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うちの寺の墓地にダンジョンができたので大変です  作者: 海水


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25 ダンジョンテイクアウト③

「零士さん。それ、千葉君ですか?」

「それもあるが、ハンターになりたての新人を死なさないための訓練場になるんじゃねーかなってな。やっぱり新人の時は死亡率は高い。そこを乗り越えられればしばらくは生きられる、その先にも壁はあるが、まずはヒヨコを鍛えるのが先だ」

「はいはい! わたしヒヨコです!」

「美奈子はニワトリだ」

「卒業もしてないんだからむしろ卵ですよ! 抱卵が必要です!」

「ヒヨコには要らんだろう」

「よし、わたしはヒヨコ! 言質はとりましたよ!」


 うふふと嬉しそうな美奈子ちゃん。だんだんエスカレートしてる気がしないでもない。このまま何も起きなきゃいーんだけど。


「その辺は明日調べましょう。もう夕飯の支度をしないと間に合わないので、ダンジョンはしまいます」


 と宣言してダンジョンをしまった。

 食後、片付けも終えてのんびりしてる時間。母屋には俺、零士くん、瀬奈さん、京香さんか集まった。美奈子ちゃんと智は風呂だ。

 最近美奈子ちゃんが寮に住みついちゃっててどうしようかと思ってる。そのための寮ではあるんだけどさ。家は大丈夫なんだろうか。

 さてここからは大人だけの話し合いだ。議題は入手したダンジョンをどうするか。


「あのダンジョンを手放すとどこかに野良ダンジョンが発生しちゃうからその選択肢は無しで」


 これは絶対条件だ。先に提示しておく。


「なら活用するのが一番だろ」

「わたしもそう思うわー」

「守君の思うままに」

「まあそうだよね」


 満場一致だ。


「頭の中で試してたんだけど、10階のオーガは最大でも10体までしか出せないですね」

「ほう。だとすると、合計ランクは100か。やはり美奈子ひとりでも行けそうだな」

「3階まではゴブリンで、それ以降はホブゴブリンがまざって、7階からオーガの単体が出せます」

「オークはいねえか?」

「あ、4階から単体で、6階から複数で出せるみたいです」


 零士君との会話は京香さんが【速記】でもってほぼ無意識で高速メモを取ってる。俺の奥さんすごい。

 オークってのはイノシシが立ち上がって二足歩行したような魔物で、力が強くて腕力で襲ってくる。

 強さはホブゴブリンよりちょっと強いらしい。

 ちなみにドロップ品は牡丹肉だとか。臭みがなくて美味しいけどめったに出ないとのこと。俺が収納すればゲットできそうだ。


「スタンピードは、3階までが30体、6階までが60体、9階までが90体、10階で100体ですけど、強い魔物だと数が減るみたいです」


 小さなダンジョンで100体の魔物があふれてきたら、対処できないよなぁ。こまめな間引きが必要なんだけど、辺鄙なところじゃハンターも来ないしでスタンピードに対応できなかったんだろう。

 胸が痛む。改めて合掌だ。

 対岸の火事ではない。うちだっていつそうなるかわからない。

 守りたいものが増えた今、何とかしないと。


「その話だと、魔物のランクで決まる感じだな」

「そうねー。合計でいくつって印象ねー」

「魔物を選択することによって訓練の幅が広がりそうです」

「船橋は広いけど魔物のが少ないしー、いてもウサギとゴブリンだしねー」

「そう考えるといろいろできそうなんだよ」


 おっと、考え事してたら会話が進んでる。


「当面はゴブリン相手で戦闘の習熟を促す方針かしらねー」

「指導者はどうしますか。瀬奈先輩は妊婦ですし、零士さんの存在は大っぴらにできません」

「そこだな、問題は」

「そーよねー」

「ですね」


 3人がうなってしまった。

 ただ戦うだけだと、意味はなくないけど改善点を見つけられない。指導込みでの戦闘ならえられる経験は全然違うだろうしね。


「いっそ船橋のハンターコースに開放するか? 寺は墓地ダンジョンで十分だろうし」

「教育機関に割って入るのは危険ねー。責任問題になるわよー」

「教師は理解するでしょうけど市の教育委員会らはいい顔をしないでしょう」


 煮詰まってる感じだ。


「そもそも最初からたいそうな目標を立てないで、小さくやりません? とりあえずポニーの4人と千葉君かなーって」


 俺が発言すると、視線が集まった。


「あの子たちが強いんだと認識されれば、なんで突出して強いのかと調べられて、ここに行き着くと思うんですよ。まぁまじめなハンターだったら、ですけど」


 零士くんが顎に手を当てた。


「……急ぎすぎたかもしれねーな。自分たちで試してもいねえ机上の空論でヒヨコたちを死地に送ることはできねぇ」

「千葉君は5人組のひとりみたいで、残りの4人も巻き込むかですけど」

「それは、本人を見てからねー。悪い子だといい加減なことを吹聴するかもしれないしー」

「その辺は千葉君に確認すればいいかなって。智に学校での様子とかを聞いてもいいし。その前に、実際にいわきダンジョンの仕様を理解してからですよ」

「そりゃそうだな。うむ、相変わらずあのばーさんのおはぎは旨いな」


 零士くんがもっちゃもっちゃ頂き物のおはぎを食べてる。生きてる(?)って素晴らしいね。


「それはそれとして、ポニーの4人と千葉の意思の確認はしましょう。せっかく管理可能なダンジョンです。うまく使いたい」


 京香さんが〆た。

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