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いつまでも可愛くしてると思うなよ!  作者: みまり
いいかげんにしないと怒るからね!
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昔語り……①

「だから、なんで俺っちのせいなんだよ!」


 ユーリスが思い切り、膨れっ面になる。

 ただでさえ可愛らしい少女のような顔が拗ねることで、より一層魅力度が増していた。

 

 待ち合わせ場所の食堂兼酒場で、不意に声を張り上げたユーリスに皆のが注目を集まる。あちらこちらで、うっとり見つめるお姉さんや胸を押さえて顔を赤くするお嬢さんの姿が見えた。


「約束しただろ、ユーリス。俺のいない間、ロニーナを見張っているって。そのお前が目を離したせいで、このありさまだ」


 俺は壊れた扉を指差すと、戻って来たばかりのユーリスに非難の目を向ける。


「それはロニーナが壊したんだ。俺っちに責任はねえ……大体、あんたがロニーナの保護者じゃねえか。責任取るならあんただろ」


 ちらりと横目で見ると、話題に上がっている当のロニーナは給仕が運んできたスープを一口飲むと目を輝かせて、次の一口を口に運んだ。そして、黙々とスプーンを口に運ぶ動作を繰り返している。


 俺の名前はデイル・フォルテ。三人だけのこの駆け出しの傭兵チームのリーダーだ。構成メンバーは、先ほどから文句を並べている、女性と見紛うばかりの美少年のユーリスと、こちらも黙っていれば宗教画から抜け出したような美貌の美少女のロニーナと、平凡な容姿の自分の三人だ。


 傭兵は顔でなく腕だと言いたいところだが、剣捌きも二人に大いに水を空けられている俺としては反論のしようもない。

 まあ、この二人の社会常識は皆無なので、俺が付いていなければ、まともに生活していくのも困難だろう。言ってみれば、お目付け役兼お世話係と言ったところか。


「ユーリス、修理代はちゃんと俺が払ったさ。でも、お前にも責任あるだろ。この間、勝負に負けたら何でも言うことを聞くって俺は聞いたぞ。だから、今日のロニーナのお守りを頼んだんだからな」


「う……それはそうだけど。でも、勝負に勝ったのはロニーナで、あんたじゃないじゃないか!」


「俺はロニーナの保護者なんだろう。なら、被保護者が得た権利を俺が行使するのは全く問題ないさ」


「う、うるさい。そんなの横暴だ!ロニーナも飯ばっかり食ってないで、何とか言え。保護者づらのデイルが無茶苦茶言ってるぞ」


 スープを飲み干して幸せそうな顔をしているロニーナにユーリスが文句を言う。


「ふむ……」


 ロニーナはスープ皿を名残惜しそうに見てから、俺たち二人を見比べると言った。


「お主達は相変わらず仲が良くて羨ましいの」


「どこがだ!」


 ロニーナのしみじみと述べた感想に俺達二人は口を揃えて反論した。



「やっぱり、仲が良いではないか。それよりデイル、そのような些細なことより新しい仕事の話を聞かせてくれ」


 酒場の扉を壊すほど暴れるのが些細なことなのかと、内心がっくりするが口には出さない。


「おお、そうだ。俺っちもそれを聞きたかったんだ」


 ユーリスも身を乗り出して聞いてきたので、俺はため息をついて話し始めた。


「(傭兵)斡旋所の話では期間限定の護衛業務と聞いていたんだが、さきほど約束の場所で依頼者と会ってみると、どうもそうではないらしい」


「まあ、依頼内容と実際の仕事が違うことは往々にあるからな。現場で騙されたと思ったのは一度や二度じゃねえ。で、いったいどう違ってたんだ?」


 ユーリスが頷きながら、斡旋所に対する不満を零す。


「それが、お貴族様の護衛じゃなくて身代わりになれって話なんだ」


「身代わり?」


 ユーリスは怪訝そうな顔をするが、俺だって最初そう思ったよ。


「何でも命を狙われているらしくてね。今回の視察の間、危険だから当人の身代わりを務めて欲しいそうだ」


「ふ~ん、大丈夫なのか? あんたにお貴族様の代わりが務まるとも思えねえけど」


「さあ、どうだろ」


 一応これでも宮廷作法は死んだ親父からみっちり仕込まれてる。当時は何の必要があるかと思ったものだが、結構役に立っているんだな、これが。


「そもそも、お貴族様とあんた、顔や背格好が似てるってえことかい」


「う~ん、指名依頼だからな。どこかで俺を見かけたのかもしれない」


「で、どうするんだ。受けるのか? 俺っちとしては、かなり胡散臭そうに思えるんだが」


「報酬が破格だからな。俺達の今の財布の中身を考えると前向きに考えたいところだが……ロニーナは、どう思う?」


 突然、話を向けると美貌の相棒は、ふむと少し考え込むと口を開いた。


「受けるがよかろう」


 即答したので、理由を尋ねる。


「その根拠は?」


われの勘がそう訴えておる。ただ……」


「ただ?」


「栄華と名声を極めるが、大いなる試練と困難が待ち受けていると」


 ロニーナは神妙な顔付きで宣言する。


「嬢ちゃん、お得意の予感かよ」


 ユーリスが言葉とは裏腹に心配げに俺を見る。ロニーナの予感は、よく当たるので楽天的なユーリスも笑い飛ばせないようだ。


「わかった。ユーリスが同意するなら、この依頼受けようと思う」


「俺っちは構わねえぜ。試練や困難はいつだってあるし、栄華と名声が付いて来るなら、それに越したことはねえ」


 二人が賛同してくれるなら、迷う必要はなかった。


「すぐ連絡を取ってみるよ。実は先ほど会ったのは依頼者の代理人で依頼者本人じゃなかったんだ。チームの了承が得られたら返事することになってる」


「なかなか用心深いな」


「お貴族様だからだろう」


 正直、平民以下の俺には貴族のやりようが理解できないのは当たり前のことだと思っていた。


昔の話です。

やっとプロローグと繋がりましたw

まさか、こんなに長くなるとは……(>_<)

キーパーソンのユーリスがやっと登場したので、いよいよ物語も終盤です(←ホントか?)


あと、しばらく週一更新になります、ごめんなさい。

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