるんだとか。


「10階のボスだ。ドロップ品も期待できるから収納したほうがいい。俺がひきつけてる間にやってくれ」


 零士さんが大蛇丸を持って闘刃を撃つ。わざとか甲羅にあたって空に消えていった。


「こっちだ!」


 目立つように大蛇丸を振りかざして突撃していった。

 俺は【師走】を使って回り込む。


『ゴァァァ!』


 カメの口から白いブレスが吐き出されるのが見えた。


「当たらん」


 零士さんが大げさに避けてランドドラゴンの注意をひく。おかげで何事もなくランドドラゴンの足元についてしまった。金剛杖を取り出してランドドラゴンに押し当てる。


「【収納】」


 【収納:ランドドラゴン×1】


 こんなにでかいのに収納できちゃうんだよなー。さっさと経験値にしちゃえ。


 【ランドドラゴンの魔石×1】

 【ランドドラゴンハム×50kg】

 【ランドドラゴンの甲羅×1トン】


「ハム?」


 なんで加工品?


「守、何が出た?」

「魔石のほかにハム50kgと甲羅1トンですね」

「ハムか……あまり好きじゃねえんだよな。肉はやっぱり生だ」


 そうよね。零士くんはハンバーグ、とんかつ、焼き肉は好きだもんね。

 てかそこじゃない!


「甲羅は、サーベルタイガーの牙みたいだと素材として使えるんだが、わからんな」

「ドロップ品は帰ってから京香さんに見てもらって瀬奈さんと扱いの相談をしましょう」


 少し休憩して先を急ぐことにした。

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