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いつまでも可愛くしてると思うなよ!  作者: みまり
いいかげんにしないと怒るからね!
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別離……①


「まさか、ガートルードがあんなにあっさり逃がしてくれるとは思わなかったよ」


 オレ達は中央大神殿から程近いクレイの一族の拠点である商家に身を潜めていた。


「確かにリデルの言うとおりですね。一戦交えるのは避けられないと覚悟していました」


「逆に簡単に行き過ぎて拍子抜けというか不気味だ」


 ヒューが感想を述べるとクレイも眉根に皺を寄せながら、不機嫌そうに言葉を吐き出す。


 決死の思いで臨んだ大神殿から、こうも容易たやすく脱出できるとは誰もが思っていなかったから、みんな何だか狐につままれたような気持ちになっていた。  


「もしものために、イスケルド城にあった『縮元回廊』をわざわざ持ち込んでいたけど、使わずに済んだね」


「使わずに済んで幸運だったと言わざるえないな」


 もし、戦闘になったら、とにかく囲みを強行突破して、どこかの部屋であの『縮元回廊』(タペストリー)を使って、ノルティの実家に逃げ込む算段をしていたのだ。

 『縮元回廊』の回収は神殿に残るジルコークさんにお願いしてあった。


 万が一の場合に備えたノルティの発案だ。

 前は単なる知識お化けだったけど、トルペンの弟子になってからは、いろいろ深い考えをめぐらすようになり、一段階成長したように思う。


 もし、人見知りが直って交渉力がつけば、よっぽどアレイラより宰相に向いているかもしれない。

 まあ、本人は学者志向なのだけど。

 ただ、トルペンを崇拝しているようじゃ、真っ当な学者にはなれない気もする。


「しかし、いくらアーキス将軍を味方につけるためとは言え、あの程度の口約束で、ガートルードがこのまま引き下がるとは到底思えないな」


 クレイが納得できないように不満をもらす。


「オレもそう思うけど、こうして逃げ切れたんだから、御の字じゃないか」


「それはそうなんだが……」


「もしかしたら、ぽっと出のオレなんか元々眼中になかったのかもしれないし」


「いや、それはないだろう。どう考えてもあの女、相当執念深そうに見えたぞ」


「私もクレイの意見に同意します。安心するのは、まだ早計と言えるでしょう」


 まあ、シトリカでガートルードが見せたオレに対する憎悪の視線を今でもはっきりと覚えている。

 あれは、簡単に赦してくれるような雰囲気じゃなかった。


 じゃあ何故、あんなに簡単に見逃してくれたのか?

 オレには皆目、見当が付かなかった。

 きっとガードルードにも何かしらの思惑があるのだろう。



「ところでリデル、話は変わりますが、裁判の結果は本当に残念でしたね。まさか、あのような結末になるとは予想もしていませんでした」


「俺は納得していないからな。あの女の言ってることが全部正しいとは到底信じられない」


 ヒューが残念そうに言うと、クレイは憤懣やるかたないといった表情で言い放った。


「ありがとう、二人とも。でも、正直それほど落ち込んではいないんだ」


「そうなのですか?」


 ヒューが不思議そうに言うので、オレは率直な感想を述べる。


「うん。元々、皇女になりたかった訳じゃないし、むしろ面倒だなって最初は思ってた。ケルヴィンに無理やりさせられた感もあったし、そもそもオレに皇女なんて向いてないとも思ってた」


 クレイとの関係もぎくしゃくしてしまったし、自由気ままな生活もできなくった。

 一介の傭兵に戻りたかったというのも本音としてある。


「けど、今回のアリスリーゼ行きで、オレもそれなりに思うことがあったんだ。自分の立場や責任についてとか、帝国の行く末や国民の幸せとか……いろいろ考えさせられたと言っていい」


「それは良い成長をしましたね」


 オレの発言にヒューが嬉しそうに頷いて褒めてくれる。


「別にそこまでのことじゃないよ……でもだから、真剣に皇女のこと、帝国のことに向き合おうと思っていた矢先に今回の件が起きた訳さ。正直、がっかりしたのも事実だけど、反面ほっとしたのも事実なんだ」


 オレは曖昧な笑みを浮かべながら、自問自答する。


「本音言うと、よくわからないんだ。本当に残念なのか安堵したのか……」


「お気持ちは、よくわかりますよ、リデル」


「ありがとね、ヒュー。ただ、はっきりしているのは、現状のオレはただの元傭兵なだけで、もう皇女ではないってことだ」 


「俺はまだ認めないぞ。どこかに何か間違いがあって、こんな結果になったに違いないんだ」


「クレイ、落ち着け。普段の論理的なお前らしくないぞ」


 まあ、クレイの奴はオレのこととなると、とたんに理性をどこかに置き去りにして突っ走る傾向があるからなぁ。


「とにかく、真実を優先して欲しい。その上で、オレが本来持つべきでないものを得ようとしないでくれ」


 オレが真剣な顔付きで真っ直ぐクレイを見つめると、クレイは押し黙ったまま唇を噛んだ。


 そんな風にオレ達が、大神殿での一件や今後のことを話し合っていると、ソフィアが息せき切って部屋に飛び込んで来る。


「リデル様、お喜び下さい。もう一方の計画が無事成功しました」


 ソフィアは、オレが待ちに待っていた朗報を笑顔で告げた。


寒暖差が激しくて体調が下降気味です。

皆様もお気をつけ下さい。


来週、検査の結果が出るので、今後の予定がはっきりしそうです。

再度、入院は避けられそうににですけど(>_<)

また更新をお休みするかもしれませんので、ご理解くださいますように、お願いします。

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