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「漁師料理ってどんなもの?」

久々の更新ですが、こんな風になりました!



 がたたん、ごとん。がたたん、ごとん。


 列車が走るとレールの継ぎ目で音がする。当たり前の事だけど。




 スマホのイヤホンからランダム再生された音楽……アップテンポのガーリーボイスが早口で捲し立てる……


 【……本当の自分求めて 変わる時だよ 今こそなれるさ 魔法少女に♪ 】


 ……そーなんだよなぁ……宝くじに当たる位の幸運に恵まれて、私は魔法少女になれた。でも、いつかは終わりを迎えるけど……暫くの間は確実に魔法少女なんだけど、でもいつかは……


 「……ゃん!! カズミちゃん!!」

 「ふぁいっ!? あ、ノアさん、東京に着いたんですか?」


 慌ててイヤホンを外す私に、も~! ぼーっとしてるんだから……と呆れ気味のノア先輩。


 「まだ着いてないけど、どうしたの、ホントに……」

 「ん~、大丈夫なんですけど……」


 煮え切らない感じで返事だけの私……だってさ、あんな話をされたら誰だってそうなると思うよ?


 《【魔法少女】と【カイジョ】【カイジン】は同じ()()()なんだから、いつかは消え失せる存在って訳。》





 海辺の漁師旅館で再会した【カイジョ】さんは、私にそう切り出したっけ……。




✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳



 (……あれ? 受け付けに居る人ってまさか……【カイジョ】さん!?)



 チェックインした漁師旅館に戻った私達を出迎えたのは……長い髪の毛と真っ赤な水着の組み合わせの後ろ姿と、


 「……あ! お二人もこちらだったんですか!?」

 「あら? 同じ宿だったのね!」


 意外と快活な雰囲気で会釈しながら話す青年(名前無いんだもん……)にノアさんがフワリと微笑みながら返します。



 「……三船……美笠(みかさ)……っと! ん? あら~カズミさんじゃない~♪」

 「えっ!? あ、どうも……」


 ウソッ!? やっぱり名前、覚えられてる……何だかやりにくいなぁ……それにしてもこのヒトの厚かましい位のフレンドリーさ……羨ましくなっちゃうなぁ。






 「……で、二組しかお泊まりのお客さんが居ないから、座敷で会食になりますが……宜しいですか?」


 赤髪の若女将サンに言われてお互いに(まぁ、そうなるよなぁ……)みたいな顔で了承して……食事前のお風呂になって……あ、温泉じゃないけど鉱泉の沸かし湯だって言ってたなぁ。





 ……で、【女湯】の脱衣場からガラリと浴室(お決まりの溶岩山の上から浴槽にお湯がチョロチョロ流れ込んでます)に入ると……湯船に浸かっていたヒトが声掛して来ます。


 「……お~っ!! スゴいじゃな~い流石は一流商社丸鐘(まるかね)の資材課主任の奥様ねぇ♪」

 「何でそこまで細かい事を知ってるんですか!?」


 そんなの【カイジョ】の嗜みの一つよ♪ と軽く切り返すミフネさん……名前、……覚えちゃいました。


 広い浴槽に三人が向かい合って入りながら、伸び伸びと足を伸ばせる……訳も無くて、何となく気恥ずかしげに足先を手繰って縮まってると、


 「なーに恥ずかしがってんのよ!! ソッチの先輩ちゃんを見習って堂々としなさいよ堂々と!」


 ……と、何故かダメ出しされちゃいました。……でも、グラビアモデル並みの体型のノアさんと比較されても……



 なんて言ってるうちに、気付けば時間も過ぎて夕食の時間になりました!


 ……そー言えば会食……って言ってたなぁ~。



 ……会食?



✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳



 「……ふっ、船盛りぃ~ッ!?」

 「ハイ! ウチの宿の自慢ですよ!!」


 若女将のハツナさん(海の家のハツミさんのお姉さん)が両手に巨大な船盛りを持って、私とノアさんの目の前にドン!! と置きました……って、これ……何人前あるの!?


 「お待たせで~す! ミフネさんとこもハイ!」

 「ひっ!? 一人一舟なんですか!?」


 連れの彼氏(メンドーだからそう呼んじゃいます!)が悲鳴じみた声を上げちゃうのも仕方ないよね……まだ生きてるイカ一杯分を筆頭に、赤い魚や白い魚、貝やエビや何やら……軽く四人前は載ってるんですが……!?


 「焼き魚も有りますからね~♪ 地物のカサゴで身がプリプリですよ~?」


 またまたハツナさんがお盆みたいな立派なお皿に盛られた巨大なお魚の塩焼きまで……ひえええええぇ~!! 漁師旅館……恐るべしですっ!!



 「……ヨシオさんと二人で、コレ全部食べる訳だったのかぁ……」

 「……カズミちゃん? 総量は何人でも変わらないんじゃない?」


 ノアさんと二人で顔を見合わせて固まってると……


 「ハツミちゃん!! お代わり頂戴!!」

 「あ、僕もお願いします!!」


 ……もう【宴】を始めてる二人が居ました。ちゅーかミフネさん、ペース早くない!?



 「カズミちゃん!! コッチも負けてられないわよ!!」

 「はいっ!? 負けるとか何に対してですか!?」


 気付けばノアさんもジョッキを片手に、目の前の戦艦みたいな船盛りにチャレンジし始めてます!!


 「……まーいっか、お酒もほどほどなら別に……」


 そう思いながら、目の前の赤いお魚(アコウダイ)をワサビ醤油に……ひぇっ!? な、何この脂の広がり方!! ふわわぁ~って虹色の輪っかがお醤油に出来てます!!


 「……んむ、んむ……はあああぁ……♪」


 口に入れて噛み締めると……信じられない程の蕩けるよーな舌触り!! クリームみたいな脂と柔らかい身の食感が……これは……ホントにお魚なの?


 「それは《メヌケ》って言って、知り合いの深場狙いの漁師さんから譲ってもらったんだよ? 東京じゃ高値だって言うけど、地元のヒトは売るだけで食べないから安く売り買いされちゃうんだよね~♪」


 そう言いながら若女将のハツナさんがジョッキを私の前に置きつつ、解説してくれました! じゃ、次はコッチのイカを……


 「はむっ!! ……ん、ん、……ほわああぁ……♪」


 うん!! 甘味があってシコシコした歯応え!! 噛めば噛む程に甘く感じるよぅ~♪


 「そっちはシリヤケイカ(別名カミナリイカ)よ? 甲羅みたいな骨があるけど、鮮度のいいのは独特の歯応えと甘味が有って美味しいでしょ?」


 うんうん!! そんな感じ!! いやぁ~こりゃビールが進みますなぁ~♪


 「ハツミちゃん!! こっちに《腰古井(こしごい)》ちょ~だい!!」


 うぇ!? ミフネさん、日本酒党だったの!? ……で、こしごい……って?


 「……あら? 腰古井じゃない!! こっちにも利き酒猪口で2つ貰えるかしら?」

 「ノアさんって日本酒も飲むんですか?」


 見た目はワイン党みたいなノア先輩(ウェービーな明るい髪色)だけど、意外な一面って感じ?


 「これは勝浦の地酒よね? スッキリしててお魚料理にもピッタリなのよ! ほら、カズミちゃんもどう?」

 「じゃ、一献(いっこん)頂きます……」


 ……さて、どんなかな?


 「……ん、……あーっ、スルッと入る感じですね……でも、美味しい!!」


 お魚に合うって言うだけあって、脂の乗った白身魚や甘味の強いイカの後味をスッキリ洗い流してくれる風味……スゴいスゴい!!


 「やぁ~ん! これ美味しいお酒ですねぇ♪」

 「うんうん! カズミちゃんも気に入ったみたいね!」

 「四合じゃ足りないわっ!! 一升宜しくっ!!」


 うひっ!? スイッチ入ったミフネさんが小さな酒瓶を逆さまにしながら、猛々しく宣言しました!!






 ……そして、気付けば四人は船盛りを肴に……狂乱の宴って感じになりました……





 ……飲み過ぎましたよ、ええ……。




✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳




 「……で、結局私達【カイジョ】【カイジン】ってのも、【魔法少女】も……同じようなモノなのよ」


 「……でも、カズミちゃん? 一番質の悪い【マジン】にだけは気をつけてね……野良の【カイジン】が自分の力に飲み込まれた成れの果ての【マジン】は、私達みたいに理性を保った連中とは違って、本能のままに魔力を見境無く奪い続ける奴なの……」


 「……ねぇ、ちゃんと聞いてるの?」









 ……そんな事を、言われた記憶だけ残して、私達がチェックアウトするより先に居なくなったミフネさん。


 敵……じゃ、ないのかな?




 「さぁ! 降りるわよカズミさん!!」

 「ふぁ~い……う、うぷ!? ……と、トイレ……!!」


 私は駅に着いた瞬間、不意に気持ち悪くなってトイレに駆け込んだんだけど……暫くして出てきた私の顔色を見てノアさんが……



 「……ねぇ、カズミちゃん……あなた……」



 ……ゆっくりと、噛んで含めるように、



 「……最近、《生理》はちゃんとある?」




 しっかりと、眼を見ながら訊ねて来たのでした……何で判るの? このヒト……






 ……ええ、もちろん検査薬使いましたよ? ヨシオさんにも報告しましたよ?






 ……【陰性】だった、つまり……妊娠してました、って!!




 (雨音AKIRA様からカズミさんの絵を頂きました!!)


  挿絵(By みてみん)

最後だけ思い付いて、半月掛かって書き上げました。遅筆ご容赦! ブクマ評価宜しくお願い致します! そして次回から新たな展開に!?

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