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いつまでも可愛くしてると思うなよ!  作者: みまり
いいかげんにしないと怒るからね!
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血統裁判……④

 場の注目を一身に集めたパティオは一同を見渡すと口を開いた。


「帝国参事会の御要請、確かに承りました。すぐに『血統裁判』の準備をいたしますので、このまましばらくお待ち下さい。さほど、時間はかかりませんので……」


 そう言いながら左右に目配せすると、パティオに付き従っていた二人の正神官が天帝の間の入り口へと向う。扉の外へ声をかけると、何やら部屋の外で人の動きがあり、少しの間待たされる。


「パティオ様、準備が整いました」


 振り返った正神官が恭しく述べると、パティオは頷き一同に告げる。


「『血統裁定官』がお見えになりました。これより入場していただきますが、かの方はいにしえの一族でございます故、多少(ひと)ぞくとは違うところがございますが、どうかお気になさらぬよう願います」


 確かに、アエルは初見だと、かなりインパクトがあるからな。普通の人間なら、驚くのが当たり前のレベルだ。


「ロッド正神官、アエル裁定官に天帝の間にお入りいただくように、お願いなさい」


「はい、パティオ大神官様」


 パティオの言葉に反応して、正神官が天帝の間の扉を静かに開けた。

 これから『血統裁判』に臨む者達一同が固唾を呑んで見守る中、アエルがゆっくりと足を踏み入れる。


 最初に目に入ってきたのは、ゆらゆらと揺れる例の目玉だ。

 いつものように虹色の光を淡く放っている。

 それが、ひょっこり前方に飛び出して、まるで先触れのように室内を覗き込んでいた。

 遅れて、儀式用の神官服を纏ったアエル自身の姿が見える。


 更に、その後ろから影のように付き従うジルコークさんが入ってきたが、揺れる目玉の衝撃が強すぎて、誰の目にも入らないようだ。

 アエル達は二人の正神官に案内されて、パティオとガートルードのいる中央の台座のところまで進む。


 オレはアエルから視線を外し、室内の人々の様子をこっそりと観察してみた。

 帝国参事会の面々は……目を丸くして驚いている。事前に、アエルの情報は得ていたようだけど、やはり実物の衝撃は大きかったようだ。


 ガートルード達は……と見ると、こちらも一様に驚いている。

 けど、全く予想していなかった筈にも関わらず、参事会ほど驚愕しているようには見えなかった。

 まあ、彼女達も人外と言えるレベルらしいので、多少のことには免疫があるのだろうか?



「アエル血統裁定官、大神殿まで足をお運びいただき、真にありがとうございました」


 パティオは深々とアエルにお辞儀してから、厳かに宣言した。


「それでは、裁定官もお見えになりましたので、これより『血統裁判』を始めたいと思います」


 パティオの宣言で、待ちに待った『血統裁判』が始まった。


 思えば、いろいろなことが積み重なって、ここまでたどり着いたのだと思うと感慨深い。

 元々は温泉に入りたくて寄り道して、偶然アエル達に出会ったことが発端だった。


 その後、村でアエル達を成り行きで助け、アリスリーゼまで一緒に旅をすることになり、北方大神殿に話を付ける羽目になったことが今日のこの日に繋がったと言って良かった。

 まさか、あの時はこんな風にオレの命運を決める重大事になるとは夢にも思わなかったけど。


「アエル裁定官様、こちらがデュラント四世の『護りの紅玉』でございます」


 パティオが台座に埋め込まれた紅玉を指し示すと、アエルの目玉がにょろりと台座まで伸びる。

 舐めるような近さで紅玉をしげしげと見つめると、すっと元の位置に戻った。


「皇帝ノ血、ヨク分カッタ。次ハ?」


「畏まりました。それではガートルード様、前へお進みください」


 パティオに促されてガートルードがアエルの前に立つ。

 すると、今度はガートルードに向って目玉がしゅるしゅると伸びる。


 が、本能的な反応かガートルードは後ずさってそれを避けた。

 代わりに護衛役のアレクサンドラがあるじを護るように前へ出る。


「ガートルード様、申し訳ありませんが、アエル裁定官の前から動かぬよう願います。それでは血統鑑定ができません」


 パティオが、やんわりと苦言を呈する。


「急だったので、少し驚いただけですわ」


 オレの視線を気にして、ガートルードは負け惜しみを言うと再び前へと進み出た。


 けど、オレはと言うと実はアレクサンドラに釘付けだった。

 今まで、ガートルードの後ろに控えていたので気が付かなかったが、彼女はオレの知っているある人物に瓜二つだったのだ。


 当然、クレイもそれに気付いたので、アレクサンドラが前面に出たとき、同じようにオレの前に飛び出してきた。


(まさかイクス本人じゃないよね。でも、あいつなら女にも平気で化けられそうだし……)


 そう、オレを嫁にするとうそぶいた謎深き危険な男、イクス・サーフィルにアレクサンドラはよく似ていたのだ。


【作者注:謁見の間の事件をトルペンはリデル達に報告しましたが、トルペン自身がイクスと会ったことがないため、イクスに似た娘がガートルードの護衛についているという情報がリデル達に伝わっていません】



寒くなったり暑くなったり、はたまた花粉が飛んだり、今週はいろいろ大変です。

今のところ、私は大丈夫ですが、体調を崩しやすい天候です。皆様もお気をつけください。

それと、とうとう3月ですね。リアルがめちゃくちゃ忙しいので、週一更新になったら、ごめんなさいです。

無理せず頑張ります!

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