表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いつまでも可愛くしてると思うなよ!  作者: みまり
いいかげんにしないと怒るからね!
455/655

別離……⑦

 正直に白状すると、皇女で無くなったことにほっとしたのも事実だ。

 皇女という肩書きが外れさえすれば、クレイとの関係も昔どおりに戻るんじゃないかと期待もしていた。皇女と判明した後のクレイの畏まった態度に業を煮やして、以前のように付き合えと命じて、表面上は皇女になる前の関係と同じように振舞ってくれたけど、やはりどこか一歩引くところがあるように感じてならなかったのだ。

 これを機会に元通りの関係に戻って、再び傭兵稼業なんかをするのも悪くないと思ってたりもした。


 けど、皇女で無くなったらクレイをも失うなんて……。


 『そんな理不尽な話があるか』という思いと、あんまりな結末に心が折れそうになる。

 ただ、そんな中でクレイが一族よりオレを選んでくれたのは、素直に嬉しかった。


 けど……それで本当にいいのか?

 大切な人を不幸にしてまでも自分の我がままを通すことに後ろめたさはないのか?


 親父が亡くなってから、オレとクレイはずっと二人だった。逆に言えば、ずっとクレイに頼り切りで……甘えていたんだ。

 その関係はオレにとって最高に居心地良かったけど、クレイにとってはどうだったんだろう?

 苦労と迷惑ばかり、かけていたのではないだろうか。

 それはオレの思い違いなどではなく、今まで気づかなかっただけで、本当はずっとそうであったのではないだろうか? 

 

 もし、本当にそうだとしたら……。


「……クレイ、やっぱりオレ達は一旦離れた方がいいと思うんだ」


「リデル……」


 クレイが信じられないという顔をする。


 オレはその表情を辛過ぎて見ることができず、ラディクに視線を向けると一気に言った。


「クレイとは別れます。なので、一族からクレイを追放しないでください」


「よくぞ、申してくれました。そう言っていただけると、大変有り難いです。お礼と言っては何ですが、貴女とは中立的な関係を維持していく予定でしたが、更に貴女に害を及ぼすようなことは極力避けることにしましょう」


 ラディクはオレの申し出に相好を崩すと、傷心の兄に声をかける。


「兄上、リデルさんもこう言っておられるのです。諦めて本家に戻りましょう」


 クレイはそれに答えず、オレに向かって言い募った。


「リデル、本気なんだな?」


「ああ、本気だ。たぶん、これが最善だと思う」


「この申し出は、皇女としての命令と捉えても?」


「オレは、もう皇女じゃないから、そんな命令できないよ。だから、命令でも何でもない。でも、リデルとしてのお願いではある」


「そうですか…………わかりました。リデル様、貴女様の仰せに従いましょう」


 最後まで、オレが皇女であるという立場を崩さないつもりのようだ。

 クレイは深々と一礼すると、ラディクの声かけを無視して部屋から出て行った。

 

「全く。まだ、話が途中と言うのに兄上は……昔から我がままで困ってしまいます」


 困ったような物言いだが、声のトーンは明るい。兄が本家に戻ってくれるのが相当嬉しいらしい。



「リデル、賢明な判断だと思います。何も今生の別れとなるわけではないですし、状況が変われば、またクレイに会うことも叶うでしょう。今は、とにかく待つことが肝要です。それに僭越ではありますが、貴女にはまだ私がいます。クレイの代わりは、とうてい勤まりませんが、微力でも貴女の力になりたいのです」


「ヒュー……」


 放心状態のオレを励まそうと、ヒューが優しく声をかけてくれた。

 クレイとの別れで冷たく沈んだオレの心がほんのり暖かくなる。


「おや、『白銀の騎士』様。残念ですが、貴方も他人ひとの心配をしている場合ではないようですよ」


 ラディクは含み笑いを浮かべながら揶揄するように言った。


「どういうことでしょうか?」


 優しいヒューの目が、すっと細くなる。


「貴方あての帝国儀典省叙勲管理局からの書状を預かってきています。貴方に会うと言ったら受け渡しを頼まれたものでしてね」


 そう言いながら、一族の者に目配せすると部下が恭しく書状を取り出すとヒューに手渡した。


「これは……」


 蜜蝋を外し、書状を開き文面に目を通したヒューは絶句する。


「ヒュー、いったい何が書かれているんだ?」


 オレはヒューの様子に不安に駆られ、思わず尋ねる。


「叙勲管理局からの正式な召喚状です。儀典省までの出頭を促す書状ですね」


「どういうこと?」


「……皇帝及び皇族に反逆の意を示したという疑いのため、『天隷の騎士』の叙勲取り消しの是非を問いたいとの用件のようです」


「『天隷の騎士』?」


 初めて聞く単語だ。


 ヒューに『白銀の騎士』以外の二つ名があったのだろうか。


「おやおや、リデルさんは『天隷の騎士』についてご存じなかったのですか。仮にも皇女と呼ばれた貴女がそれを知らないとは……ルーウィック様も不憫ですね」


 え、知らないと、ヒューに申し訳ないことなの?


「ごめん、ヒュー。オレ、よく知らなくて」


「いいのですよ、口にしたことはありませんでしたから」


 オレが謝ると、ヒューの方がかえって申し訳なさそうになる。


「では、差し出がましいことですが、僕が説明してあげましょう」


 ラディクが半ば呆れた表情で説明を買って出てくれる。

 いけ好かない弟かと思ったら、意外と面倒見が良い人かもしれない。まあ、クレイの弟だから、兄のわがままに子供のときから付き合ってきた訳だから、人間が出来ているのかも。


最近、無理がきかなくなっていると痛感する毎日ですw

のんびりとやっていきたいと思います。

新作のネタもいっぱいあるので、本作が完結したら、いろいろ書きたいなと思う今日この頃です。

無理せず頑張ります!


PS.入院の間に貯まったアニメが消化できなくて困ってます(>_<)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=687025585&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ