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いつまでも可愛くしてると思うなよ!  作者: みまり
いいかげんにしないと怒るからね!
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謁見の間にて……③


「さて、みんなヤル気になったところで悪いんだけど、あたしから一つ提案があるんだ。邪神様も、いいかな?」


 オレ達が戦いを挑もうと戦闘準備を始めると、エクシィは楽し気な口調で語りかける。


「何だエクシィ、この場に及んで頼み事とは? そもそも許しもなく、このわしに意見するとは、思い上がりもはなだしい行為であるが、一応聞いてやろうではないか」


「ありがと。礼を言うよ。それでさ、あたしが提案したいのは戦い方法のことなんだ。ほら、この謁見の間って確かに広いけど、六人が同時に戦うには狭すぎると思うんだ」


 エクシィは神妙そうな顔で言ってのける。


「だからさ、一対一の戦いを順番を決めて戦ったらどうかなって」


「それは武闘大会のような形式と言うことですか?」


 真面目なヒューが律儀に尋ねる。


「そうそう、それそれ。あたし、そういったたぐいの大会って出たことないんだよね。ちょっと憧れててさぁ。兄貴がルマの武闘大会に出たのも聞いて、羨ましくて仕方なかったんだ。でね、どうだろう邪神様。武闘大会のように一対一で戦うってのは……その方が、みんな周りを気にせず全力で戦えるし、余興としても最高に面白いと思うんだ」


「ふむ……特段、急ぐ必要もないと言えばないか。確かに一興ではあるな。お前たちがそれで良いと言うのなら、わしは構わぬぞ」


 少し考え込む素振りを見せたアイル皇子だが、絶対者の余裕を見せるためか鷹揚に応じる。


「やった! ありがと邪神様。じゃあ、こっちの一番手は黒鎧(こくがい)の騎士様でお願いするね。二番手はハーマリーナで最後があたしってことで……」


 エクシィの奴、しれっと黒鎧(こくがい)の騎士を一番手にしやがった。

 先につぶせれば、アイル皇子の駒が減るって寸法か。考えたな、エクシィ。


「よかろう、黒鎧(こくがい)の騎士ヴァンダイン。お前の力をとくと見せてやるがよい」


 あれ、難色を示すかと思ったら、思いの外あっさり受け入れたぞ。

 それほどヴァンダインの強さに自信があるってことか。


「リデル、お願いがあります。ヴァンダイン殿の相手は私にお任せくださいませんか?」


 黒鎧(こくがい)の騎士に警戒心を強めていると不意にヒューが話しかけてくる。


 顔を向けると、ひどく真剣な面持ちをしていた。


黒鎧(こくがい)の騎士の相手をヒューがしたいってこと?」


「はい、師匠と並び称される剣豪です。もし、本物なら、ぜひとも手合わせをしてみたいのですが、駄目でしょうか?」


「いや、別にオレはいいけど」


 何というかヒューらしいというか、戦闘狂の面目躍如めんもくやくじょというか……。


「それでは、我輩もハーマリーナと再戦したいデス」


「再戦……トルペンが?」


「ハイ、クレイさんを奪われた戦いは、ユクを護ることを優先したとはいえ、負け戦に間違いありまセン。どちらが最高の魔法使いか決着を付けたいと思いマス」


 意外と言うと失礼だけど、クレイの件をトルペンも彼なりに責任を感じていたらしい。

 そんなこと気に病む必要は無いのだけれど、その気になっているのみたいなので口には出さない。

 

 それにトルペンの申し出は、オレにとっても願ってもない話だった。

 何故なら、エクシィの相手はオレしか考えられなかったし、向こうもやる気満々でオレを見つめていたからだ。


「じゃ、ヒュー、トルペン。二人の相手は頼んだよ。エクシィはオレに任せといてくれ」




 と言うわけで急遽、始まった邪神様主催の謁見の間武闘大会もどき


 今までも何かと武闘大会には縁があったけども、まさかこの最終局面でこのような展開になるとは、さすがのオレも思わなかった。 


「それでは行って参ります」

 

 一番手のヒューがオレ達に向かって静かに一礼すると謁見の間の中央に進んだ。

 相対する黒鎧(こくがい)の騎士も同様に中央へ足を運ぶ。


 残ったオレ達は戦いの邪魔にならないように部屋の隅に移動し、戦いの行方を傍観することとなった。


(リデル様……)


 またもや、トルペンの声が心に響いた。


 どうした、トルペン。


(本当に一対一で良かったのですか? 誰か一人を集中して倒す方が勝機が高い気がするのですが。私なら他の二人を短時間なら抑え込めると思いますので、その間に二人がかりで一人を攻めれば……)


 ありがとう、トルペン。でも、止めておくよ。


 アイル皇子はあんなだけど、エクシィ達は小細工なしで戦おうとしてるからね。

 ここは彼らの気持ちを汲んで正々堂々と戦いたいんだ。それにその戦い方、ヒューも納得しないだろうしね。


(わかりました、リデル様。貴女様が、それで良いのでしたら)


「うん、トルペンもヒューの勇姿を見届けようよ」


「承知シマシタ」


 オレとトルペンは謁見の間の中央に並び立つ二人を真剣な眼差しで見入る。


 ヒューとヴァンダインはどちらともなく歩みを止め、互いの剣の間合いギリギリで相手を見つめた。そして、ヒューはヴァンダインに軽く頭を下げると名乗りを口にする。


「初めてお目にかかります、「黒鎧(こくがい)の騎士ヴァンダイン・ケルファギー殿。私は無比(むひ)の騎士『ユーリス・ルフラン』が弟子ヒュー・ルーウィックと申す者。高名な貴方と剣を交えられるのは望外の幸せと存じます。師も貴方との対戦を夢見ていたと聞いております。未だ未熟で、不肖の弟子ではございますが、師に代わってお相手(つかまつ)ります」


 続けて決意を込めた目で宣言する。


「貴方のような武人が、人の世に迷い出てよこしまな輩に操られているのは、同じ武を志す者としては見るに忍びありません。私の全霊をもって貴方を打倒し、いるべき場所に帰すことを約束いたしましょう」


 ヒューの言葉に黒鎧(こくがい)の騎士の兜の隙間から見える赤く灯る目が、わずかに細められたように感じた。


「丁寧な口上、痛み入る。我はヴァンダイン・ケルファギー。故あってアイル殿に助力する者。それ以上でもそれ以下の者でもない。騎士の名誉は、とうに捨てた。ただ、目の前の敵を倒すだけの残骸(がらくた)に過ぎぬ」


 老人のようなしゃがれた声でヴァンダインは語る。


「なれど、この残骸は強いぞ。清廉な騎士よ、心してかかるがよかろう」


 明らかに喜色を含んだ声でヴァンダインは告げた。


最終回が近いせいでしょうか、PVが何故か増えています。

何でだろう?

とにかく、謁見の間武闘大会お開始ですw

いきなり、黒鎧(こくがい)の騎士様の登場です。

はたして、ヒューは勝てるのか……。


新作、まったく進んでいません。真っ白ですw

毎日、いったい何やってるんだろう。いつの間にか時間が過ぎてる(>_<)

見てないアニメも貯まる一方だし、アプリゲームもログインボーナスのみだし……。

誰か、やる気スイッチください。


更新、頑張ります♪



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― 新着の感想 ―
[良い点] リデル君慣れない集団戦闘をしなくて安心の巻。 個のパワーが突出してるのも考えものですね。 [気になる点] ピピッ電波受信。【株式会社ヴァンダイ(ン)】 名うての駄キャラゲーメーカーだ(長年…
[一言] >やる気スイッチ コーヒー飲むとか(興奮するだけだ)
[一言] 謁見の間、最後まで持てばいいけど……
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