表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

あるコブリンハンターのお話 後編

僕はハンター。

逃げ出したゴブリンを捕まえるのが仕事なんだ。



僕はいま、東に向かってひたすら走ってる。

報告にあった、隊が全滅した場所に向かってるんだ。

いまは、何も手掛かりがない。

まずは現場に向かって痕跡をさがそうとおもうんだ。


いつもと違い、朝から出発した。

足元が明るいから、いつもより早くはしれる。

予定よりはやくつきそうだ。



僕はそこが、小隊が全滅した現場にだとすぐにわかった。

あたり一面に血の跡が残っていて嗅ごうとしてないのに匂ってくるからだった。

すでに仲間の死体とかはなかった。

昨日のうちに運んでしまったのだろうか。


周りに何か手がかりがないか、じっくり見て回る。

すると、少し離れたぬかるみに足跡をみつけたんだ。

やっぱり東に向かって進んでいるようだ。

何匹かの足跡が並んで付いている。


監督官かのじょに見せて貰った地図を思い出す。

この近くは獲物も豊富で、水を飲めそうな場所も多くい。

地道に足跡をおっていくしかない。

僕は、休まずに追いかける事にした。


夕方になる頃、ゴブリンたちが休憩した後をみつけた。

さらに半日ほど進んだ場所だ。

そこには、骨だけになった動物の残骸が散らばっていた。

残骸を詳しく調べてみる。

おそらく、1日しか経って無さそうだ。

まだゴブリンたちの匂いが残っている。


ようやく尻尾をとらえる事が出来た。

もう数時間もすすめば、見つけられるかもしれない。

はやる気持ちを抑えて、僕も彼女に持たされた干し肉を口に入れ、少しだけ休憩した。


太陽は沈み、あたりは暗くなり始めていた。

でも、僕たちハンターには問題ない。

いつも夜中に活動してるんだから。

月明かりがあれば、歩くのには支障がないし、匂いが残っていれば追跡するのも簡単だ。


僕はゴブリンが逃げた方向に進みだす。

すると、突然、先の方でピカピカと何かが光ってるのが見えた。

ゴブリンが焚火でもやってるのだろうかと、おもったけど色が違う。

不思議な白っぽい色だ。

あれはいったいなんだろう。

もしかして魔法だろうか。

まだ随分距離はあったような気がする。

僕はしばらくの間じっと待ってみた。

またピカッと光った。

見間違いじゃなさそうだ。

警戒しながら隠れ続ける。

が、その後は白い光を見る事はなかった。


ゴブリンの仕業か、魔法の仕業か分からないけど、どちらにしても問題だ。

僕は慎重に進んで行くことにした。



時間を掛けながら、足跡と匂いを追跡している。

急に前方から、ゴブリンの匂いが漂ってきた。


僕は身を伏せながら、姿が見えそうな位置に少し移動した。

すると、ゴブリンが3匹、武器を持って歩いているのを見つけた。

1匹は棍棒を手に持ち、もう1匹は小型の斧をもち、最後の1匹は折れた剣をもっている。

せわしなく、周囲の様子を伺っているようだ。


斧をもっているのが逃げ出した元リーダーのゴブリンだ。

聞いていたとおりの特徴だ。


僕は風下に回り込みながら、バレないよう追跡を開始した。

僕も少しは腕に自信があるけど、武器を持った3匹の敵に無暗に突っ込むほどバカじゃない。

もしかしたら、この槍があるから勝てるかもしれないけど、まだ使った事ないので良く分らなかった。


ゴブリンたちは追跡を警戒しているのか、それとも何かを探しているのか、周りをきょろきょろと見回していて、なかなか隙が無かった。

2時間ぐらい追跡してただろうか、ようやく元リーダーのゴブリンが他のゴブリンから離れるようだ。

用でも足すのだろうか、風下がわ、つまり僕の方に移動してきて良さそうな場所を探している。


僕がじっと息を潜めて見ていると、僕の方に背を向けてしゃがみ込んだ。

この時を待ってたんだ。

音を立てないように立ち上ると、槍を構え素早く近づく。

まだ、ゴブリンは気づいてない。

無防備な背中を僕にさらしている。


僕は一瞬ためらったけど、神獣のゴブリンの背中目がけて槍を突き刺してんだ。

槍は全く抵抗なく突き進み、ゴブリンの命を一瞬で刈り取ったんだ。

元リーダーはなにが起こったか分からない顔をしたまま死んでいた。


僕は興奮したまま、飛び出して残り2匹に近づいて行く。

残り2匹は元リーダーがもどって来たと思っていたようで油断しきっていた。

近くにいる方に槍を突き刺す。

やっぱり、抵抗なく体を貫いた。

残った1匹は驚きながら、棍棒を手に持ちこちらに向かって振りかぶる。

混乱しながらの攻撃は単純だ。

僕はその棍棒を簡単に避けて、また槍を突き出した。

最後のゴブリンは信じられないという表情で倒れて行った。


僕は一瞬で3匹のゴブリンを倒したみたいだ。

自分でも驚きながらしばらくの間、槍を見つめていた。


空が明るくなってきた。

我に返った僕は武器を拾い集め、証拠の耳を切り取り急いで帰ることにした。

昨日の夜にみた、白い光が気になる。

探し回ったけど、ゴブリンたちは特別変った物を持って居なかった。

彼女に早く報告した方が良いだろう。


僕はその後、すっと走り続けて戻ったんだ。

丸1日たって、また朝日が昇っていたけど僕は関係なく監督官かんとくかんの部屋に向かったんだ。

僕が扉をノックすると、すぐに扉が開いて彼女が迎え入れてくれた。

彼女は起きていたみたいだ。

僕の顔をみると


「無事に帰ってきてくれたのね」


と、いきなり抱き付いて来た。

僕も抱きしめ返しながら匂いを嗅ぐ。

いい匂いだ。

このままずっとこうして居たかったけど、報告がある。


まずは元リーダーたちの事を報告してから、あの白い光の事を伝えた。

彼女は僕の話を聞いたあと、しばらくそのまま抱き付いていたが、


「あなたは寝てないでしょ。だからここで休んでいてください。私はぬし様に相談してきます」


と言って部屋を出て行った。


僕は彼女に言われた通り、ベッドに横になった。

彼女の匂いが残っていて少し興奮したけど、そのまま眠ってしまったようだ。




目覚めると、彼女が僕の顔をじっとみていた。

僕は恥ずかしくなって、目をそらすと彼女が僕に近づいてきて僕の体に触れるんだ。

ドキドキして、動けなくて、じっとしてたら、彼女がベッドの僕の上に倒れこんできて、抱きしめてきた。

僕はどうしていいか、分らなかった。

けど、もう少しで何かが吹き飛びそうだった。

そしたら、彼女が


ぬし様と相談してきたわ。ぬし様も調べてくださるって仰ってたのだけれど、あなたにも調べて欲しいって・・。でも、でも私はせっかく無事に帰って来てくれた貴方とすぐに離れるのはいや」


僕はぬし様と言う言葉を聞いて、少し冷静になったんだ。


「僕はハンターだ。ぬし様がそう仰るなら喜んで調べに行くよ。君と離れるのはつらいけど、それが僕の仕事だからね」


ひと際強く抱きしめた後、彼女を体から引き離した。

彼女もそれ以上、抱き付いては来なかった。

その代りに


「主様から、この槍をまた預かって来たわ。また無事に帰ってきてください」


と言ってあの槍をまた出してきた。

僕は受け取りながら、


「絶対に君に会うために、帰ってくる」


と、伝えて出発した。



まず僕は白い光を見た所まで、休まずに進んで行った。

そこで少し休憩をとってから、大体の場所に検討をつけて調べてみた。

すると、下草がきれいに引き抜かれている場所を発見した。

何も残っていなかったけど、いままでに嗅いだことのない匂いがする。

やっぱり、ゴブリン以外の何かがいる。


僕は警戒しながら、その匂いの後を付けていくんだ。

あの後、同じように下草が引き抜かれた場所を見つけたが新しい手がかりは何もなかった。


また、みつけた。

特に手がかりはない。

ただ、ここまで真っすぐ南東に進んできてたのに、ここからはフラフラと移動してるみたいだ。

僕は、匂いを見失わないように慎重に後を付けていく。


しばらく進むと、湖に近付く。

そこは主様が、水浴びをするという聖なる湖だ。

僕は恐る恐る進んで行くと、湖のほとりに変なものがある。

近付いていくと、見たことも無い布で出来た家だ。

中にはなんだかわからない物がいくつかあって、ゴブリンの匂いと追いかけてきた匂いが交じり合っている。

こんな所にも、逃げたゴブリンが捕まらずにいるのか。


そんな事に驚きながら、いろいろ調べるけどコップ以外の物は訳がわからない。

きっと魔法の道具だ。

やっぱり、ゴブリンとあの光とは関係あるんだろうか。

ゴブリンの匂いは2方向に分かれている。

一方は西へ、もう一方は東に進んでいる。

けど、進む方はきまっていた。

ずっと追いかけてきた匂いも東に進んでるからだ。


証拠をあつめようかと思ったけど、僕は布の家をそのままにして追跡を再開したんだ。

また半日ぐらい進んだだろうか、2つの匂いは同じ方向に進み続けている。

少しずつ近づいてるはずだ。


すると、突然血の匂いが漂ってきた。

かすかに何かが焼けて焦げたような匂いもする。

僕は警戒しながら近づいていく。

すると、ゴブリンが死んでいるのを見つけた。

頭のあった場所には大きな石がある。

おそらくその石で頭を叩き潰されたんだろう。

仲間割れでもあったのだろうか、なにか手がかりがないか調べる。


直ぐ近くに、血塗れになった革のベルトに金属の飾りがついたブレスレットの様なものが落ちている。

拾い上げてみると、動いているようだ。

魔法の道具だろうか。


少し離れた所にも、ベルトの様なものに冷たくない透明な氷がついた四角い箱がある。

こちらは、動いてはいなかったけど見たこともないものだ。

これも魔法の道具だろうか。

2つを拾い上げ、鎧のポケットにしまい込む。


見たこともない、魔法の道具のみたいなものがある。

きっと、侵入者だ。

魔法使いかも知れない。

この、天空の大地はぬし様が納める神聖な場所。

侵入者は捕まえて、ぬし様に引き渡さなければならない。


ここから点々と続く血の匂いをクンクンと嗅ぎながら、後を付けていく。


明け方近くに、川沿いに出た。

このあたりで、血の匂いが濃くなっている。

草むらの中に、ゴブリンの血がべっとりと付いた奇妙は服が落ちていた。

匂いを嗅いでみると、さっき死んでいたゴブリンの匂いだ。


他に手がかりはないかと、思った瞬間ずっと追って来た匂い強くなった。

侵入者が近くにいるのだろうか。

顔をあげると、すぐ目の前を人間の男が走り抜けて行った。


やっぱり侵入者だ。

武器は持っていないようだ。

慌てて追いかける。

けど、男はあまり速くはなかった。

直ぐに、追いついて来た。


荷物からはゴブリンの血の匂いがする。

あの中に魔法の道具があるのかも。

僕は背負っている荷物目がけて、槍を思いっきり投げた。

槍は見事に荷物に突き刺さり、男はゴロゴロと転がっている。


まずは、荷物を調べる事にした。

荷物の中には布しかなかったが、ゴブリンの血がうっすら付いていた。

やっぱり、この男が殺したんだろう。

他に何かないか、魔法の道具は・・。


と、思ったとき不意にぬし様の気配を感じた。

あの絶対的な力への恐怖が湧き上がる。

なぜこんな所に、と思う間もなく僕の体は空高く舞い上がった。

僕はなにが起きているのか全く分らなかったが、ひたすら恐怖に耐えていた。

槍も荷物も侵入者も離れていく。


しばらくして、包まれるような安心感を感じる。

目を開けると遥か下に、聖なる湖が見えた。

うわ、空を飛んでると、驚いていると主様が御声を掛けて下さった。


「其の方よくやったが時間切れじゃ。いま、このが天空の大地にわれが感知できぬ者がおる。おそらく人の神の手の者じゃろう。問題が起こる前に、我が子供たちの旅立ちの宴を始める事にした。幸い、其の方たち”コボルト”のおかげで十分な数は揃っておる。故に、其の方を迎えに来たのだ」


凄い勢いで進んで行く。

気が付くともう帰って来たようだ。

見覚えのある建物が見えてきた。


僕はそこで地面に降ろされた。

すぐに平伏しようとすると、それを遮られる。


「よい、面をあげよ」


おそるおそるお姿をみると、目の前には翡翠色の鱗に覆われた強大なドラゴン姿があった。

力強くて知的で、そして美しい。

僕があっけにとられて見入っていると、ぬし様が


「先程も言ったように旅立ちの宴を始める。故に今年のゴブリンどもの飼育はもう終わりじゃ。だが、お前にはして貰いたいことがある。まずは名前を与えよう」


そう言うと、僕にひざまずくように命じ、ベーウォルフという名前を付けてくださった。

力がみなぎってくるようだ。

それを満足そうに見たあと、ぬし様は


「我の新たな眷属となったベーウォルフよ、まずは子をたくさん作れ。”コボルト”の中でも稀な力を持つお前の子なら我の新たな力となるやもしれん。今いる監督官を与える、お前もそれが望みであろう。他にも必要なら申すが良い。旅立ちの宴が終わったら新たな任務を与える」


そう言うと、僕に部屋に戻るように命じて大空に飛び立っていった。



部屋に戻ると彼女が待っていた。

僕はさっきのぬし様の御言葉を思いだす。

子をたくさん作れ・・・監督官を与える。

僕がドキドキしていると、彼女が胸に飛び込んで来た。


「ご無事だったんですね」


ギュッと僕を抱きしめる。

僕も、お返しとばかりにギュッと抱きしめる。

彼女の匂いが頭いっぱいに広がる。

彼女の柔らかさが体全体に伝わる。

直ぐに理性が吹き飛んだ。

そのままベッドに押し倒す。


焦る手で服を脱がそうとするが上手くいかない。

彼女がゆっくりと誘導してくれる。

ああ、彼女も受け入れてくれている。

そう思うと少し落ち着いて、裸になってもう一度抱き着く。

彼女の体の温かさを感じる。

もう我慢できない、はち切れそうだ。

そして僕は彼女の中に入っていき、ひとつになった。

まるで溶けあったような幸せな気持ちだ。


そこから僕はまるで犬のように、いやまさしく犬そのものとなって彼女を愛し続ける。

しばらくして、彼女のお腹に子供ができたようだ。


その頃、外では旅立ちの宴の準備が整ったようだ。

主様の魔力で雷雨が轟く中、千を超える特殊な魔力を持ったゴブリンたちが解放されるのだ。

それをぬし様とそのお子様たちが競い合いながら自分の魔力として取り込んで行くのだ。

旅立ちの宴は2か月ほど続く。


その間、僕は彼女が新たに連れてきたコボルトの女たちとも子供を作るようになっていた。

僕はお腹の大きくなった彼女と優しいひとたちに囲まれて、幸せに過ごすんだ。

こんな所まで読んでくれたあなたに本編の設定集を

http://book1.adouzi.eu.org/n6978dh/

(18禁のノクターンに飛びますご注意ください)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ