邪神……①
誤字報告ありがとうございます。
いつも助かっています。
今後もよろしくお願いいたします。
修正のお知らせ(9月24日)
アイル皇子の一人称が間違っていたので修正いたします。
会話も一部変更するかもしれませんが、内容は変わりません。
大変、申し訳ありませんでした。
「ふむ、感動の再会とやらは終わったかね」
オレとクレイがアイル皇子に目を向けると、彼は冷ややかな視線で応える。
「わしとしては不本意な結果であったが、まあよいだろう。楽しみは後に取っておくのに越したことはない……それよりも十分、時間稼ぎは出来たかね、アリシア皇女」
げ、バレてるじゃん。それに、楽しみって何だよ?
「焦らずともよい。君の考えることぐらい、先刻承知の上だ」
え? じゃあ、わざわざ時間稼ぎに付き合ってくれたってこと?
「ずいぶんと余裕なんだな」
「余裕も何も、君がわしを倒すなどあり得ないことだからの」
事実が確定したかのようにアイル皇子は答える。
虚勢などでは無く、どうやら本当にそう思っている風に感じられた。
「何であんたがそんな自信満々なのか、オレには全く……」
わからない、と言おうとしたオレの視界の隅にイーディスの顔が映った。
そのとたん、アイル皇子が前に言っていた台詞を思い出す。
『まだ、わからぬか、イーディス。お前を依り代にしようとして失敗してから、お前はわしの一部なのだ。お前の命はわしが握っている上、わしが滅びればお前も死ぬ。始めから、わしに逆らうことなど不可能だったのだ』
そうだった。アイル皇子を倒すとイーディスも死んでしまうんだ。
思わず振り返ってイーディスの顔を見返すと、彼女は唇を噛んでアイル皇子をじっと睨みつけている。
「リデル……」
不意に声をかけられ、声の方向に視線を向けると、両腕が動かないエクシィが激痛に耐えながら立ち上がりオレに縋るような目付きで訴えていた。
いつもの人を食ったような笑みは影を潜め、悲痛な表情だ。
その瞳には『イーディスを殺さないで欲しい』という願いが込められているようだった。
でも、アイル皇子を倒さない訳にはいかないし、いったい、どうすれば……。
「おや、何か葛藤しているところを見ると、よもや勘違いをしてはいないか?」
「勘違い?」
オレが悩んでいるとアイル皇子が呆れたように問いかける。
「まさか、このわしが失敗作を人質にして君に勝とうとしているなどと、ゆめゆめ思ってはおるまいな」
「……違うのか?」
オレは図星を突かれて鸚鵡返しに聞き返す。
「言うに事欠いて、このわしを見下すとは思い上がりも甚だしい。まさに愚者の極みであるな。が、特別に教導して進ぜよう。邪神として復活したわしは、すでに君以上の力を有しているのだ」
「オレ以上の力?」
オレの人外な能力の大半は天落人である母の力と言っていい。
つまり、オレは『半神』と言える存在かもしれない。
それに対し、アイル皇子は自分を『神』であると自称している。
もし、事実であるならオレ以上の力を持っていても不思議ではないだろう。
「でも、バルニグ導師は仮の復活だと言ってたぞ」
真に復活するにはオレの身体が必要だとも……。
「バルニグめ、余計なことを……半端者はこれだから困るのだ」
「な……あの人のこと擁護する気はさらさら無いけど、少なくともあんたに忠誠を誓って殉じた人間に対して、その言い草は酷いんじゃないか」
アイル皇子が吐き捨てるように言ったので、少し可哀そうになって反論する。
「あのような奴、捨て駒として使ってやることぐらいしか価値がないのだ。崇高なわしの宿願の礎となっただけでも光栄であろうよ」
「……本当にそう思って言ってるのか?」
「何故、嘘を言う必要がある」
やはり、こいつとは相容れない。イーディスとは、たとえ平行線でも協調は可能だが、こいつとは無理だ。
オレはエクシィに顔を向けると、目を伏せ首を横に振った。
愕然としたエクシィは兄貴に助け舟を求める。
「イクス兄い、何とかしてくれよ」
「何とかと言ってもなぁ……リデル、もちろん彼のこと倒すよね」
「ああ、それは譲れない」
「そうだよねぇ」
イーディスを救ってあげたいのはオレも同意だが、アイル皇子を野放しにはできない。
何とか殺さずに捕らえることが出来れば最良だけど、何となくそれも難しい気がする。
でも、オレって欲張りだから、せいぜい頑張ってみるさ。
「う~ん。どうもダメみたいだぞ、妹よ」
「この役立たず!」
オレの決意が揺るがないことを認めたイクスが妹にさっそく結論を伝えると秒で罵倒された。
不憫な奴め。まあ、日頃の行いのせいだから、自業自得としか言いようがないけど。
「でもな、妹よ。基本、あの人不死身だから、きっとイーディスの命は大丈夫だと思うんだ」
「あ、そうか。一応あの人、神だからね……けど、不完全体だから、どうだろう?」
二人で邪神アイルの不死性について議論し始めるが、オレは無視して玉座の前へと進んだ。
「待たせて、ごめん。決着を付けようと思うけど、いいかな?」
あえて、イーディスの方を見ないようにしてアイル皇子に戦いを申し出る。
余裕があれば無力化して拘束するつもりだ。
「ふむ、どうやら時間稼ぎをしているのは自分だけだと思ってはおらぬか?」
アイル皇子はデスマスクの口角を上げて意味深な笑みを浮かべる。
「……どういう意味?」
オレは目付きを鋭くして詰問する。
「言葉通りだ。わしもまた貴重な時間を有効に使っていたということだよ」
何だと……アイル皇子も時間稼ぎをしてたっていうのか?
でも、そう考えるといろいろと辻褄が合う。
まず、オレ達を謁見の間まで時間をかけて案内したことだ。
迎え撃つ側なのだから、不意打ちするなり分断して各個撃破するなり、多種多様な手が打てた筈なのに無策のままオレ達を自由にさせた。
バルニグ導師は防戦したけど、あれだってイーディスがいなければ特別宝物庫に行かなかったかもしれない。
また、エクシィの思い付きで決まった武闘大会方式……それも一対一だなんて、とてつもなく時間がかかるものだ。
よくアイル皇子が許したものだと思っていたけど、アイル皇子も時間稼ぎしていたとなれば納得できる。
「アイル皇子、いったい何を企んでいるんだ?」
オレは不安に駆られながら疑問を投げかけた。
いよいよラスボスとの決戦です。
ついにここまで来ました(>_<)
もしかしたら、年内に終わるかも……(ホントか?)
台風のせいで3連休は消えて無くなりましたw
今日も仕事です(震え声)
皆様はいかがでしたでしょうか?
被害に遭われた方にお見舞い申し上げます。




